表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
巫女は海を守りたい〜愛が溢れるヒーラー物語  作者: 紫陽花
第5章 次の新しい道 婚約のあと
82/159

第5章 親から子へ託す未来

海神の騎士達と、その親達は、陽の宮のダイニングにいた。

国王陛下と一緒に夕食を取る事になり、少年たちは、緊張していた。


「今日は大変な一日だったが、やっと皆が同じレベルで、話ができるようになった。皆、気を使わずに、話したい事、聞きたい事があれば、話してくれ。ヴァシリスは、着替えをしてから、こちらに来る。ダニエル、アーサー、パーシー、アズラエル、今日、ヴァシリスと共に行動してくれた事、礼を言う。」


子供達が礼のために立ち上がるのを、、王が制した。

「礼は良い、食事も運ばれている。腹も減っているだろうから、食べたいものを、食べなさい。」


マースが口を開く。

「では、陛下、忌憚なく意見を。

ダニエル、アーサー、医務室で、殿下とアリエッタを見た時に、神殿の悲愛の聖母、と呟いてえたが、神殿に入れるはずのお前達は、何故知っていたのだ?」


ダニエルが答える。

「父上、僕とアーサーはプレップスクールで信頼できる友人になりました。

シーシェルの巫女物語は、誰でも知っています。

僕は母上が巫女だと、なんとなく感じていました。それにアリエッタが生まれた日に、陛下が神殿に来られました。その後、一か月も経たないうちに、アリエッタは王宮に預けられて、僕は、今日5年ぶりに妹に会いました。

アーサーは、母上と妹のアリエッタが、巫女だと知っていました。ガブリエル家の血筋から巫女が生まれることも。

お互いが薄々、わかっていたから、話ができたのです。」


アーサーが引き継いだ。

「僕はガブリエル家の人間です。セレステ叔母上やオラン叔母上が、王家に近すぎました。だから、父上に直接聞いたのです。もちろん、ガブリエル家を継ぐ私は、父上が話してくれましたが、巫女の事を他言したら、命はないし、聞いた者も命はない、とまで言われました。

アーサーと親友になって、ミカエラード家の中にある神殿を見たくなり、連れて行ってもらいました。中に入れるとは思いもしませんでしたが、」


またダニエルが話す。

「白い扉を2人で押したら、扉にガブリエル家の紋章が現れ、僕たちは中に入れたのです。」


「中に入ったら、ポセイドン様が現れて、巫女の事や、ヴァシリスが海の王子である事を教えてもらったのです。ただし、2人を守る気持ちがないなら、神殿から生きて出られない、と言われました。ポセイドン様に、誓いました。とても苦しい方法でした。」


「だから、僕とアーサーは、ヴァシリスと巫女をずっと守りたいと決心していました。」


「お前達は、すでにポセイドン様の庇護を受けていたのだな。」


「「 はい。」」」


アランがパーシーに聞いた。

「パーシー、お前は何故、知ったのだ?」


「父上を見ていて、、何となく、気になっていた事があるのです。」


「どんな事だ。」

パーシーが話し出した。

「父上は親衛隊隊長です。陛下と王妃様をお守りするはずなのに、僕が父上を見かける時に限って、父上はヴァシリスを馬に同乗して、警護していました。ラングドン王太子殿下やパトリック王子殿下を馬に同乗したのは見た事がない。

王宮からの呼び出しが、なんか、不定期で突然あるのも、気になっていました。

親衛隊の動き方って、屋敷の騎士達を見ていればある程度わかります。だけど、その流れでない時に、呼び出しがあったり、騎士服を着ずに飛び出して行ったり、その時は、必ずユリシーズ叔父上まで、ご一緒だ。その場合、どちらかが、必ず帰って来ないのです。で、同時にうちの騎士が動いてない。数人、連れて出たとしても、父上にかなり近い親衛隊だけ。何かあるとしか思えないではないですか?で、ある日、その話をアズラエルにしたら、同じ意見でした。」


ユリシーズがアズラエルを見る。

「お前も、いつから知っていた?」


アズラエルが恐々、話し出した。

「アラン叔父上は、ウリエルの屋敷に戻られる回数も多かったですが、うちについては、父上も母上も、ほとんど帰ってこない。父上が帰って来ても、僕の鍛練だけして、また王宮に戻っていかれる。

母上がヴァシリスの乳母なのは、わかっていたし、3歳まで一緒に東宮で育ったのに、ある日突然、僕はウリエルに返されて、父上も帰って来なくなった。そして僕の鍛練が、突然、厳しくなった。気晴らしに海に行くしかなくて、1人の時間は、よく海に遊びに行ってました。

