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巫女は海を守りたい〜愛が溢れるヒーラー物語  作者: 紫陽花
第3章 王子と王子妃と次代巫女
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閑話 魔王の子は魔王

「何だとっ!お針子が全員、崩れ落ちて失神しただと?」


「まあまあ、陛下、そんなに驚かなくても。」


ここは王宮、陛下の書斎である。

今は陛下とアンジェラ王妃に、ヴァシリス殿下とアリエッタ嬢の定期報告に来ている。


「驚くだろ。まだ8歳だぞ。

8歳の王子が、女を失神させるなんぞ、有り得ない。ユリシーズ、本当に間違いないのか?」


「はい、陛下、

今のヴァシリス殿下は、近衛騎士団に入るために、鍛えに鍛えてきましたから、背も伸びて胸板も厚くなってきています。確かに成人男性と比べると、またまだ少年のお顔立ちと体格ですが、

騎士服を召されると、13歳くらいに見えますし、海洋軍の軍服は、誠に麗しく、いわゆる、王子の色気がダダ漏れと言う状態でございまして。若い頃の陛下以上かもしれませぬ。」


「はあ、困ったなあ。あいつ、女に追いかけ回されるぞ。」


「何をおっしゃるのですか。陛下も10歳にして、プレップスクールの魔王と言われ、ダンスのレッスン日には、数々のご令嬢が失神しておられたではありませんか?」


「いやまあ、それはそれだ。

しかし、王妃、そなたは失神しなかったではないか?」


「私は、陛下とダンスはしませんでした。

すでに、妃候補でしたし、王太子に群がるは淑女の恥と、お母様から、きつく、婚約式が済むまでは、ダンスをしてはならないと言われておりました。

ねえ、ユリシーズも、陛下の周りで、御令嬢が失神するのは、見てましたよね。」


「はい。ミカエラード家のマースと、私の兄アランが、失神者運搬係でしたから。子供心に大変だなあと、見ておりました。」


「ほらね。」と王妃が陛下にウインクしている。


「ユリシーズ、ヴァシリスは意識してないのか?」


「全くしてません。ご存知のように、女性については、アリエッタ嬢の事しか目に入ってないので、お針子が失神したときは、本気で心配されてました。

仮縫いの前に、厩舎にいたものですから、馬臭くて、周りに迷惑をかけたと思われたようで。」


「ヴァシリスは可愛いわね。陛下とは大違いですわ。」


「アンジェラ、其方、私に恨みでもあるのか?」


「そんな恨みだなんて。大切にしていただいておりますよ。ただ、結婚しても、王子が3人もいても、なおまだ、夜会で陛下の色気に失神される方もいらっしゃるし。先日の夜会でも、ダンスの時に、陛下の胸に、お顔を埋めておられた夫人がいらしたでは、ありませんか?」


「うぐっ、それは私のせいではない。浮気も何もしてないぞ。あの夫人とはなんでもない。」


「色のある殿方は、罪ですわ。ほほほほっ。

それより、ヴァシリスがそんなで、アリエッタは大丈夫なの?」


「あの日を境にアリエッタ嬢が、恋に落ちたご様子です。ヴァシリス殿下の前で、平静を装いつつも、モジモジしておられます。」


「まあ、可愛いわ。アリエッタにも、春が来たのですね。

まだ5歳とは言え、王家との婚約は、早いに越したことはありません。

ラングドンとパトリックの婚約も内定しましたし。

明後日の後宮面談の後、婚約内定の王妃令を出す予定ですから、

アリエッタには、ヴァシリスを、兄と見るよりも、殿方として慕って欲しいと思っていたので、私は嬉しいですわ。」


「たしかに今までは、乳兄妹ゆえ、仲の良い兄妹のようで安心した日々でしたが、

ヴァシリス殿下も、もうすぐ騎士団の寮に入られ、アリエッタ嬢も、ミカエラード家に戻られますし、お互いを恋がれる時間も必要でしょう。」


「ユリシーズ、報告、ご苦労であった。

騎士団にいれば、女の影も心配しなくて良いだろうが、騎士団員の姉妹たちが、乗り込んでくる可能性もあるな。ヴァシリスに自覚させないと、まずくないか?」


「陛下は自覚してらしたの?」王妃が突っ込んでいる。


「いや、王太子だから、モテるのか、男前だからモテるのかは、わからなかった。と言うより、あまり寄って来られ過ぎて、嫌になっていた時もあった。

ブランドンとパトリックは、そんな話はないだろう?」


「そうねえ。3人とも、見目麗しい王子に育ってくれて嬉しいけれど、なぜヴァシリスだけ、あんなにキラキラなのかしら?母親の私から見ても、心がぎゅっとなるような雰囲気を持っているのよね。」


「其方、息子に懸想するのか?」


「まあ嫌だ、陛下。そのくらいヴァシリスの雰囲気がハンパないと言う事です。社交会でも、第三王子狙いばかりで。あれでは、歳上の御令嬢まで、失神しますよ。

ヴァシリスがその気がなくても、周りの女性がねえ。今時の女子は年下男子もありだし、愛人でもいいと、迫る方も多いのですって。既成事実がなくても、あったように見せかけるとか。」


「ポセイダルゴの庇護の影響があるかもな。海神ポセイダルゴの神話は、女神との浮名流しばかりだからね。」


「まあ嫌だわ、それが魔王なのよっ。

ヴァシリスには、陛下から、殿方のマナーをしっかり教えて頂かねば。アリエッタが苦労しますわ。」


「わかったわかった。アンジェラ。父として、きちんと話すから案ずるな。

とにかくユリシーズ、ヴァシリスに女を近づけるな。騎士団に女が入り込まないように、警戒体制をとれ。女と絶対に2人きりになるなと、帰ったら、言い聞かせろ。明日、私からも、話すから。

それから、アリエッタの護衛を強化しろ。

アリエッタに何かあれば、ヴァシリスは、この国くらい、海に沈めてしまいかねん。」


「御意っ」

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