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第4章 ご神託の真相

陽の宮へ向かう廊下で、僕は父上に、アリエッタのご神託を伝えた。


「パニエールは本気で、この国を潰しにくる気だな。わかった。作戦を変えねばならぬな。

ヴァシリス、睡眠はきちんと取れているか?」


「大丈夫です。よく眠った後にアリエッタにご神託があったので。」


父上の書斎に、20分もしない間に、全員が集まった。

母上の父君は、ザドキエル侯爵、海洋軍の大将、つまりトップの将軍だ。


父上、母上、ミカエラード公爵、セレステ、

ザドキエル将軍、アランとユリシーズ、オランがいる。


「緊急ゆえ、挨拶は抜きだ。深夜に関わらず、呼び出しに応じてくれ、感謝する。

巫女が、更なるご神託を得た。」


父上は一呼吸おいて、話しを始めた。

「3日前に、王太子の祝賀会で、パニエールが謀反を起こすことがわかり、隠密に対処していたが、

懸念していた、我が国への攻撃が明確になった。」


ザドキエル将軍が顔を顰めている。

「海からですな。」


「そうだ。攻撃型潜水艦 5隻がくる。

船の型から、敵は、チャンシア国で、ほぼ間違いない。」


「パニエールの次女が、チャンシアの王族に嫁いでいたから、結託したのだろう。狡い奴め。」


「襲撃の方法は、

ヴァシリスの妃候補アリエッタのお披露目のあと、アリエッタを拐い馬車で海岸に向かう。

その後、パニエールの末娘がヴァシリスをダンスに誘い、短剣で刺す。

アリエッタを潜水艦に乗せる頃には、ヴァシリスは死んでいると、計算しているだろう。

超特級ヒーラーの力を失ったシーシェルは、海洋軍だけでは、苦戦を強いられる。

軍港のない東側の海岸線から、潜水艦で破壊してくるようだ。」


「陛下、チャンシアの潜水艦は、装備が大掛かりで、破壊力が馬鹿でかい。東の海岸線は、軍港がなく、海産物の宝庫で、陸も農地に適した豊かな場所だ。

5隻で攻撃されたら数百キロに及び海岸沿いがすべて根こそぎ、破壊されますな。

さらに、チャンシアが潜水艦を出す時は、破壊し尽くした後、陸に乗り上げて乗組員が潜入し、艦が自爆する。国に入ったチャンシア人は、じわじわと王族や国の中枢人物を暗殺していく。

上陸前に、なんとしても、撃破せねばなりません。」

 

僕とアリエッタだけが、息を呑んだ。みんなはチャンシアの軍事力を知っていた。


セレステが口を開いた。

「私も今夜、ご神託を得たところですが、ヴァシリス様を刺す短剣に毒が塗られています。」


父上が片眉を上げた。

「毒だと?何の毒だ。」


「それは、種類までは聞こえず申し訳ありません。」セレステが俯く。


「あの、私、みました。赤い丸い葉っぱがたくさんと、黄色の豆みたいな実と、黒い小さな砂粒みたいな種と、紫の木の根っこをすりつぶして、、火で煮ていました。それをイライザの短剣に塗っていました。」


アランとユリシーズが同時につぶやいた。

「即死毒だ。」

「解毒剤がない。チャンシアでも、即死毒を作った薬師は死を賜っている。」


みんなが固まってしまった。

僕は仕方なく、口を開いた。


「ザドキエル将軍、あ、あの、おじいさま。

この一連の攻撃を回避する順番と言うのを、戦略的に、教えて頂きたく。

もし、イライザを無視して、つまり、僕が生きていれば、僕とアリエッタと海洋軍で、戦艦5隻は片付けられます。しかしそれをしてしまうと、パニエールを炙り出せなくなります。