ある日、海で、ヴァシリスともっと幼い女の子が一緒に遊んでいて、父上だけが警護についていたのを見て、おかしいと思いました。

ヴァシリスは、遠目に見ても、必ず瞳でわかりますから。

そしたら、子供2人だけで、海に入ってくし、父上は意外にも知らんぷりしてる。陸なら、すごい集中力で警護をなさってるのは、知っていますから。

で、僕も海に入って、ついて行ったら、ポセイダルゴ様に声をかけられました。

話を聞いたら、命をかけた誓いが必要、誓えないなら、帰りなさいと言われ、誓うと約束しました。何にも知らないより、同じ死ぬなら、知りたいと思ったからです。

ポセイダルゴ様の話を聞いて、僕はヴァシリスを守る役目を願い出たのです。あの誓いは、一回死んだかもしれないと思うくらい苦しいものでした。」


「アズラエル、話してやれず、済まなかった。」


「父上のせいではありません。巫女と海の王子を守るには、命をかけるしかない事は、経験して理解しましたから。ただ、強くならないと、ヴァシリスに会えないのが、一番辛かった。」


パーシーがまた話し出した。

「アズラエルが、ある日突然、鍛練を真剣にし始めて、海にも良く行ってるのを知って、問い詰めました。

僕を海に連れて行き、ポセイダルゴ様に合わせてくれました。そのあとは、アズラエルと同じです。父上の行動が何だったかわかって、逆に前向きになれました。」


「結局、親が隠しても、子供たちは、自ら道を見つけた、という事なのか。」

王が呟く。


「ポセイダルゴ様と、出会うと、運命が変わります。海洋ヒーラーなら、必ず海に行きますし、遅かれ早かれ、どこかで、繋がっていきます。」

アズラエルがそう言えば、子供達が頷いている。


「父上、遅くなりました。」

みんな、すごい神妙な顔をしている。


「父上、何かあったのですか?」


「いや、みんなに、どうやって今日を迎えたのか、聞いていた。結局、ポセイダルゴやポセイドンと出会っていてな、みんな、お前と巫女の事を、知っていた、と、わかった。」


「父上、僕も、今日、みんなと初めて会いましたが、知っていて、知らん顔してくれているような気がしてました。」


「それで、アリエッタは眠ったのか?」


「はい、母上とオランが今は一緒です。最低でも、一年くらいは眠り姫だと。。」


「そうか、では、アリエッタは、セレステに任せよう。アラン、ユリシーズ、マース、この海神の騎士達をどうする?」


アランが笑いながら言った。

「たぶん、無敵でしょうが、更に鍛えつつ、第三騎士団を強化することが必要でしょう。今回の第三団の入団者は、全員、海洋ヒーラーですから、先に海で訓練する方がよいですな。」


「全員、海洋ヒーラー?」アズラエルがびっくりしている。


「そうだ、騎士に向かなくても、海では戦える。」とアラン。


「あと、ザドキエル大将の孫ですが、今日、騎士には向かぬと、屋敷から迎えが来て、リタイアしました。」ユリシーズ情報。


「えっ、もう辞めたのですか?」

パーシーが驚く。


「第一で、立場がなくなったらしい。ザドキエル大将の孫と言う事で、囃し立てられていたが、同じ年齢の、同じ孫との、力量差がありすぎたようだ。たしかに、あの時のヴァシリスは、伝説の騎士物語のようだった。」


「アラン、そんなに褒めて良いのか?」


「陛下、あれは、騎士団の教官全てが、あれだけで、親衛隊に入れても良いくらいだと。」


「アラン兄上、ヴァシリスには、教える事はないと、言ったではありませんか。」


「父上っ、僕には教えてくださらないのですか?」


「アズラエル、今日のヴァシリスのあの動きは、私が教えたと思っているのか?」 


「えっ?違うのですか?」


「確かに馬の乗り方や走り方の基本は教えた。剣の扱い方も教えた。だが、練習したのはヴァシリスだ。

あんなシチュエーションを想定して練習できると思っているのか?あれがヴァシリスの本来の力だ。

アズラエル、お前には、もっと時間があったはずだ。ヴァシリスは王子だ、とにかく学ぶことが、山のようにある。勉強も、すでにアカデミーの5年の分まで、予習済みだ。確かに王家の家庭教師はついているが、ウリエル家にも、家庭教師はいるだろう。公爵家の家庭教師では、物足りないのか?」


