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第4章 婚約内定1

第4章に入りました。アリエッタとヴァシリスの婚約は?

クスクス、と遠く笑い声が聞こえる。


「ん?」

大きくノビをして、僕は目が覚めた。

いつものように、大の字で寝て、気分爽快だ。


ユリシーズとオランが、寝台の天蓋の向こう側で笑っている。

「ユリシーズ、オラン、おはよう。何を笑ってるんだ?」


「殿下、昨夜は、愛しき姫と添い寝されたのではなかったのですか?」クックと笑ってる。


「えっ???そう言えば、アリエッタ!

アリエッタはどこだ?」


「殿下、動いてはなりませんよ。」

ユリシーズが、僕の足元を指差している。

顔を上げて足元を見たら、いた、アリエッタが。

僕の足首に頭を乗せて、大の字で寝ている。


ユリシーズとオランが、笑いを堪えきれないみたいだ。

恋だの愛だの言っても、幼児のお泊まり会と変わらない。


「殿下は大の字、最愛の姫さまは、殿下の足を枕にして大の字。騎士恋物語も、真っ青ですね。

お二人とも死んだように眠ってました。

さあさあ、今日は忙しいですから、そろそろ起きてください。」  


「姫さま、姫さま、起きてくださいまし。

今日は後宮面談ですよ。」


「う〜〜ん、ヴァシリスちゃま〜」と僕の足首にしがみついている。まだ寝ぼけている。

上半身を起こして見てみたら、笑える。可愛いな。


「アリエッタ起きてくれ。アリエッタっ。」


「う〜ん?ん?」

あっ、目が覚めたみたいだ。自分が何にしがみついてるのか、わかったらしい。


「あっ、おにい、さ、ま」 


「アリエッタ、おいで。朝の挨拶だ。おはよう。」

僕が両手を出すと、腕の中に飛び込んできた。子犬みたいだ。


それぞれの部屋で、普段着に着替えて、一緒に朝食をとる。

昨日、あれだけ大変な変化があった割に、

アリエッタはいつもより元気そうだ。

色々と意味がわからなかった事への疑問が解けて、納得したような、スッキリした表情だ。

良かった。


「ヴァシリスにいさま、わたくし海が見たいです。」


さくらんぼを頬張り、さらに両手にさくらんぼをいくつもぶら下げている。さくらんぼは、アリエッタの大好物だ。


「姫さま、いつも言っておりますが、お行儀が悪うございますよ。さくらんぼは、一つずつ、お手に取って、食べ終えてから、また一つ、で、ございますよ。坊っちゃまを見習ってくださいませ。」


アリエッタが、ぷくっと頬を膨らませている。

僕には可愛いけれど、マナーはマナーだ。

「アリエッタ、僕の姫、さくらんぼは一つずつだ。それができたら、僕は、生涯、さくらんぼを贈り続けるよ。」


「坊っちゃま、甘やかしすぎです。」


「オラン、僕は王子だ。さくらんぼくらい、いくらでもプレゼントできる。ただし、アリエッタの食事マナーが完璧になってからだ。

アリエッタ、食事マナーができなければ、オランに頼んで、さくらんぼ禁止にする。」


「それは、ようございますね。坊っちゃまのおっしゃる通りに。」

オランが恭しく僕に頭を下げてから、アリエッタに向いて、仁王立ちになった。


アリエッが、オランの顔をみながら、急いで両手のさくらんぼをまとめて口に放り込む。

「姫さまっ!さくらんぼ禁止ですっ!全く!」


「アリエッタ、それでは、僕の妃になれなくなるぞ。」


「ごめんなひゃいっ」まだ、さくらんぼが口の中に入っているし、ほっぺたがさくらんぼで膨らんでいる。


「ごめんなさい、じゃくて、申し訳ざいません、か、失礼いたしました、だろう?」


「おにいさま、今日は意地悪ですっ」


朝食を終えて、着替えをする。

アリエッタは、湯浴みしてから、王妃面談の準備だ。僕は父上の書斎に行く準備。そのついでに、アリエッタのエスコート兼、護衛につくので、昼の礼装だ。また王子然とした格好をしなくてはならない。


