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巫女は海を守りたい〜愛が溢れるヒーラー物語  作者: 紫陽花
第5章 次の新しい道 婚約のあと
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第5章 眠り姫〜アリエッタの回想

二人が、ポセイドンのパワーで医務室に戻された時には、アリエッタが眠りに入っていた。


僕達も、8歳と5歳に戻っていた。

医務室は、僕が吐き流した血の海だった。

どれだけ、ひどい状態だったか、改めて理解した。アリエッタがいなかったら、死んでいた。


本当に眠ってしまったアリエッタを抱き止めたまま、ぼっ〜としていると、セレステと母上とオランが来てくれた。


「母君、クロノス様が、」


「婿さま、クロノス様からご神託で説明を。」


「セレステ、今日はまだ、あなたは役目があるでしょう。ここは私たちに任せて。」


「坊っちゃま、姫様をお預かりしますよ。」 


「オラン、こんな日だし、今夜は、アリエルちゃんは月の宮で預かりましょう。セレステ、それでいいかしら?」


セレステが頷く。

「アンジェラ、ごめんなさい。お願いします。連れ帰ったと思ったら、急にいなくなるし、王宮まで勝手に戻るなんて。」


「母君、アリエッタには、クロノス様とポセイドン様が、ついています。僕の危機を助けにくるのなら、神々のご加護があったのでは?」


「そうですね、最近は、ご神託が、私と娘に、バラバラに降りているので、、、では、私は陛下とマースに同行いたします。」

セレステが先に医務室を出て、隣室に戻って行った。


オランにアリエッタを渡したら、

母上が僕のところにきた。


「ヴァシリス、生きていてくれて、ありがとう。」

母上が泣いている。

「アリエッタが助けてくれました。 」


「もう、無茶はしないでね。続けて、死にかけすぎよ。3回も。今は、痛いところはないの?」


頷く。

母上がそっと抱きしめてくれる。


「エドワードが、あなた達に、もう少し話があるから、陽の宮のダイニングに集まりなさいって。あなたは血まみれだから、着替えも必要だし、少し遅れてもいいと。一回、月の宮に戻って。」


「わかりました。」


医師が戻ってきた。

医師の診察を受けて、脇腹から背中、内臓からの出血、口腔内の傷、右手の骨折、右腕の筋肉断裂は治癒していると。

命がけの凄いヒーリングエネルギーが使われたと、言われた。

顔の腫れだけ、数日かかると言われ、塗り薬と飲み薬を渡され、診察は終わった。


僕は、海を出して、血まみれの医務室を綺麗にしてから、オランを見たら、黙って、アリエッタを渡してくれた。


医務室を出たら、隣の部屋から、父上達も部屋を出るところだった。

ダニエルが駆け寄ってきて、僕の腕の中のアリエッタを見た。

「いつのまにか、こんなに成長していたんだな。最後に見たのは、生まれて1か月くらいだったから。さっき神殿でみて、すぐにわからなかった。触れてもいいか。」


「当たり前だ、ダニエルの妹だぞ。でも成人までだ。」

「言うと思った」

ダニエルが笑いながら、アリエッタの頭を撫でていた。

「アリエッタ、僕の妹、お前が眠っている間、ヴァシリスは僕らが守るから、安心して眠るんだ。」

アーサーもパーシーもアズラエルも、僕らの周りに来ていた。


「少年騎士団、陽の宮で、夕食にしよう。ヴァシリスは、着替えたら来なさい。」


父上は、セレステを連れ、みんなと陽の宮に戻って行った。


母上とオランと、アリエッタを抱えた僕は、王宮の隠し通路から、月の宮に戻った。


アリエッタを母上とオランに渡して、僕は軽く湯浴みをした。部屋着は血まみれ、体の傷は治っていたが、身体には流れた血が固まって大量についていた。アリエッタのヒーリングエネルギーが僕の中で流れているのがわかる。


浴室を出ると、騎士団の部屋着がおいてあった。オランは早い。

とりあえず、僕の部屋に戻ると、誰もいなかったので、アリエッから教えられた、クロゼットの中の隠し扉を探してみた。

あった。手を触れたら、スッと開き、下におりる階段があった。これが、あの悲愛の聖母像に繋がっている。

最近、隠し通路が普通になってきているけど、これにはさすがに驚いた。誰が作ったんだろう。


扉に人の気配がして、クロゼットから出ると、母上が顔をのぞかせた。

「ヴァシリス、アリエルちゃん、こっちで寝かせてもいいかしら?」


「僕は、父上の話が終わったら、騎士寮に戻らなくてはならないし、構わないですが。」


「アリエルちゃん、きっとあなたの寝台で眠りたいだろうなって。」


「へ?何で?」


「今朝、泣いて頼まれたのよ。あなたの寝着が欲しいって。何枚もあるから、渡したら、洗濯上がりのではなくて、朝まで着ていた寝着だと、、」


アリエッタは母上に頼んだのか?

