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巫女は海を守りたい〜愛が溢れるヒーラー物語  作者: 紫陽花
第6章 海洋生物研究所
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第6章 頻発するヒーリング

東海岸の領海境界線の汚染カーテンが、広範囲にわたって補修が必要になり、また、アリエッタを連れて、ヒーリングに行ってきた。


数十キロレベルなら、ヒーリング隊でいけるが、数千キロの範囲で、海水汚染が起こり、報告を受けてから、海資源にダメージが起きるまで半日以内と猶予がなく、私とアリエッタが行くしかなかった。


さすがの私も、途中で頭痛がするくらいパワーを要したが、まだ底力はあるはずだが、最近のヒーリング頻度と必要パワー量が、半端なく、現場への移動は、海洋軍の潜水艦をつかう事も増えていた。ヒーリングが済んだ瞬間アリエッタは意識を失った。


高速潜水艦で軍港に戻るまで、3時間、アリエッタは目を覚まさなかった。軍港からは、トライデントで離宮に戻ったが、アリエッタの体が冷えたまま戻らない。


「坊っちゃま、おかえりなさいませ。」


「オラン、アリエッタの体温が下がったままだ。温泉に入れて温めるから、湯浴み着に着替えさせてもらいたい。」


「わかりました。今まで、こんな事はなかったのに。全身が冷たいですね。すぐに。」


とにかく寝室の奥の温泉が出る浴室を準備した。


オランが、肌を隠す湯浴み着を着せて、ブランケットで包んでくれたアリエッタを横抱きにして、浴室に運び、温泉に入れた。


「坊っちゃま、実は、、」

オランがアリエッタの体調に気づいたらしく、女性の月のさわりの日だと、教えてくれた。

失念していた。数年前に聞いていたが、離れていた期間が長く忘れていた。もう少女ではなく、いつのまにか体も成長して、乙女になっていた。当たり前の事を忘れるなど。警護ばかり気にしていて、このざまだ。情けない。


「アリエッタは、言いにくかったんだろう。」


「坊っちゃま、たとえそうでも、ヒーリングが必要な時は、姫さまは、必ず行かれますから。もし目覚めても、叱らないように。」


「叱れるはずがない。アリエッタは、いつも自分を犠牲にする。」


温泉につけたままでは、顔色は青いままだ。今日の東海岸の領海エリアの海水温は18度だったが、シースーツ着用なら、体温は下がらないはずだった。だが、ヒーリングパワーを限界まで使って、最後の方は、自分自身の保温ができてなかんだ。私の責任だ。


私も簡単な部屋着のまま、すぐに、一緒に入って、アリエッタが溺れないように気をつけながら、とにかく、手足を軽くさすり続けた。私が汗だくになってしばらくしてから、やっとアリエッタの頬に赤みがさしてきた。


オランが心配して、何回も見に来てくれた。

「そろそろ大丈夫そうだ。湯から出すから、また着替えを頼む。」


アリエッタを、湯から出して、ブランケットで包み、ドレッシングルームの長椅子に横たえ、オランに預ける。

着替えている間に、キッチンの奥で、薬海藻湯を調合した。


薬が出来上がって、寝室に戻ると、アリエッタの着替えが済んだところだった。

「あとは、坊っちゃまにお任せしますね。」


「ありがとう、オラン、安定したら、巫女部屋に移すつもりだ。ダニエルに伝えておいてほしい。」


肌触りのよい毛布で全身を包み、膝枕でアリエッタの髪をタオルドライしながら、薬を飲ませる。スプーンでは、こぼれてしまう。また寝ている間に口移しか、、と迷っていたら、ぱちっと、音がするように、目をあけた。


焦点が合わないのか、ぼぅっと、こちらを見つめている。


「ヴァシリスさま。わたし、、、」


名前呼びするなら、覚醒しているはず。


「アリエッタ、大丈夫か?無理をさせた。」 


「ヴァシリスさま、汚染防止カーテンは、全て張れました?」


「うむ、アリエッタのおかげで、東海岸は全て完了した。」


「良かった、、時間との闘いでしたね。良かった。」


「アリエッタ、先に薬を飲ませたいのだが。海藻湯を作った。」


「ヴァシリスさまが?」


「ポセイドン殿秘伝のな、飲めるか?」


頷いて、毛布から手を出してきたが、指先が震えている。手を毛布におしこんだ。


「私が飲ませるが。良いか?」


頷いたのをみて、少しずつ、口移しで飲ませる。


「うぇっ、、今日のは、ピリピリして苦いです。」


「アリエッタ、体調が悪い時は黙っていてはわからんだろう。月の、、」


「あっ、、大丈夫かと、思ったのです。」

珍しく顔を赤らめた。


「その分も薬草の種類が多いから、苦いだろう。次からは、私にだけは話してくれないか。将来、私の子を産むためにも大切なことだ。体温が下がったままで、温泉で1時間温めたのだぞ。」


「ヴァシリスさまのお子を、、、」

また顔を赤らめている。


「そうだ、婚約者なのだから、いずれ妻になれば、いつか子も生まれるだろう。」


「ヴァシリスさま、、今日は頑張りました。」


「いつも、頑張ってくれている。巨大ヒーリングは、私たちしかできぬ。感謝している。さっ、残りの薬湯を飲んでくれ。アリエッタが元気でないと、私は気が気でない。」


「そんなに心配しなくても、生きる時も、死ぬ時も一緒ですから。」


また毛布から手を出して、震える手で、私に触れようと、手を伸ばしている。


その手を握って、薬湯を飲ませると、とても嫌な顔をしながら、全て飲んでくれた。


「さっ、ゆっくり眠りなさい。次、目覚めるまで、3、4日は、かかるだろう。」


「眠りたくないです。次、起きたら、また、ヴァシリス様を忘れてしまう。」


「それでも、側にいるから、心配するな。あと2年半だ。」


頬を膨らませて、抗議の顔だ。この癖も直らないな。頬を指で押さえると、プッと音をだして、小さく笑ってくれた。


「あと2年半で、お嫁さん。ぎゅってしてくださる。」


「わかったから、次から体調は必ず教えてくれ。いいな。必ず守る。」


アリエッタを、ぎゅっと抱きしめた。


「ヴァシリスさま、好きです。」


そしてアリエッタは、眠りについた。

毛布に包みなおして、髪を新しいタオルで乾かしていると、寝室をノックし、ダニエルとアーサーが入ってきた。


「また眠ったのか。」


「今、海藻薬湯を飲んで、眠ったところだ。今日のヒーリングは、東海岸の領海際の、汚染カーテン全てだったからな。さすがに私も、きつかった。そっちはどうだった?」


「北沖の海溝の深いプレートが、広がって、マグマが見える場所があった。海溝付近の温度は下げてきた。ダニエルと海洋ヒーラー10人も連れて行ったが、ヒーラー4人が倒れた。」


「頻繁過ぎるな。4人は休ませたか?」


「研究所の回復室に入れてきた。あとで、様子を見に行く。」


「アーサー、頼む。」


「ダニエル、アリエッタを巫女部屋へ頼めるか。王宮で、父上と王太子と打ち合わせがある。」


アリエッタを兄のダニエルに渡して、私はアズラエルをつれて王宮に向かった、



読んでいただき、ありがとうございます。

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