今日はアリエッタにサプライズがある。喜んでくれるかなあ。


*・゜゜・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゜・*

「姫さま。今日はこちらをお召しくださいませ。」


「まあ、素敵なドレス。オラン、新しいドレス。あっ、ヴァシリスさまの瞳色、、あの、、」


「そうです。坊っちゃまからのプレゼントです。

王妃様謁見のための礼装のドレスです。髪飾りも一緒にいただきましたよ。

あらあら、姫様、また泣いて。」


「だって、、わたくし、、」


「姫様、殿方の瞳色のものを贈られる意味は、家庭教師から学びましたね。」


「はい、、、あの、、」


「坊っちゃまのお気持ちを、無駄にすることのないように、このドレスを着こなしてこそ、坊っちゃまのお妃様となれるのです。

今日まで学んだことを思い出して、立ち振る舞いを美しく、わかりましたか。」


「はい。」


*・゜゜・*:.。..。.:*・'・*:.。. .。.:*・゜゜・*


「坊っちゃま、姫さまの用意が整いました。」


礼装のオランが、扉を開けて出てきた。

ガブリエル侯爵家出身で、ウリエル公爵家の次男ユリシーズの妻であるオランが、礼装すると、とても美しくすごい迫力があった。

僕は、一瞬、母上みたいだと思って、ちょっと怯んだ。


「坊っちゃま、何を怯んでらっしゃるのでしょうか?」


「うっ、いや、オ、オランが美し過ぎて、、

はっ初めて、みたから、びっくりした。」


「当たり前です。僕の妻ですから、殿下っ」と言う声に振り向くと、

親衛隊の礼装騎士服の凛々しいユリシーズが立っていた。

ユリシーズの騎士服も見慣れていたけれど、国王警護の親衛隊の騎士服は、特別感がすごい。

結婚前のユリシーズに、御令嬢が押し寄せた意味がわかった気がする。

この二人が揃うと、かなり圧倒される。大人ってすごい。近くにいると、ドキドキする。


僕が慌てふためいていると、アリエッタが部屋から出てきた。


少し瞳を潤ませて、頬は桜色だ。

わかってはいたが、、知ってはいたが、綺麗だ。

やっと僕らしい僕に戻った。


ふわふわとした薄い薄い布地を何枚も重ねたコバルトブルーのドレスは、アリエッタに似合っていた。

ウエストには金色の幅広の帯がまかれ、後ろで大きなリボンになっている。

この国で、コバルトブルーは、僕の貴色とされている。アリエッタ以外に、この色のドレスは着られない、というか、他の女は着てもらっては困る。

誰が見ても、一目で、僕の想い人だとわかる。

基本的に瞳色を贈り纏うのは、愛情表現だが、王子がそれをすると、所有欲丸出しで、かなり恥ずかしいが、もうこれ以上、邪魔されたくない。


「アリエッタ、よく似合っている。」


「ヴァシリスにいさま。ドレスを贈っていただき、ありがとうございます。とても嬉しいです。」


僕はアリエッタに歩み寄った。

「一日早いが、誕生日プレゼントだ。」


コバルトブルーのベルベットの箱を渡した。


「私に?」


「あけてごらん。」  


「まあ、きれいっ」


アリエッタの大好きな真珠だ。自分で海から取ってきて、王室御用達の宝飾店に作らせた首飾りだ。まだ幼いし、夜会には出られないので、昼の礼装にも合う可愛くシンプルなものにした。真珠の両側に、コバルトブルーの貴石が入っている。