顔が赤くなるのがわかった。


「ヴァシリス、アリエルちゃんを怒らないでね。大人の口づけを知った20歳の乙女なら、婚約者の香りが好きでも、おかしくないから。だから、渡してあげたわ。」


「うっ、、そっそれは、母上、申し訳ありません。」


「いいのよ。アリエルちゃんのその気持ち、嬉しかったの。初めて私におねだりしたのが、あなたの寝着だなんて、王妃に王子の寝着をくださいなんて、うふふ、、嬉しくて、あなたの枕もあげちゃったわっ。」


「はっ母上、何をなさってるんですか?」


「枕なんて、たくさんあるんだし。それに私も、エドワードの香りが恋しかったから、わかるのよ。」


「母上っ!」


「エドワードが朝になると、居なくなるのが、つらくて、エドワードが着替えたあとの寝着を、侍女に奪われる前に、隠していたわ。」


母上の告白は、時々、怖い。

父上に話したら、喜ぶんだろうな。ふっ。

「何、笑ってるの?ヴァシリス。」


「いや、今日、父上が、、、」

父上がランドルフの謀反で、ダンドルが、母上の名を口にして、口を蹴飛ばした話をした。


「エドワードが、そんな事で、怒ったの?」


「はい、汚い口で、妃の名を二度と口にするなと。自分の許嫁を取られたのはお前が弱いからだ、と。そこまでは、まあ普通ですよね。そのあとに『私は自分の女は自分で守る』と。全騎士と見習いがいる前で。」


「まあっっ 」頬をおさえる母上の首から顔が、本当にピンク色になった。


「ヴァシリス、ありがとう。そんな事、初めて聞いたわ。エドワードが、人前で、そんな事を言うなんて、思ってもみなかった。」


「父上は母上の事になると、抑えが効かなくなります。騎士の王が、そのような言葉を言うと、周りの騎士達は、憧れの表情でした。親衛隊だけは、いつもの事だから、淡々と死体の片付けとかしてましたが。」


「えっ?そう言うのって、今日が初めてじゃないの?親衛隊はみんな普通に知っているの?」


「はい、私のアンジェラ、とか、我が王妃、とか、私のものを語るな、とか、大概、手や足が先に出て、殴ってから、私の、、、と始まります。母上は誘拐されやすいし、狙われやすいから、父上も気が気でないんでしょう。」


「だから、、16歳の、あの襲撃があったとき。」


「???あっ、父上は母上が16歳で、くちづ、、け、」


「誰にも渡さないと、言われて、抱きしめられて。その時に、もし守りきれない時は、我が手で其方の命を断っていいか、と聞かれたわ。」


「えっ?あまりにも横暴な、、」

母上が、甘い顔をしている。


「私は即答したわ。あなたの手で死ねるなら本望です、と。それで、誓いの口づけを、、はぁっ、あの頃のエドワードは素敵だったわ。今は、もっと素敵だけど。。」


親の惚気話を聞くのは、キツイ。

ちょうどノックの音が聞こえて、オランがアリエッタを抱っこして、入ってきた。

「いつも通り、こちらに寝かせましょう。姫さまも、坊っちゃまの香りがする場所がいいでしょうし。」


「ぐっ、オランも知っていたのか。」


「知っておりますよ。坊っちゃまが出発なさった後、こちらに戻ってきたら、姫さまが、アンジェラの足元で、頭を床にすり付けて、泣きながら、懇願されてましたから、何か、粗相があったのかと、息が止まる思いでした。」


