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第4章 アリエッタの誕生日 ご神託

厩舎で、父上に励まされ、大泣きした。

顔を洗って、冷やしてから、僕の部屋に戻った。


アリエッタは湯浴みを終わり、また可愛い(くどいが)僕色の部屋着をきて、母上と勉強をしていた。


「母上、ただいま帰りました。厩舎で父上と一緒に馬の世話をして、遅くなってしまった。

アリエッタ ただいま。」


「おかえりなさ〜い」


「坊っちゃま、先に湯浴みなさいますか。」


「オラン、ありがとう。そうする。一人で大丈夫だから。」


月の宮には、大きな浴室がある。

泳げるくらい、浴槽が大きくて、大理石の獅子の口から湯が湧き出ている。

アリエッタが泳いで、オランに叱られたらしい。

地中から、湯が湧き出ているのだ。

僕は、頭から浴槽に潜った。


泣いても叫んでも、あと数日で、アリエッタと離れ離れになる。

今は一番、苦しいのかもしれない。

騎士団で、アリエッタを思って、泣く暇はないだろう。


左手の中指の、貝殻の輪っかを撫でてみる。

アリエッタが、はめてくれた。

冷静に考えると、少年少女の小さな恋だ。

周りから見ても、わがまま王子の溺愛か、ませたガキにしか見えないだろう。

でも、僕と巫女の関係を知る人は、それが切っても切れない深い繋がりがある事を知っている。

だから、ポセイダルゴ様が、助けてくれている。


でも騎士団に、それを知る人はいない。

来週から、普通の少年になればいいんだ。


でも、今日の朝のダンスの練習は、父上も母上も、本気で教えてくれた。

最愛の人とのダンスの仕方を。

マセガキの恋に、親がここまで真剣にはならない。

実際、ラングドン兄上とパトリック兄上を見ているから、教わる内容はそれぞれの立場に合わせていたとしても、父上の、巫女と僕に関する扱い方は、兄上達とは違う。


「坊っちゃま、大丈夫ですか?」

入り口から、オランの声がする。


「オラン、大丈夫だ。考え事をしていたら、長湯になってしまった。もう出るから。」


「お着替え、こちらに置きます。お夕食は姫さまの誕生会ですよ。」


「オラン、ありがとう。」


もう考えるのはよそう。

父上の15年もの苦悩の方が、僕には耐えられない。父上も、苦しかったんだ。

母上の待つ寂しさと、父上は、王なのに、役目ばかりで、ままならない日々。

今日の母上、幸せそうな、極上の笑顔だった。

母上は、あの明るい笑顔の裏で、15年も耐えてきたんだ。どんなに辛かったんだろう。

国を守る力がある父上でさえ長く苦しんで、父上に愛されてる母上も、苦しんでいた。

でも、だからこそ、今日、あんなに幸せそうな顔をしていたんだ。


ぼくも、いつか、アリエッタから、極上の笑顔をもらえるように、頑張るぞ。


夕食は、アリエッタの誕生会だった。

アリエッタの好きなものが、並んでいた。

今日の遠出の話をしながら、食事は楽しかった。

アリエッタは、山盛りのさくらんぼに、パクツイて、また叱られている。アリエッタのさくらんぼは永遠だろうな。


母上が、僕とアリエッタのお揃いの輪っかに気がついて、尋ねてきた。


「浜辺で、見つけました。」

アリエッタが説明するが、母上が納得しない。


「ヴァシリス、浜辺にペアリングが落ちてるはずがないでしょう?ヴァシリスのプレゼント?」


「残念ながら、僕たちがダンスをした浜辺に

たまたま、同じ形の貝殻の輪っかが、たまたま2個落ちていた。と言えば、誰の仕業かわかるでしょう?」


「ポセイダルゴ様なの?」


「ポセイダルゴ様に、アリエッタと僕と、二人で誓いをしたんだ。

そうしたら、これが、落ちてました。」


「お揃いですう。」

アリエッタが指をヒラヒラさせている。


「私もポセイダルゴ様にお願いしようかしら。」


「母上は、父上にお願いした方が良いと思います。」


母上が、はにかんで、さくらんぼを口に放り込んだ。


食事が少し長引いて、アリエッタが眠そうになってきたので、部屋に引き上げた。


寝着に着替えて、寝台に大の字で仰向けになった。

この怒涛のような3日間を思い返す。

アリエッタのご神託から始まって、王太子の祝賀会の襲撃への備え、きっと今頃、全騎士団も神殿警護隊も海洋軍も大変なはずだ。

アリエッタの妃候補の面談から、父上と母上が、大変な事になり、

僕たちは、母上の月の宮に滞在することになった。東宮の引っ越しも忘れるところだった。


巫女の剣は、母上とオランの目の前で、海神の剣になるし、ポセイダルゴ様に会いに行って、義理の父と息子の縁を結び、 

僕は海のパワーをもらって、