「クールと一緒に海に行って、ポセイダルゴ様にお願いして、海神の庭で、探してきた真珠だ。

お守りがわりにつけていてほしい。」


「ありがとうございます。肌身離さず、つけます。」


「つけてやるから、後ろをむいてごらん。首にかかった髪を少しあげて、、」

アリエッタは未成年だから、まだ髪は結い上げずに、髪飾りをつけるあたりを編み込んで、あとはおろしている。


アリエッタの首を見ながら、首飾りをつけた。

「他の男から、装飾品は受け取るなよ。」


「はいっ」アリエッタが振り向いた。

やっぱり、愛らしい。


「さっ、坊っちゃま、姫さま。王妃様の迎えの馬車が到着していますよ。」


「さあ、行こうか、アリエッタ嬢。」

僕は手を出して、エスコートした。


エントランスに出ると、母上がいつも使っている真っ白の馬車がきていた。

金色に輝く王家の紋章が刻まれている。

護衛騎士が8名。王宮エリアの中でのこの護衛は、かなり仰々しいが、妃候補となると、王家同等の警護になるのは、当たり前だ。

馬車の馬が全頭白馬だ。母上もすることが派手だ。苦笑した。この馬車は、王家の女性、つまり王妃か王太子妃か、王子妃が乗っていると、貴族なら誰でも知っている。


アリエッタが馬車隊列を見て息を飲んでいる。

どの公爵家もかなり派手だが、王家のやる事は、嫌らしいくらいエグくてクドイ。

その環境で育ってきた僕でさえ、恥ずかしいからやめてほしいと思うほどの威厳を見せつける。

この迫力に気圧されない者はない。

それも守りの一つなんだけど、、。


僕と一緒にいると、常にこういう世界にいるわけだから、アリエッタが、自分に自信がないという気持ちも、わからなくはない。

いよいよだと思うと、僕の方が緊張してきた。

従者が馬車の扉を開ける。

アリエッタは、僕のエスコートのまま、馬車のステップを上がり、僕は手を離した。

ユリシーズがエスコートし、オランも一緒にのる。


「アリエッタ、僕はアレックスで並走するから、心配するな。」アリエッタが小さく返事をしたのを見て、従者に頷いた。馬車の扉がしまる。


ユリシーズが、アレックスを連れて待っている。

僕は、アレックスに飛び乗り、「出せっ」と言った。


この1ヶ月のうちで、このような光景が、今日で3回目。

父上と母上が、王子の妃候補の色々な問題を蹴散らす為、わざと派手にしているのは知っているが、さすがに派手だ。本来なら、後宮の事なので、僕は顔を出さない。妃を決めるのは王妃だからだ。

兄上たちは、知らぬ存ぜぬふりで、王妃面談の日は、父上と狩に行ったらしい。

妃候補者の名前が漏れてしまう方が、危ないからだ。

だけど僕たちは、シャチ事件の頃から、狙われてきた。今更、隠しても意味がないそうだ。


だから、父上から

《ご執心の姫を護衛する王子役》をやれと言われた時、

僕は1にも2にも引き受けた。パニエール大公を炙り出す為らしい。

僕が警護することで、アリエッタが候補であることを、わざと周りにわかるようにした。

行き来する貴族たちも、王子の妃候補がどうなっているのか、興味津々で、噂に噂が駆け巡っているらしい。

更に、この隊列で、噂がひろがるだろう。


父上が生活する陽の宮の隣に、母上の月の宮がある。

馬車が月の宮の前に着くと、護衛騎士達と王妃付きの侍女長が侍女たちを控えて待っていた。


ユリシーズが先に馬からおりた。

「ミカエラード公爵家 ご息女 アリエッタ嬢をお連れした。」

馬車の扉が従者により、開かれる。

ユリシーズが、先にオランをエスコートする。


そして僕がアレックスから降りて、馬車に歩み寄る。エスコートの手を差し伸べて、アリエッタが僕の手を取り、僕はアリエッタに笑いかけた。

アリエッタが、はにかみながら、馬車から姿を現した瞬間だった。


一瞬、辺りにいた護衛も侍女たちも息をのんだ。

そう、父上は、この絵画のような光景を噂にしたかったのだ。


月の宮に入って、アリエッタはオランと侍女たちに付き添われて王妃に謁見する。


アリエッタのエスコートはここまでだ。

これ以上先は、父上以外の男は入れない。


「アリエッタ、素直な気持ちで、行っておいで。ありのままの君がいい。」


「ヴァシリスさま。行ってまいります。」

僕は、アリエッタの手をぎゅっと握ってから離した。


ユリシーズと僕は、陽の宮に通じる広い廊下を、幾つもの扉を抜けて、父上の書斎に向かった。


読んでいただきありがとうございます。

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