「想い人の寝着がほしいって。」

「姫さまも、やっと乙女の仲間入りをされたようで、安堵いたしました。」

「寝着や枕じゃなくて、ヴァシリスそのものをプレゼントしたいぐらいだけど。」


「母上っ、今日は、母上も変ですよ。」


「何を言うのよ、大人の口づけをしたのなら、大人の仲間入りしたのと同じだわ。」


「母上、今は、8歳ですから、、」


「坊っちゃま、諦めるしかないですよ。ユリシーズにも、聞いたそうですね?」


「何を???うっ。」

そうだ、恋文の話から、ユリシーズに、オランを抱きしめたい時があるのかと、聞いていた。


「思い出されましたか?」


「すっすまない。」


「謝らなくていいのよ。ヴァシリス。ユリシーズは、屋敷にほとんど帰ってなかったから、いけないのよ。

もっと屋敷に帰るから、と、さっきオランに謝っていたのを、聞いちゃったのよ。あんな甘いユリシーズ、久しぶりに見たわ。」


「なっ、何よ。アンジェラ、盗み聞きは、マナー違反よ。」オランが赤くなっている。


「あらっ、ユリシーズは、周りに聞こえる声で言ってたもの、あなたを引き寄せて、頬に触れながら。」


「アンジェラ、ダメっ。坊っちゃま、聞いてはなりません。」

大人の世界から抜け出さなくては。


「ヴァシリス、私とオランは、先に出るわね。明日からの事は、私たちに任せて。アリエルちゃんにおやすみのキスを。」


僕の寝台で、僕の毛布に包まり、スヤスヤ眠るアリエッタのそばに跪いた。

アリエッタの首にかかる首飾りに触れて、オレンジキラキラをこめた。


アリエッタの額におやすみの口づけをした。アリエッタの指にある貝殻リングにも口づけした。

僕の貝殻リングの手をアリエッタに重ねて、部屋に海を出した。好きな海で眠れるだろう。


「アリエッタ、僕は回復したから、安心して眠るんだ。エネルギーが満ちたら、目を覚ましてくれ。僕の眠り姫。」


部屋を出て、母上とオランに挨拶をして、陽の宮に向かった。


*・゜゜・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゜・*


アリエッタの追憶


ヴァシリス様に、貴石のペンダントを渡せて良かった。

でも、これから、どうなるのかしら。

ミカエラード家に戻ったら、巫女教育と聞いているし。ヴァシリス様と、離れてしまうなんて、わかっていたけど、どうしていいかわからない。


あっ、ヴァシリス様の寝着。

私は、月の宮の入り口から一番奥のヴァシリス様の寝室まで、全力で走って戻った。


アンジェラおかあさまの私室から、ヴァシリス様の部屋の扉を開けて、ヴァシリス様のクロゼットにある、ランドリーバスケットから、ヴァシリス様の寝着を取り出した。顔をつけると、ヴァシリス様の海のような匂いがする。

涙が出てきた。ヴァシリスさま。行ってしまわれたのが、ひしひしとわかる。


「アリエルちゃん、どこ?」

おかあさまが、お部屋に入ってらした。

ヴァシリス様の寝着を後ろ手に隠した。


「アリエルちゃん、どうしたの?何を持ってるの?」


「あの、あの、アンジェラおかあさま。お願いです。ヴァシリス様の寝着を、寝着を私にくださいっ。」


「ヴァシリスの寝着を?いいわよ。何枚もあるから。」

おかあさまは、クロゼットから、新しい寝着を出して渡して下さったのだけど、、、


「違うんです。あの、、」


「アリエルちゃん、持ってるのは、もしかして、ヴァシリスが朝まで着ていた寝着?」


私は、取りあげられたくなくて、寝着を胸に抱きしめて、体で守って、床に座って頭を下げて、おかあさまにお願いした。


「おかあさま、お願いです。取り上げないでください。わたし、ヴァシリス様がいらっしゃらなくなって、ヴァシリス様の匂いが恋しくて、ごめんなさい。これを取り上げないでください。」

