第47話 闇の中へ
(俺も援護すべきだな)
二人の様子を見て判断する。
大規模な幻創魔術は、世界にどこまで影響を及ぼすか不明だが、生憎とそうも言っていられない。
青炎の魔王は想像以上の能力を持っていた。
竜と元祖魔王の攻撃を同時に防げるほどの防御だ。
明らかに常軌を逸している。
王城で手に入れた記憶によると、青炎の魔王は防御系統の術が得意らしい。
相手の攻撃を完封して、力任せに押し込むのが常套手段なのだ。
情報としては把握済みだったのだが、まさかここまでとは思わなかった。
ルイズに致命傷を与えたことから、攻撃能力も並外れている。
新時代の魔王として名を挙げているのも納得の強さだった。
(まあ、今回は相手が悪かったがな)
どれだけ能力が高くても関係ない。
それを無視するような幻を生み出せばいい話である。
俺は幻想魔術を行使する。
空を漂う雲が帝都上空に集結し、巨大な手の形になった。
それが落下して、帝都を闇の中へと押し込む。
青い業火に包まれる帝都は一瞬にして地上から姿を消した。
一部始終を目撃していたノアとルイズは呆気に取られていた。
「ぬぅ、天変地異だ……」
「あれが貴様の能力か、レード」
「そうだ。現実を操作することができる」
俺は説明しながら帝都のあった場所に注目する。
そこには闇の沼が残っていた。
本来はルイズの術だが、少しばかり干渉させてもらった。
沈んだ先を変更して、帝都を白い部屋に送り込んでみたのだ。
新たに巨大な空間を設けてそこに落とした。
現実世界から隔離された場所なら、俺も遠慮なく全力を出すことができる。
どれだけ暴れても影響を及ぼすことはないだろう。
闇の沼に沈める際、青炎の魔王らしき反応もあった。
逃走される前に封じ込めることができたようだ。
そこも作戦のうちの一つである。
不利を悟って身を隠されると厄介なので、先制攻撃で隔離したかった。
ノアとルイズの攻撃が上手く陽動になってくれたおかげで円滑に進んでいる。
「帝都は隔離した。このまま消滅させることもできるが、どうする?」
俺はルイズに問いかける。
ルイズは冷たく固い意志を覗かせながら即答した。
「無論、己の手で葬り去る。そこまでしなくては気が済まない。すぐに追撃するぞ」
「分かった。ノアもそれでいいか?」
「もちろんだ! 我らの力で青炎の魔王を討滅だッ!」
意見がまとまったところで転移扉を展開した。
これは帝都と同じ空間に繋がっている。
きっと向こうは混乱していることだろう。
さすがの青炎の魔王も、帝都ごと引きずり込まれるとは思わなかったはずだ。
その顔を拝みに行こうじゃないか。




