表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/159

第二章 ヴァシリスの追憶 5歳その8

ヴァシリス視点の幼い2人の日常です。

僕は、日々、精進し続け5歳になった。


巫女を護る剣の剣捌きも、上達し、ユリシーズに褒められるようになってきた。

騎乗でどんなにかけても、落ちなくなってきた。

勉学は、王立アカデミーの15歳で学ぶ内容を学んでいる。寸暇を惜しんで力をつけなくてはならない。


アリエッタは、2歳になった。

僕の勉強や稽古の合間には、一緒に遊べるようになってきた。

言葉は、辿々しいしが、普通に会話は成り立っている。


アリエッタのキラキラグリーンは、日常になってしまっている。

傷ついた生きものを見つけるのが早い。見つけた瞬間、キラキラが発生している。監視して止める方が手間なので、アリエッタの好きにさせている。ヒーラーなのだから、ヒーリングはしても良いだろう。


アリエッタは海が好きだ。危ないからと、ユリシーズが警護できる時しか行けないが、

よくよく考えると、海で危ない目にあった事がないが、油断は禁物だ。

海洋生物特級ヒーラー以上の技能だと思うが、海の中で、不思議な呼吸ができるので、基本的に溺れない。

アカデミーに行けば、ヒーラーは全員、海で溺れないシースーツと言うものを会得するらしいが、

僕とアリエッタは、それがなくても困らなかった。


今日は久しぶりに昼からゆっくり海に行ける日だ。


僕たちは王宮から馬で海に向かった。

僕はまだ、自分の馬に、アリエッタを同乗させられない。

悔しいけれど、ユリシーズに託す。

ユリシーズは、護衛対象を同乗させ、守りながら、普通に剣で戦えるのだ。

それだけすごい騎士を、父上は僕達の警護につけて下さったのだ。

他に近衛騎士が2名ついている。


「ヴァシリス兄さま。今日はクールにあえましゅか?」

「浜についたら、来るだろう。」

「私もクールのようなお友達がほしいでしゅ」

「海の神にお願いしてみたらどうだろう。」

「クールが欲しいのじぇちゅ。」

「クールは僕の臣下だから、アリエッタには渡せないんだ。」

「お兄様の意地悪っ!」

たわいのない会話が、心地よかった。


浜辺について、馬からおりたら、アリエッタは海に向かって走りだす。サンダルを脱ぎ捨てて、素足で波打ち際に突進している。

突然、海の中でしゃがんだかと思ったら、海のなかで、キラキラグリーンだ。魚か何か弱っていたのだろう。弱っている生きものをみると、片っ端から癒していく。すでに服はびしょ濡れだ。


彼女は、特級ヒーラーだから、パワーは十分だろう。でも更にパワーが多い超特級ヒーラーの僕は、パワーの出し方が、まだよくわからない。

アリエッタは、指で軽く撫でるように、パワーを出してしまう。

僕や近衛騎士の傷まで、ホイホイ癒してしまうので、小さな魚は、もっと簡単に治せるのだろう。アリエッタにとって、ヒーリングは息をするのと同じようなことかもしれない。


案の定、服のままで泳ぎ出した。

またオランに叱られるだろうけれど、アリエッタが気にしないで泳ぐので止めようがない。

ユリシーズが苦笑している。

僕の姫は何を言っても無駄だ。そのうち、いつか、乙女らしく、なるのかな?期待は僕のエゴだ。だから期待は止めよう。


もう足がつかないところまで進んでしまったようだ。溺れないのはわかっているが、側についていないと。


僕は口笛を吹いて、クールを呼んだ。

シャチのクールが顔を出した。

僕はクールに飛び乗って、アリエッタを追いかける。


「ヴァシリスさま、お久しぶりです。」

「やっと会えたな。海は変わりないか?」

「平和です。」


アリエッタは、深く潜ろうとしていた。

最近、おとぎ話で、人魚の姫が、陸の王子に恋をする話にハマっている。

おとぎ話の陸の王子は、人魚の姫を裏切って、魔女と結婚し、悲しみのあまり、姫は海の藻屑と消えてしまう悲恋だ。


しかし、アリエッタ的に解釈すると、海の人魚の王子様に恋をして、足の代わりにヒレが欲しいと、自分の足が恨めしいらしい。

それを僕に訴えないでくれ。

頼むから、目の前にいる、生涯の愛を誓っている陸の王子を見てほしい。

この無邪気な姫が、真実の愛に気づく日が来るのだろうか?

恋に落ちて、2年で、僕は海の藻屑になりそうだ。

その感情を抑え込むように、勉強に稽古に励むしかないのだ。


アリエッタがかなり深くまで潜っていくので、

クールと一緒に追いかけた。


「アリエッタ、あまり深くまではダメだ。

泳ぐならもう少し深度をあげなさい。」


「いやだっ。人魚の王子様に会いにいきゅのっ」


「アリエッタ、王子様が良いなら、僕も王子だ。人魚の王子より、お前を大切にしてやるぞ。」

側近も護衛もいない海の中だから、

ちょっとだけ、自己主張してみた。


「じゃあ、クールをちょうらい。そうしたら、ヴァシリス兄さまのお嫁たんになってあげる。」


クールが、ちょっとアリエッタから離れた。

アリエッタがクールに抱きつくと、引き離すのが大変だ。

シャチが幼児を怖がるくらいだから、クールを渡すと、きっと溺愛死させられてしまうかもしれない。

ポセイダルゴ様から遣わされたクールは、絶対に渡せない。


アリエッタは勝ち誇ったように、

「クールくれないくせに」と立ち泳ぎで、あっかんべーをした。


こんな幼児に恋に落ちた僕がおかしいのだろうか?僕も5歳の幼児だが、恋に落ちたのは、23歳の未来だ。

何が光の調和だ!

全く!僕が大人になったら、とっ捕まえて、お尻ぺんぺんしてやるぞ、と思ってしまった。


あれ?さっきはいなかったのに、アリエッタの後ろの方に、海亀の姿がみえる。

そう言えば、この前、海に入った時も、海亀をみたような気がする。


僕は心の中で、海亀に話しかけてみた。

「アリエッタを見守ってくれて、ありがとう。」

海亀は、アリエッタの周りを周り、ふっと姿を消した。


そろそろアリエッタが疲れてくる頃だろう。

今日は、水深深く潜ろうとしていたが、何かに阻まれて、それほど深くは行ってなかった。

何回も潜水を繰り返して疲れたのだろう。

海の中で、居眠りはじめた。

「ヴァシリス兄さま、ねむい」

僕が抱き止めた時には、爆睡をはじめていた。


良く眠っているアリエッタをクールに乗せて、浜辺まで戻った。


「すまない、ユリシーズ。またびしょ濡れを持ち帰ってもらえるだろうか。」


「姫さまが、お淑やかになる日は来るんでしょうかね?」


王宮に帰り着いて、浴室に入れられたアリエッタは、オランから雷を落とされていた。

侍女の叫び声が聞こえる。

今日のアリエッタのポケットに入っていた土産は、ナマコ大小一式だったらしい。

やっぱり、僕は、恋する相手を間違えたのか?


読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