また涙が出てきて、止まらない。ヴァシリス様が一度手を通されたものは、侍女が回収して、すぐに洗濯室にまわされる。

匂いがするものは、これしか残ってない。せめてヴァシリス様の、、、


「アンジェラ、姫さま、何があったの?」

オランの声がした。


「オラン、オランおばさま、おかあさまに一緒にお願いしてください。」


「アンジェラ、床に頭をつけさせるなんて、何があったの?」


「違うのよ。アリエルちゃん、持って行っていいから、椅子に座って。」


私が立ち上がると、ヴァシリス様の寝着を抱きしめているのを、オランおばさまにも見つかってしまったけれど。


「まあまあ、姫さま。坊っちゃまの香りが恋しいのですね。」

と言われた。


「怒ることではないから、アリエルちゃん、大丈夫よ。」


「おかあさま、ありがとうございます。大切にします。」


「オラン、他にない?着ていたものは、寝着しかないし。」


「枕はどうかしら?」


「アリエルちゃん、ヴァシリスの枕、一個持ってく?」


「よろしいのですか?」


「いいわよ、ヴァシリス臭いのが、欲しいのでしょう?」


「…はい。」


「可愛いわね、アリエルちゃん、乙女心は大切よ。じゃあ、オラン、セレステが迎えに来るまでに、荷造りしましょう。セレステに見つからないように。」


「急ぎましょう。姫さま、これは、セレステお姉様に見つかってはなりませんよ。」


「見つかると、いけないのですか?」


「お姉様は、なぜか、こういう事に厳しいというか、乙女心が少ないと言うか、見つかったら、取り上げられますよ。必ず隠して。ミカエラード家では、信頼できる侍女にだけ。他は隠さないと。」


「もし、取り上げられたら、またヴァシリスから、もらってあげるから。」


「おかあさま、オランおばさま、ありがとうございます。」


おかあさまとオランおばさまは、私の荷物の中に、王家のノートやペン、ヴァシリス様の寝着と枕をさっさと入れて、最後に、ヴァシリス様の肖像画の小さなものを、入れて下さった。


荷造りが終わり、ほっとしたら、侍女がきた。

「王妃さま。ミカエラード公爵家から、セレステさまと、アリエッタ様のお迎えの馬車が到着いたしました。」


「早いわね。ナリス、荷物を先に運んで。」


「アリエルちゃん、巫女教育がかなり厳しいのは、聞いているわ。辛くなったり、どうしてもヴァシリスに会いたくなったら、我慢しなくていいから、ここに来るのよ。私がいなければ、侍女のナリスでも構わないから。それからガブリエル家に行ったら、オランに助けを求めなさい。いいわね。」


「姫さま、セレステお姉様が厳しいのは、私もよくわかっているから、辛くなったら必ず、頼っていいのよ。ミカエラード家とガブリエル家には、王宮に通じている巫女のための隠し通路があるの。それぞれの場所で、また教えてあげますからね。」


「おかあさま、オランおばさま。ありがとうございます。」


アンジェラおかあさまが、力いっぱい抱きしめて、額にキスをしてくださった。


*・゜゜・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゜・*


セレステお母様に連れられて、迎えの馬車で、ミカエラード家に帰宅し、お父様にご挨拶をして、

私は、また白い神殿に入ることになった。


「アリエッタ、今日からここが、あなたが暮らす場所になるわ。」


「えっ?神殿の中で?」


「巫女の安全が第一だから、婿様がいらっしゃらない時は、神殿からは出してあげられないの。いいわね。」


「はい、承知いたしました。」


「よろしいわ。ではあなたのお部屋を。こっちに来て。」


お母様は祭壇の奥に進んでいく。

祭壇の奥には、「悲愛の聖母」と言う、有名な彫像があるのだけど、その奥は壁しかない。


「お母、ここは壁しか」

お母様は、珍しく、にっこり笑って下さった。


「アリエッタ、この壁のあたりに、何か見えない?よく見て。」 


壁の全面には、唐草模様のようなレリーフがあり、真っ白なだけで、、、見慣れた紋章があった。

「あっ、王家の紋章が。」


「見えたのね?そこに手を当ててみて。」 


うっすらとしか見えない王家の紋章に手を当てると、紋章が金色に光り浮き上がって、扉の形になり、扉が開いた。


「次代巫女のお部屋よ。こちら側からは、あなたと私しか入れないわ。アリエッタが成人したら、私も入れなくなるらしいわ」


「誰も入れないのですか?」


「それが不思議なんだけど、ミカエラード公爵邸側からは、入れるのだけど、様子が違うのよ。

こちら側からは、あなたがみた全ての光景を基本とすると、ミカエラード側の扉から入ると、寝台やクロゼットや、日常生活で侍女がお掃除したり整える部分しか見えないみたいなの。だから、古い書物や、あなたが大切にしているものは、誰にも見えなくてなるはずよ。

たとえば、いまアリエッタが身につけている首飾りは、婿様からいただいたものでしょう?

