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魔眼の幻創術師 ~勇者パーティに見捨てられた三流幻術師は真の力に目覚めて世界を翻弄する~  作者: 結城 からく


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第20話 錯綜する情報

 包囲を抜けた俺とノアは近くの路地裏に身を隠す。

 しばらくすると騒然とした声が聞こえてきた。

 陰から街の通りを観察すると、兵士が慌ただしく動き回っている。


 彼らは俺の解釈で苗木となった人々の搬送に追われていた。

 魔術による治療と研究を進めるつもりだろう。

 研究で幻創魔術を発見するかもしれないが、それについては問題ない。

 たとえ対策されようが、それを簡単にすり抜けられるのがこの能力の恐ろしいところだ。

 解釈次第で無限に姿を変えるため、そもそも対策のしようがなかった。


 一部の兵士は鋭い目つきで辺りを窺っている。

 俺達を捜しているのだ。

 付近に潜伏している可能性を考えているのだろう。


 彼らは俺とノアを反逆者だと思っている。

 変わり果てた王国では相互監視が徹底されて、不審者が先ほどのように通報されるのだろう。

 そうして疑心暗鬼を募らせて民の団結を防ぐ。

 執政者としては悪くない手段だろう。


 観察を終えた俺は路地裏の奥へと進み出す。

 環境は劣悪だが、身を晒せない状態では目立たないので好都合だった。


「あちこち騒ぎになっているな……」


「たとえ厳重な包囲網でも、レードなら強行突破できるだろう。別に実行したっていいと思うが」


「極力やらないさ。余計な被害が出てしまう。それこそ本当に取り返しが付かなくなる」


「むう、それは難儀だ」


 ノアが不服そうに唸る。

 彼女の思考は単純明快で分かりやすい。

 邪魔な存在を残らず滅するだけだ。


 被害を度外視するとノアの案が最適だった。

 幻創魔術があれば、いくらでも効率的な対処が可能である。

 しかし、自ずと向こう側の犠牲が膨らんでいくだろう。

 下手をすれば殺してしまうかもしれない。


 それは俺の望むところではなかった。

 追われる身になったとはいえ、俺は英雄である。

 無為に民の命を散らす人間にはなりたくなかった。


「どうするのだ。このままだとじきに見つかるぞ」


「分かっている。方針を考えているところだ」


 俺は判断に迷っていた。

 ここは王都を脱出すべきだろう。

 しかし、何らかの情報は欲しい。

 このまま収穫もなしに脱出しても意味がなかった。

 その場合、誰から聞き出すのかも問題だろう。


 その時、頭上から殺気を感じた。

 俺は見上げる前にノアを引っ張って飛び退く。


 直後に地面に剣の刺突が炸裂した。

 地面に亀裂を走らせたその人物は、銀色の鎧を煌めかせながら構え直す。


「よう、レード。五年ぶりだなァ。まさか生きているとは思わなかったぜ」


 薄笑いを浮かべるのは、かつての仲間である聖騎士だった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第20部分到達、おめでとうございます! [一言] >薄笑いを浮かべるのは、かつての仲間である聖騎士だった。 ……ああ、この聖騎士()は、ざまぁされても良いや。むしろざまぁされろ。 とい…
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