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第二章 追憶 シャチ事件2 アリエッタ視点

アリエッタ視点のシャチ事件です。

「アリエッタ、待て、待つんだ!」

ヴァシリス様の声がした。


「神様お願い。

クーポとクールを助けて。

私の命をあげるから、みんなを助けて。」

私は海の底に沈んでいく。

「海を壊さないで、お願いだから。」


シャチの群れに向かいながら

声にならない叫びをあげていた。


海の底についた時に声が聞こえてきた。


『アリエッタ、アリエッタよ』

あなたは誰?

『我は海を司るものである』

海の神様?ポセイダルゴさま?

『そうである』


クーポとクールを助けてください、お願いだから、クーポとクールを、、

『クーポとクールは、其方たちを守る使命を果たしたのだ』


わかっています。でもあんなに苦しめないで、お願い、私が代わりになります。

『アリエッタ、其方には其方の使命があるだろう。だから生きねばならないのだ』


神様、私はどうすればよいのですか?

『海を救う力は与えてあるぞ』


私の力?

『海から生まれし、癒しの巫女よ。

其方が命を愛し守る思いは、母なる海のように溢れる力となり、枯れることはないのだ。

希え、祈れ、心のままに』


祈れって、どうすればいいの。ポセイダルゴ様、助けてください。お祈りって。

もう神様の声は聞こえなかった。

私は、思いつくまま祈り始めた。


「神様、全ての神様、

どうか、私にみなの命を守る力をお貸しください。

クーポやクールは、お友達です。この海は、私の命より大切です。いつも寄り添ってくれました。

全ての生き物が、幸せに生きられるように、、兵器になったシャチたちも、利用されて良いはずがありません。

お願いです。どうかこの海が、この世界の幸せでありますように。お願い、お願いだから。」

手を組んで、ただただ祈り続ける。


手のひらが熱くなってきて、グリーンのモヤが溢れ出した。

「えっ?いつものグリーンキラキラ??

これならたくさん出せるわ。」


体も熱くなってきたけど苦しくない。

全身からグリーンの光がどんどん溢れていく。

海を見渡し、いつもヒーリングで出すグリーンキラキラを、海全体のイメージで出してみる。


私の周りはグリーンの光一色になった。

底から海面を見上げると、シャチが動かなくなっている。

同時に、クーポとクールが、力尽きたように、

海底にいる私の方へ、ゆっくりと沈んでくる。

触ってみるけど、目を開けてくれない。


「クーポ、クール、ごめんね。痛かったでしょう。苦しかったでしょう。守ってくれてありがとう。ごめんなさい、何もしてあげられなかった。」

海の中だけど、涙が溢れて嗚咽も溢れる。

クーポとクールに抱きついて、声をあげて泣いた。

グリーンの光は、まだ溢れ続けているけど、クーポとクールはもう動かない。


「アリエッタ、大丈夫か、アリエッタ」

「誰?」

振り向くとヴァシリス様だった。

来てくれた。一番そばにいて欲しいヴァシリス様が、私を追ってきてくれた。

「ヴァシリスさま、、ヴァシリスさまがオレンジ色になっています」

「アリエッタはグリーン色になっているぞ。」

泣きじゃくる私を、ぎゅっと抱きしめてくれた。


「助けられなかったの。クーポとクールを、ごめんなさい。」

「其方のせいではない。シャチを攻撃に使うとは、命を命と思わぬ国が存在したのだ、許せない。絶対に許すわけにはいかぬ。」


ヴァシリス様は、動かないクールを撫でて、クーポを撫で、「ありがとう助けてくれて」と言った。


私は更に泣き出した。もうどうしたらいいかのかわからない。

あまりにも苦しい。

ヴァシリス様の目からも涙が溢れている。

私が、オンオン泣いているうちに、グリーン色の光は更に濃く一体の海中に満ちた。


海面に浮いて動かないシャチから黒紫色のもやが染み出して、私に向かってくる。


「ヴァシリス様、私から離れてください、黒いのが来ます。」

ヴァシリス様を突き放そうとしたが、ヴァシリス様は、更に私をぎゅっと抱きしめた。


「離さないぞ。勝手に海に飛び込まれ、残された僕がどんな気持ちだったかわかるか?

アリエッタは、僕が守る。

クールはクーポを助けに行ったたらだろう。兄が妹を守るのと同じことだ。」


クールはシャチで、クーポはクジラだけど、、と一瞬よぎったけれど、、シャチとクジラも兄妹なんだ???


黒紫色のもやもやは、そのまま私の身体を包み私だけに染み込んでくる。

「ウゥッ、痛いっ」火に包まれるような痛みが全身に走る。

シャチから流れ出る黒紫色の光は、シャチを洗脳し兵器にした毒なのだと感じた。

これを吸い取らなくては、海に流れ出したら、生き物全てが兵器になる。

「この光はシャチを兵器にした毒か?」

「はい。」

「なぜアリエッタだけに入っていくのだ」

「私の身体に勝手に吸い込まれてくるのです。

うっ、、痛い」

「もしかすると、グリーンの光の効果か」


ヴァシリス様が、難しい顔をしている。

「僕のオレンジ光は、増えないのか?アリエッタのグリーン光は、見渡す限り海中に満ちているのに。僕にはパワーがないのか?」


黒紫色の光は、苦しく痛かった。生き物を兵器にする毒の痛みだ。

「ヴァシリスさま、痛いっ、うっ、」


体中に刺さるような毒の痛みは、まだまだ流れ込み、私は意識が遠くなってきた。

「もう無理、みんな助けてあげられなくて、ごめんね。ごめんね。ヴァシリスにいさま、たすけて、、」

私はヴァシリス様の腕の中で意識を失った。


読んでいただきありがとうございます。

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