第21話 聖騎士との再会
俺の脳内にたくさんの疑問が浮かぶ。
それはほとんど反射的に口から飛び出した。
「この国はどうなっている。勇者と僧侶はどうした」
「落ち着けよ。その様子だと王国に戻ってきたばかりか。今までどこで暮らしていたんだ? お前みたいな幻術師があの森を生きて出られるはずがない。そっちの女に助けられたのか」
「レードが弱いだと。何を言っているのだこの男は」
ノアが理解不能だと言いたげに眉を寄せる。
それでも聖騎士が俺をけなしていることは察したらしい。
彼女は一歩前に踏み出すと、聖騎士を指差しながら宣告する。
「目障りだ。今すぐに消えれば命までは取らないでやろう」
「ハッ、生意気な女だ。顔は良いから貰ってやろうと思ったんだがなァ……」
聖騎士は苛立った様子で剣を回す。
片手で保持する大盾は、五年前より質が良くなっていた。
強固な魔術が多重で施されている。
おそらくは大規模な術の連打すらも耐えられるだろう。
いや、大盾だけではない。
鎧や剣も大幅に性能が向上している。
この五年で聖騎士の立場はさらに良くなったらしい。
それが一目で分かってしまう。
俺を見捨てた人間が、魔王と同盟を結んだ国で成り上がっているのだ。
(……余計なことを考えるな。術に影響が出る)
深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。
そうして睨み合う中、拳を握るノアが俺に確認をする。
「レード。この男を血祭りにしてもいいな?」
「堪えてくれ。殺すのは不味い。情報源を死なせたくない」
「つまり損得勘定を抜きにすれば殺したいということか」
「……否定しないさ。俺だって人間だ。見捨てられた恨みは忘れられない」
俺は聖騎士を睨み付ける。
その目付きが気に入らなかったらしく、聖騎士が嫌味を込めて指摘してくる。
「あの時のことをまだ引きずってんのか。陰湿だな」
「勝手に言ってろよ。俺はただ目的に沿って行動するだけだ」
俺は冷静に述べる。
聖騎士は小馬鹿にしたような口調で笑った。
「お前の目的? ちょうどいい、言ってみろよ。俺が叶えてやってもいい。そっちの美人さんを抱かせてくれたらな」
「――限界だ」
度重なる挑発と侮辱を受けて、俺は低い声で呟く。
次の瞬間には幻創魔術を行使した。
手を前に出して現実への干渉を始める。
土の地面が歪んで巨大な拳となると、無防備な聖騎士を殴り飛ばした。
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