第百拾伍話 瞬間、心、果実
(作者注: 今回から不知火玄武くんの夢の中の話になります。)
「やっと、ここに戻ってこれた……。長かった……。」
平田果実は、妹の平田萬こと『おまん』から離れた後に、一人で修行をしながらも自身の住んでいた集落を目指していた。
彼らが異世界へと来る際に通ってきた世界樹は、枯れてしまっていたので、果実は別の世界樹を探す必要があったのだった。
それでも、果実は、一人で旅を続け。途中から2人になり。そして長い道のりを経て、ついに、かつて住んでいた集落まで帰ってきたのだ。自身が長として治めていた村である。
そう、彼は2人で帰ってきたのだった。なぜなら、果実は旅の途中で出会った女性『イウィ』と結婚していたからだ。
それで今、彼女を連れて自身の故郷へと戻ってきたところである。
「果実さまっ! おかえりなさいませ! よくぞご無事で!」
「おおぅ! お前たち! 生きていてくれたか……。本当によかった。すまなかった……。我々が至らなかったばかりに……。本当に、本当に、無事でよかった……。」
果実が村に着くと、村の者たちは彼を出迎えた。数年前に深山家の刺客に襲われ村が焼き払われ、村の長である果実とおまんがいなくなった後、彼らは自分達で村を再建していたのであった。
村の風貌は変わっていたが、皆が住む家もあり、田も畑も元通り作物を実らせていた。さすがに数年前とは顔ぶれは違う。あの事件の際に亡くなったものもいれば、新たに産まれたものもいる。
「本当に……。本当に無事でよかった……。」
果実は涙を流しながらも、村人たちと次々と抱きあい、喜びを分かち合った。
「あの……。果実さま……。おまん様は……?」
村人Aが、果実に尋ねる。その言葉に、果実は目を瞑り首を横に振った。
実のところ、おまんは死んだわけではなく、世界樹になったのであった。しかし、ここにいないことには変わりないため、事の詳細は伏せ、果実は、彼女がもういないという事実だけを村人たちに伝えた。
「そうですか……。では、そのお方は……?」
村人Bが果実のずっと後ろにいた女性のことを聞く。イウィは、果実が村人たちとの再会を喜ぶ間、邪魔にならないようにと少し距離をとって待ったいたのだ。
「あぁ、彼女は、『イウィ』。俺の嫁だ!」
「イウィ様ですか。変わった名前ですね」と村人Cが言う。
「そうだな。こことは違う世界で……。こことは違う国で産まれた女性だ。でも……。俺は、彼女に惚れたんだ。芯の強い女性だ……。」
果実はそう言いながら、イウィに手招きをし、近くに呼んだ。
「そうですね。確かに、おまん様にも似ていらっしゃる」
「ふっ。そう、かもしれん……。」
村人Dの言葉に、果実は、ふっ、と笑った。
イウィは、黒みがかった茶色い髪に丸っこい顔をしており、おまんと顔が似ているわけでも、髪型が似ているわけでもなかった。しかし、果実は、その雰囲気がどこか妹のおまんに似ていると感じていた。その感覚を、村人に指摘され、それをまた自覚したのだ。
そして、何より、芯の強い性格はおまんと瓜二つであった。こういう性格も、果実が彼女に惚れた理由の1つであろう。
「果実さま。いつかきっと果実が無事に帰ってきてくれると信じて、お屋敷も立て直してあります。どうかそこにお住みください」
そして、村人Eによって、果実たちは、その村の真ん中に構えられた大きな屋敷へと案内された。
――――――――――――――
そこには以前に果実とおまんが住んでいた屋敷に少しも見劣りしない立派な屋敷が建てられていた。
「これは素晴らしい! 本当にありがとう。これでまた元通りの生活が送れる……。おや、ちなみに、そこにいる少年は誰だ?」
屋敷の広い庭に、そこを掃除していた一人の少年がいた。果実は、その少年の顔には見覚えがなかった。
「あの少年は、深山の子です。あれは、数年も前のことです……。うちの集落が焼け落とされてまもない頃ですが、クワガタ様が暴れて……。その……、深山家が、滅ぼされてしまったのです……。」
村人Eの言葉に、果実は、自分達が戦って、いや、頑張って隙を作って逃げた、あの巨大なクワガタのことを頭に思い浮べる。
「そうか……。クワガタ様が……。」と、果実は大きく息を吐いた。
一方で、その少年は、村人Eと果実、そしてイウィの3人の姿に気がつき、ペコリと頭を下げる。
「そうです。戦ったものも、そして、うまく逃げ出せたものいるようですが……。ほぼ……。」
村人Eは、果実は説明しながらも、辛そうに目線を下げる。
「そうか……。」と頷く果実の視線の先にいた少年は、果実と視線が合うと、ニコリと笑顔を作った。
「それで、この子は、数少ない生き残りの一人です。深山頼遠さまの息子の『深山青龍』さまです。それで、屋敷の管理も含めて、この屋敷に住んでもらっているのですが……。」
「そうか……。じゃあ、このまま、俺たちと一緒に暮らせばいい。俺たちにはまだ子はいないし……。どれ……。」