ポセイドンの強力な加護がかかっているわ。それを、このお部屋に置いても、侍女たちには見えないのよ。」


「お母様にはみえるのですよね。」


「身につけているから、見えるのよ。外して置いてみる?」


外したくないけど、確認が必要なら、しておいた方がいいけれど、ヴァシリス様がつけてくださったものだ。


「お母様、外したくないので、他の首飾りでしてみます。婚約式の時の首飾りもお守りです。」

荷物から、出して、お母様に見せた。神殿の中では見えている。

部屋に入って、首飾りをライティングデスクに置いてみた。

「いま置きました。」


「見えないわ。あなたが、部屋に入ったら、首飾りだけ見えなくなったの。」


「お母様もお部屋に。」


お母様がお部屋に入っても、ヴァシリス様の首飾りは見えなかった。


「これが、神殿の加護のセキュリティなのね。。だから、アリエッタが置いた場所を忘れたら、みんな見えないから、わからなくなるから、気をつけてね。」


「わかりました。」

と言う事は、ヴァシリス様の寝着と枕はバレないわ。ちょっと安心。


「では、反対側の扉から出てみましょう。」


お母様がミカエラード側の扉を開けたら、普通にお屋敷の廊下に出た。ここは、歩いたことがある廊下だ。

扉を閉めて、開けたら、すぐに開く。

でも部屋の中は、クロゼットと寝台とライティングデスクとサイドテーブルの簡素な部屋しか見えい。本棚や、私の荷物の中身で、見えないものがいくつもあった。すごい。


「では、また神殿に戻りましょう。」


「不思議なお部屋ですね。」


「あなたが使うようになれば、ミカエラード側からも簡単に開かなくなるかも?あなたのお部屋だから、アリエッタが開け閉めできれば、それで安心だわ。

では、巫女教育を、はじめましょう。」


お母様から、《オラクルカード》と言うものを渡された。ご神託が降りてくる以外に、神々のお告げを知るためのカードと言うものだった。


その使い方を教わっている時に、首飾りが何回も光る。

カードを引いて見ると《注意》とでる。

また首飾りが光って目の前に、ヴァシリス様が戦っている姿がうつる。

「ヴァシリスさま、危ないっ」


「アリエッタ、どうしたの」

目の前には、お母様がいて、あの光景は消えた。

何回か同じような事があったけれど、光景がすぐに消えるので、オラクルカードの勉強を続けた。


昼食は、屋敷側に戻って、お父様とお母様と3人で

いただいた。親子だけのお食事なんて、初めてだから、不思議な気がした。さくらんぼ、出ないんだ。


午後から、またオラクルカードの勉強だった。

眠気がきて、また夢を見た。悲愛の聖母の彫像のロザリオにトライデントの紋章が、、ポセイダルゴ様の声が聞こえた。《愛する者を癒す道だ、アリエッタ、忘れるな、愛を守れ。》