「そ、そんな。」


「パーシーもだ。お前は、あんなに力任せの試合ばかりして、何を学んできた。ユリシーズの言うように、ウリエルの家庭教師の授業を受けてないだろう?」


「ヴァシリス、お前、そんなに毎日、勉強しているのか?」


「朝から晩まで、予定が詰まっているし、騎士団に入りたかったから、その時間を作るためにも、かなり勉強はした。」


「ダニエルとアーサーは、勉強も鍛錬もバランス良く身についているが、問題は、ウリエルの2人だな。親衛隊長として、情けないぞ。」


「パーシーとアズラエル、明日から、午前中は勉強、昼からは特別に特訓だ。」


「「ええっ?父上、叔父上。」」


「ウリエル家の恥になるなんて、容赦しないからな。」


横で聞いている僕がびびっていた。


「で、お前らのその粗っぽさと抜けを改善するために、マース殿に鍛練をお願いした。覚悟しておけ。」


「 はい、、」

「声が小さいっ。」

「「はっ!」」

「よしっ。」


「で、ヴァシリス、父君がな、」

「おじいさまが?なんですか?まさか。」

「その、まさかだ。海洋軍の地獄のキャンプにと。」

「父上、今は、アリエッタが死にものぐるいでヒーリングしてくれたので、すぐには。」

「そう言ってあるが、」

「せめて、アリエッタが目覚めてからでは、いけませんか?」

「確かに、8歳は早すぎるな。」

「行くなら5人全員で行きます。 」

「伝えておく。」


アランが説明する。

「で、海神の騎士達。週に2回、年少優秀騎士団の訓練がある。それには、参加しなくてはならない。まあ、ついていけるだろうが。

それ以外は、それぞれに勉強や課題があるだろう。ヴァシリスは陛下の指示が最優先。

ダニエルとアーサーは、ヴァシリスの護衛につけ。

パーシーとアズラエルは、さっき伝えたが、勉強と鍛練だ。勉強は、ウリエル家から、騎士団に家庭教師を寄越すから、騎士団から出るな。

週に一回、私かユリシーズの試験で、上達したかどうか確認する。

それから、

優秀騎士団の、ジプラーと取り巻き全員は、騎士団から罷免された。残ったのは本来の力のある者ばかりだ。将来の親衛隊騎士だ。共に成長してほしい。いずれ海洋ヒーラーは、海洋騎士団となる。親衛隊の海洋ヒーラーは、海洋親衛隊となる。」


「父上、ジプラー家を、断絶するのですか?」

「ヴァシリスはどうしたい? 」

「将来に遺恨を残したままでは、また謀反の火種になりますが、生きられる道を探ってはいけませんか?問題のある家を全て絶やしていくと、貴族がいなくなります。貴族なしで、国政が安定するならば、それもありですが、命を大切にする国でありたいし。」

「お前の言い分も、わかっている。次々と消す時代は、終わりにしていきたい。海神の騎士達、ジプラー侯爵家と話してみるか?」

「「「「「はっ!」」」」」


「夜も更けてきた。子供達は、しっかり食べたのか?」

「はいっ。」

「他に話しておきたいことはあるか? さっき、アカデミーの話が出ていたが、できれば5人、揃ってアカデミーに入学させたいが。

ダニエルが11歳だから、2年後か?」


「はいっ、2年後に入学です。」 


「ヴァシリスも、いつ入学してもついていけるな?」


「はい、大丈夫です。」


「アーサーも、大丈夫だな。ガブリエル卿の厳しさも有名だからな」


「はい、僕は、いま4年の予習で、もうすぐ終わります。ヴァシリスが5年の分も終わっていると聞いたので、ヴァシリスに合わせて急ぎます。」


アランがパーシーとアズラエルを睨む。

「結局、パーシー、アズラエル、お前たちが足を引っ張っているぞ。前倒し入学は、王宮の教育部の試験に合格しなければならない。できなければ、ヴァシリスの護衛にはなれないぞ。」


「とにかく頑張ります。 」

「絶対に何とかします。」

「わからないことは、聞いてくれ。いいな。みんなで入学するんだ。」

「「よし、頑張ろう。」」


「では、騎士寮に戻っていいぞ。 」


「では陛下、子供達は、私が騎士寮へ。 」

「ユリシーズ、頼む。」


騎士寮と王宮をつなぐ、隠し通路を覚えながら、戻った。


部屋に帰ると、剣立てには、剣はなかった。

剣を置いて、寝着に着替えて、横になった。

長い一日だった。未来への道が開き、仲間が増えた。

海神の騎士達が目覚めた事は、嬉しかった。


だけど、巫女は眠り姫になってしまった。

アリエッタは、ご神託だけではなくて、僕の命を守る巫女だったなんて。

ずっと一緒にいるためには、もっと強くならなくては。僕が怪我をすれば、アリエッタは眠る事になる。だから、強くなるしかない。

真っ暗な部屋で、アリエッタを想う。

アリエッタ。。呟くと、ペンダントが光った。

「アリエッタ、聞こえているか?」

また光った。

「よく眠るんだ。離れていても、一緒にいる。」

また光った。貴石を握りしめて、そっと口を触れた。

「ゆっくり、おやすみ、大切なアリエッタ。」

2回光って、僕も眠りについた。


ヴァシリスの日々が、やっと落ち着きました。アリエッタは眠り続けます。これからどんな未来に。

読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