父上と母上が仲直りして、アリエッタの誕生日を祝って、、。

アリエッタへの感情は揺らぐし、アリエッタはアリエッタで、素直に気持ちを言い出し始めたし。


さすがに、疲れたなあ。色々な事が、混ざっておきるから、大変なんだ。

潮騒の音が聞こえる。海に浮かんでいる感覚。


扉がノックされた。

「どうぞ」と、返事をしながら、僕は眠りに落ちていた。


「ヴァシリスさま、寝ちゃってる。」


「姫さま、坊っちゃまもずっとお忙しいので、お疲れなのです。今日は、姫さまも、ご自身のお部屋でお休みになっては、いかがですか。いたわって差し上げるのも、愛情ですよ。」


「……… わかった。もどります。ちょっと待って、おやすみなさいのご挨拶するから。」 


*・゜゜・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゜・*



かなり眠り込んでいたが、アリエッタの叫び声が聞こえた。僕は飛び起きて、剣を掴んで部屋を出た。

アリエッタが扉の前で、泣き叫んでいる。


「アリエッタ、大丈夫か。」


アリエッタが僕にしがみついてくる。

オランがガウンを羽織って部屋から出てきた。


「姫さま、いつの間に。」


「オラン、僕も今、気づいて出てきたんだ。扉の前でこの状態だった。」


「アリエッタ、何を見た。」


首を横に振って、僕の名前を呼び続ける。

「オラン、僕の部屋でいいか?オランも来て。」


母上の姿がないから、父上と一緒だと思った。

オランの許可を得て、アリエッタを抱き上げて、僕の部屋に戻った。

寝台に座って、アリエッタを膝に乗せて、背中を撫でる。


「アリエッタ、起きるんだ。起きて、見たことを話して。」

アリエッタが泣き腫らした目で、僕を見上げた。

目覚めたみたいだ。


「ヴァシリスさま、、」


「何をみた。」


「黒い船が、細長いのが、たくさんくる。」

潜水艦か。


「いつか、わかるか?他に見たものは」

アリエッタの背中をさすってやる。


「ヴァシリスさまが、白い服、、ラングドン様もパトリック様も白い服で、、」

祝賀の儀でまだあるのか?


「アリエッタ、苦しいだろうけど、夢だから、大丈夫だ。全部話して。」


「うん、、黒い船が、、5つくる。

ヴァシリス様と私が、ダンスしてから、前みたいに、私が拐われて、馬車で海まで連れて行かれて、、黒い船に乗せられて、、」


アリエッタが、僕にしがみつく。寝着の袖を握りしめている。

「恐いのは、わかる。必ず助けに行くから、話してくれるか。」


「ヴァシリス様と私がダンスしたあと、イライザがきて、ダンスの途中で、ヴァシリス様がイライザに刺されて、、短剣に毒がついてる。

私は黒い船に乗せられて、、黒い船から、たくさん爆弾が出てくるの。」

時系列の流れはわかった。


「アリエッタ、黒い船が来るのはどの海岸だ。」


「今日、行った私たちのお家ができる場所。」


くそっ、僕たちの離宮の場所を爆破して、乗り込んでくる気か。


「オラン、父上に陽の宮に戻っていただいて。

アランとユリシーズに連絡を。多分、セレステもご神託を見ているから、ミカエラード公爵と一緒に駆けつけて来るはずだ。

アリエッタ、部屋着に着替えるぞ。

オラン、アリエッタの部屋に入ってもいいか。」


「坊っちゃま、姫さまをお願いします。アランとユリシーズは、陽の宮の詰所におりますので、すぐに。」


オランが侍女頭を呼びながら、父上と母上の寝室に急いだ。


「アリエッタ、着替えよう。」

僕も、簡単な部屋着に着替えて、アリエッタの部屋に行き、寝着の上から、軽い部屋着を着せた。


僕がアリエッタを抱っこして母上の私室から出ると、父上も陽の宮に戻るところだった。


「ヴァシリス、ご神託か。」


「はいっ、思ったより襲撃が大掛かりです。」


「わかった。陽の宮の書斎に戻る。アンジェラ、着替えてから、書斎に来てくれ。会議に加わってほしい。ヴァシリス来いっ。」


「母上、おじいさまに、大至急、連絡を。海洋軍が必要です。」


「わかったわ、お父様にご連絡します。ナリス、ユリシーズに伝えてきて。」


「ユリシーズは、もうすぐ、エントランスに参ります。ナリス、ユリシーズにザドキエル家に、と伝えて。

アンジェラは着替えを。」


「オラン、ありがとう。しっかりしなくちゃ。」


僕は父上について、陽の宮に急いだ。

みんな睡眠時間がないんじゃないか、、と本気で考えた。



異変が起こりそうです。

読んでいただき、ありがとうございます。

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