「アリエッタ、アリエッタ、寝てるの?」

お母様の声で、我に返った。


「お母様、最近、寝ていても、起きていても、何となく夢を見るのです。ご神託のような、お伝えしなくてはっ!て思うような感じじゃなくて。」


「それは、ご神託じゃなくて、あなたへのお告げよ。私も時々見るわ。突然、光景が変わるでしょう?」


「お母様も見るのですか?」


「5歳くらい、ちょうどあなたの年齢くらいから。突然、何かの光景を見るから、元に戻った時に、びっくりするでしょう?」


お母様も見ると聞いて、安心した。

お母様は、10歳くらいから、知らない庭の夢を、何回も続けていたらしい。

13歳の時に、ガブリエル家の女性が前王妃のお茶会に行ったときに、その庭が実在するとわかったらしい。そこで、国王と光の調和をしたのだと、教えてくださった。


私が、ヴァシリス様と光の調和をした時を思い出した話をしたら、お母様が描いた絵を見せられた。

私が見た光景と同じだ。ドレスの色やデザインも同じだった。私を産んだ瞬間にご神託が降りて、これを見たと。


まだ神殿に来て、一日も経ってないのに、お母様と話すと、今まで疑問だった事が、よくわかるようになった。 



また首飾りが光だした。

目の前に、ヴァシリス様がお顔を殴られて、脇腹を蹴られて、血が流れている。

ヒーリングエネルギーを送らないと、ヴァシリス様が死ぬと感じた。

「お母様、ヴァシリス様が血を流してる。」


「アリエッタ、落ち着きなさい。騎士団には護衛もいるから大丈夫よ。」


「ヒーリングエネルギーを送らないと、ヴァシリスさま、気づいてください、ヴァシリスさまっ。」


「アリエッタ、落ち着きなさい。ご神託なの?」


「これは、お告げ。」


「巫女は、ご神託の時しか、動いてはならないわ。お告げはお告げなのよ。」


お母様の言う意味が、よくわからない。

お告げとご神託って、一緒じゃないの?


その時だった。

医務室のようなところで、部屋着を着たヴァシリス様が、血を吐き、脇腹から背中から、血が流れてくる。また血を吐く。


《アリエッタ、ヴァシリスを癒すのだ。其方の愛の全てをかけて》


クロノス様のご神託だった。これがご神託。

「お母様、行かなくては、クロノス様が、ヴァシリス様を癒せと。」

私は祭壇に走った。


「アリエッタ、馬車を用意させるわ。待ちなさいっ。とにかく、、」

お母様は屋敷側の扉から出ていく。

私は祭壇をまわって、悲愛に聖母像の前にきた。

さっきみた夢、いやお告げの光景、、

よく見ると、ロザリオの十字架の真ん中にコバルトブルーに光るトライデントの紋章があった。

そこを押したら、床が開いて、階段が現れた。

階段を数段降りたら、隠し通路があった。通路は、海の道だ。脇目もふらずに走った。

上る階段が数段ある。階段をのぼるとっ壁だった。壁を触って撫でると、トライデントの紋章が浮かんだ。そこを押したら、壁が開いて、クロゼットの中だった。

ヴァシリス様の香りがしている。

えっ?ここは、まさか。

手を伸ばしてクロゼットの扉を開けると

ヴァシリス様の勉強勉強だった。

とにかく行かなくては。あの医務室はどこにあるの?

ヴァシリス様の部屋を出ると、アンジェラおかあさまの私室。誰かいて。願うように扉を開けると、アンジェラおかあさまがいらした。


「アリエルちゃん?どこから来たの?」

「神殿から。ミカエラードの神殿から、隠し通路があって、、」

「隠し通路からヴァシリスの部屋に来たの?知ってたの?私は知らなかったわ。」

「いいえ、今日、通路の入り口を夢でみて、でもどこに着くかわからなかったのですが、全てトライデントの紋章が」

「トライデントなら、ヴァシリスにたどり着くわね。セレステは?」

「お母様は知らないみたいです。馬車を用意すると、神殿を出て、 」


「おかあさま、ヴァシリス様が殴られて蹴られて、血をたくさん吐いて、体から血が流れて、、医務室で。」


「ヴァシリスが血を吐いてるの?医務室ってどこの?騎士団の医務室かしら?」


「いつも見てくださるお医者さまが、白い口髭の」

「それは、王宮の医務室だわ。アリエルちゃん、行くわよ。ついてきて。」


アンジェラおかあさまは、お義父さまと過ごされるお部屋に入って、寝台に近い壁に触れると

また隠し通路が開いた。


「妃は、このお部屋で赤ちゃんを産むの、生まれた赤ちゃんは、つまり王子や姫は狙われやすいから、後宮から出さないのよ。だから、医師がすぐに来れるように。医務室に繋がる通路は、最短の通路よ。これも妃教育の一つだから、覚えておいてね。」


おかあさまは、通路を急ぎ足で進みながら、教えて下さった。


たとり着いた扉に触れると、医務室の控え室に出た。その扉を開くと、

血まみれのヴァシリス様がお医者さまに支えられていた。床は一面、血が流れていた。

口から血が流れて床に落ちているのに何か言ってる。


「ユリシーズ、アリエッタはダメだ。」

ヴァシリス様の首のペンダントが光っている。

「姫様が適任です。」

「心配させたくない。」


「朝から、ずっと心配していました。」

ヴァシリス様が、私をみた。やっと会えた。


助けなくては、私しか助けられない。

クロノス様が、癒し助けよと。

私はヴァシリス様の巫女。

私はヴァシリス様に駆け寄った。


アリエッタが眠り姫に。

読んでいただき、ありがとうございます。

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