まだニコリと笑顔を浮かべている青龍に手招きをし、果実は彼を近くへと招いた。
「なんでございましょう?」
青龍は、果実たちの近くにくると、礼儀正しくお辞儀をした。
そして、果実は、彼の前で屈み、視線を青龍へと合わせる。
「お前はまだ若いし、これからきっと強くなるだろう。俺たちと一緒に暮らさないか? そして、俺の元で修行をしないか?」
この果実の言葉に驚いたのか、青龍はただ目をパチクリとさせるだけであった。
「あはは……。いきなりで驚かせてしまったようだな。すまない……。俺の名前は、平田果実。そして、こっちが俺の嫁のイウィ。これからこの屋敷に住むことになるんだが……。お前にもこのままこの屋敷に住んでもらおうかと。そして、俺と一緒に修行をしてくれないか?」
『平田』という単語に、ピクリと顔をしかめた青龍であったが、それを果実に気づかれないようにしたいのか、ニコリとした笑顔を作った。
「修行ですか……?」
青龍は、すぐには頷かなかった。それもそのはず、出会って間もない相手である。
果実は、青龍のことを見過ごせなかった。自分と妹のおまんは深山家によってこの村を焼き払われ、さらに、おまんは、深山頼遠よってひどい扱いを受けたこともあった。
しかし、それはもはや過去のことである。それよりも、自分達が戦い、逃げた相手である、あの巨大なクワガタが深山家を滅ぼしていたことに、果実は罪悪感を感じていた。
自分にもっと力があれば……と悔やまずにはいられなかったのだ。
「そうだ! 修行だ……。俺はもっと強くならないといけないんだ。守りたいものをきちんと守れるように。お前も、自身の手で守りたいものがあるだろう?」
「それは……。あります……。」
青龍はゆっくりと頷く。
「俺は、平田家に伝わる平田鍬形流に更に磨きをかけたい。それには練習相手も必要だし。他人に教えることも上達には必須なんだ。この話は、俺にとっても嬉しいことなんだ。どうだ? 俺の練習相手になってくれないか?」
果実は、青龍の目をじっと見つめ、笑いかける。
「では……。わかりました」と、ニッコリと笑顔のまま青龍は頷いた。
「そうか、よかった。これからもよろしく頼むぞ! 青龍!」
果実は、青龍の肩をポンと叩いた。そして、立ち上がった。
「だが……。傷つけられた自尊心は、いつか倍にして返してやる……。 倍返しだっ……。」
青龍は、誰にも聞こえないほどの小さな声で呟いた。憎しみを込めた視線を果実の背中に向けながら……。
――――――――――――――
その夜。
その大きな屋敷の中で、果実とイウィの2人は、一緒にお風呂に入っていた。
「いい湯だ……。」
「そうでございますね……。」
異世界にて出会い、夫婦になると約束し、ここまで一緒にやってきた2人であったが、こうやって一緒にお風呂に入るのは初めてであった。長い旅をしていたものの、ほぼ野宿だったため、落ち着いて一緒にお風呂に入ることなどなかった。それに、そう、あれだ。まだ2人純情な関係であったのだ。
「いい湯だ……。」
「そうでございますね……。」
同じ言葉を繰り返す果実に、イウィも同じ言葉で返した。
なんとなくぎこちなく、まるで会話が弾まないままの2人も、しばらく一緒にお湯を堪能した。体の芯からじっとりと温まるお湯にゆっくりと浸かった。
そして、お風呂上がり。2人は裸のまま、布団に入った……。
ドンっ!!!!
次回に続く!!!
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あ〜〜あ〜〜!! 私、高村まんご。小学4年生。
寒い冬も明け、春の訪れを感じる今日この頃。みなさまいかがお過ごしでしょうか?
さて、今回のお話はいかがだったでしょうか?
え? いかがわしい?
どひゃあ〜。
なんだよ〜。せっかくまんごちゃんがかしこまった話し方してるのに、今回の話がいかがわしい? いや、そんなこと……。うん?
あると思います!
まぁ、でもなろう的にセフセフであってほしいよね。ほんと。頑張って更新してるんだし、いきなりバンってされないようにしたいからね〜。
春のバン祭り、って最近聞かなくなったけどね。あるかもしんないからね。
まぁ、あれだよ。果実さんが重ねたんでしょ? 何とは言わんけどなっ!
重ねたというか、い……。だめっ! だめよっ! これ以上はだめっ!
でも、大丈夫。過程は書けないけど、結果は書いてもいいんだよ。うん。
次回のタイトルを見たらわかるでしょ? ナニをしたか?
はいっ!!
ということで、次回も夢の中編が続くんだよ。一気に終わらせてしまいたいという遥さんの怠慢が見えるよね〜。まんごちゃんの夢の時は小出しにしたのにね〜。
まぁ、そいうことだから。
じゃあ、次回はっ、
魔法少女マンゴ☆スチン Reincarnation
『第百拾六話 ゲンブ、誕生』
だよっ!
絶対に読んでねっ!
マンゴスチン! カジュー! ヒャクパーセントー!