パニエールを逃してしまうと、常にシーシェルは狙われ続けてしまいます。

となると、僕の動き方はどうすれば。」


「ほうっ、わしの孫殿は、潜水艦5隻を?」


「お望みであれば、一撃で。」

僕は片眉をあげてしまった。


「私もお手伝いできます。消してしまえばいいのてす。」

さっきまで泣いていた、アリエッタが、凛としている。言ってる事が、結構恐い気がするけど。


「殿下、トライデントの使い方が、、わかったのですか?」


「アラン、わかったんだ。アランが分析してくれたから、そのまま海の父上に訊ねたら、すぐにわかった。ありがとう、アラン。」


「海の父上ですと? 孫殿、まさか。」


「お父様、ヴァシリスは、ポセイダルゴ様の息子同様の全てのご加護を賜りました。」


「海神のパワー全てか。」


「はい。」

ザドキエル将軍は、椅子に深く腰掛け、ため息をついた。


「陛下、策を練り直しですな。

孫殿と巫女様への負担は増えますが、孫殿の気概を見る限り、命をかけて、シーシェルを守る覚悟と、お見受けしました。」


「ザドキエル将軍、おっしゃる通りだ。

アリエッタの命、ミカエラード公爵から、ヴァシリスに託されている。」


「では、ミカエラード公爵、近衛騎士団団長、副団長、策を練り直しましょう。

問題は、即死毒ですな。」


「あの、ヴァシリス様の毒は、私が吸い取ります。ただ、刺されてすぐじゃないと。できれば、水のある場所の方が吸い取るスピードが早くなります。」


「アリエッタ、吸い取れば、あなたの命が危ないのよ。」


「お母様、私は吸い取った毒では、死にません。

グリーンヒーラーとして、傷や毒を吸い取り中和するまでが、役目です。苦しみはありますが、死んだりしないです。そのあとは、ヴァシリス様が生命のオレンジパワーを。」


「しかし、ヴァシリス、自分の傷を自分で回復させられるのか?」


「父上、僕もそこまで死にかけたことがないので、、」

やっぱり、何か恐い話を、みんなで淡々としている。


「まあ、そうだな。」


「ただ、僕のパワーはアリエッタが引き出してくれます。もし、意識がなくても、アリエッタがなんとかするでしょう。」


「わかった。では、セレステ、パニエールを捕まえるに最適な場所はどこだ。」


「敵の潜水艦にアリエッタを乗せる時です。

潜水艦は、1艦だけ、上陸して、アリエッタを乗せてから、沖にむかい、総攻撃を仕掛けてきます。」


「もし、ヴァシリスを囮にしたら、刺された時に、そばにアリエッタがいなければならない。

アリエッタの誘拐を防いでしまうと、パニエールを油断させられない。」


あっちに動けば、こっちが動かず、こっちを動かせば、あっちが動かない、身動きがつかない話になってきた。


母上が口を開いた。


「陛下、このままでは、堂々巡りです。

私がアリエッタの代わりに拐われればよいのではありませんか?」


「アンジェラ、其方、何を言っているのだ。」


「陛下、アリエッタはヴァシリスの側に残さねばなりません。パニエールは何としても排除せねば。

パニエールからすれば、アリエッタより、王妃である私の方が、価値があるはず。

アリエッタが巫女とは、知られていません。

陛下、ヴァシリスとアリエッタが命をかけているのです。私はこの国の王妃です。

国と民を守るのが役目です。」


「王妃さま。それはなりません。アリエッタの身代わりなど。それならば、母である私が、身代わりに。」


「セレステ、あなたは、陛下の巫女です。何があっても死んではなりません。それに、人質として、陛下を脅すとしたら、王妃の私が、一番価値があるのです。巫女は極秘の立場ですから、人質には不向きです。

お父様、私を拐わせる形にして、計画を練ってください。」


「それなら、計画が立てられる。アンジェラ、さすが私の娘だ。」


「ザドキエル将軍、アンジェラを囮にするなど。」


「陛下、アンジェラは私の娘です。軍閥の家で育てました。王妃に決まった時、アンジェラは、その時がきたら、国のために命をかける約束をして、陛下に嫁ぎました。今がそのときならば、私は父として、迷いはしません。アンジェラは王妃です。

陛下も、お覚悟を。」


父上が拳を握りしめている。


「陛下、お約束したではありませんか。

あなたが危険な時は、私も危険を選ぶと。」


「父上、母上は、必ず僕が助けます。」


「エドワード、私を愛してくれているなら、行かせてください。私はあなたの妻なのですよ。

死ぬとは限りません。海の中の戦いなら、私も簡単には負けません。」


「おじいさま。僕が刺されても、意識さえあれば、母上が乗る潜水艦は、真っ二つにできます。

母上を海にさえ出せれば、一番安全です。」


「陛下、お覚悟を。」

みんなで父上を追い詰めているのは、わかっているけど、みんなが生き残る方法だ。


「わかった。アリエッタを狙う者が、王妃を拐うように仕向けよ。」


「では、侍女として、私はアンジェラと一緒に拐われましょう。ユリシーズ、わざと警護の抜けを作り、弱々しい王妃と弱々しい侍女を、拐わられやすくしてください。」


ユリシーズがオランを一瞬見つめて、頷いた。

「オラン、わかった。必ず助け出す。」


「オラン、あなたまで。」セレステが叫ぶ。


「セレステお姉さま。巫女は何としても、生き延びねばなりません。それが王家に仕えるガブリエル家の使命ではありませんでしたか。

ご心配なさらずに。ユリシーズは、必ず助け出してくれます。信じていますから。」


アリエッタが僕の袖を引っ張っている。


「ヴァシリスさま。今からポセイダルゴ様のお庭に行きませんか?あのお庭には、薬海藻がたくさん咲いています。

私のヒーリングは、基本的に海水の中で毒の中和をします。何か解毒剤の一部にでもなるものがあるはずです。

ヴァシリス様が陸の上で刺されると、すぐに海水につける用意をしないと、中和が間に合わなくなります。」


「アリエッタ、探しに行くのは構わないが、海の中を作り出したいなら、僕の剣で海水は出せるだろう。」


「それはヴァシリスが元気な時です。刺されてから、意識を失うまで、ご神託では、あまり時間がなかったから、私は取り乱しました。覚えているのです。ヴァシリス様が動かなくなるのを。」

アリエッタは、唇を噛み締め、僕の袖をぎゅっと握っている。


「わかった。では、海の庭に行ってみよう。

ついでに、アリエッタが、剣の鞘から海水が出せないか、聞いてこよう。

父上、と言う事で、僕とアリエッタは、海に行ってきてもいいですか?」


「ヴァシリス、今は、夜中だぞ。」


「こんな話の途中では、眠れませんし。闇に紛れて動く方が見つかりにくいです。僕とアリエッタは、2人揃って海にいるのが、一番安全ですし。」


「この夜中に騎馬では目立つだろう。」


「月の宮から、行ってきます。」


「エドワード、この子たちなら、大丈夫よ。さっヴァシリス、早く行ってきなさい。オラン、部屋まで2人を頼んでいいかしら。」


「では、父上、おじいさま、僕とアリエッタの役割が決まりましたら、ご命令をお願いします。

失礼します。」


僕とアリエッタは、オランに付き添われて、月の宮にもどり、僕の剣をもって、僕の部屋から隠し通路を通って海に向かった。



誰かが誰かを守りたい、襲撃に間に合うでしょうか。

読んでいただき、ありがとうございます。

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