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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
4 俺たちの戦いはこれからだ

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204/205

204 パラボラ大陸

デリートシステム上位個体一位のディスと出会った

普通に挨拶して去って行っただけ

本当にこの世界でのんびり暮らすだけなのか

それともなにかを企んでいるのかはわからない

今のところは様子見するしかないな


その翌日、いよいよパラボラ大陸へ向けて出航だ

豪華客船ではないがそこそこお高い船に乗っている

約3日は船上生活なのだ、快適な方が良い


「どんどん港が見えなくなっていくな」

「そうだね」


「パラボラ大陸での大冒険が楽しみでござる」

「そうだね」


「パラボラ大陸はフーテン大陸より国の数が多かったわよね」

「そうだね」


パラボラ大陸は小国や民族ごとの集落が多い


「どうしたんですかお兄さん、楽しくないの?」

「いやまあ楽しいけどさ」


俺たちは甲板で景色を眺めている

フーテン大陸が遠ざかっていく

転移ですぐに帰れるから特に哀愁などはない


ただ反対側の甲板に立っている二人組を見つけてしまっただけだ


「おや、ケンタさんにベンケイさん」

「なんだお前らもこの船だったのか」


シロバナさんとオトヒメだ


「シロバナさんもパラボラ大陸へ行くのですね」

「行くというか帰るのですよ」

「私らの里はパラボラ大陸にあるからな」


エルフの里は一ヶ所ではない、各大陸に点在している

フーテン大陸だけエルフの里がない


「そちらの方々はケンタさんとベンケイさんのお仲間ですか?」

「ああ、紹介するよ」


「アンナです、初めまして」

「アオイです」

「サクラです」


ポチャたちは犬猫狐のフリしているので名乗らない

ブルーは姿を消している


「私はシロバナと言います」

「私はオトヒメだ」


オトヒメがアンナたちをジロジロ見る

またなんか難癖つけるつもりじゃなかろうな?


「おいケンタ、この子はさらって来たのか」

「仲間だっつってんだろ!」


アンナを指差してふざけたことをぬかすオトヒメ


「私はさらわれていませんよオトヒメさん」

「そうか、ならいい」

「おい、まずは俺に謝れ」

「疑われるお前が悪い」

「むきー!」


アンナが苦笑いをしている

エルフ兄妹のことは先日話したので俺とこいつの関係を察してくれたようだ


こうしてパラボラ大陸への航海が始まった




特に事件もなく無事に航海は進んだ

そして見えてくる、パラボラ大陸西端の港町セロテープ


陽も落ち始める夕刻に到着する

約3日弱の航海が終わりを告げる


「私たちは明日の馬車で移動します、ケンタさんたちは?」

「俺たちはのんびり旅を楽しみたいのでこの港町で遊んでいきますよ」

「そうですか、ではここでお別れですね」

「はい」


港町セロテープ、ステープラーと同じ規模の港町だ

少しだけ散策してから他へ行けばいい


「エルフの里はこの大陸中央から少し南に行ったところにあります

 里に一番近いのはバリゾウゴン街という街です

 その街に移り住んでいる同胞が数人いますから声をかけて下さい

 私の名を出せば連絡なり案内なりをしてくれるはずです」


「里のことは秘密とかじゃないのですか?」

「いえ、他の街と流通もしていますから問題ないですよ」


エルフの里とかって隠しているものだと思っていた


「わかりました、近くに寄ったら伺いますね」

「ええ、歓迎しますよ」

「でもオトヒメのように絡んでくる人とかいそう」

「すみません、オトヒメだけなので安心して下さい」


苦笑するシロバナさん

なるほど、ダメな子はオトヒメだけなのだな


「なあケンタ、この子くれよ」

「しつこいぞ、やらんと言っているだろ」


オトヒメがポチャを気に入ったようだ

船でもポチャを捕まえて放しもしない

なでたり可愛がっているだけなのでほっておいた

しかし譲るわけがなかろう


「うう、ポチャ、私のところに来ないか?」

「くぅ~ん」


困ったように鳴くポチャ


「困った顔も鳴き声も可愛いとか! やっぱ欲しい!」

「いい加減にしないか!」


ゴスッ! 「いたぁっ!」


シロバナさんにゲンコツを落とされてポチャから手を離すオトヒメ

ポチャは素早く俺の後ろへ隠れる


「ああ、ポチャ~」

「すまないなケンタさん」

「いえいえ」


シロバナさんも苦労するよな


「ではいつかまた」

「はい、また」


オトヒメを引きずるように連れて行くシロバナさんを見送る


「自由奔放な方ですねオトヒメさんは」

「アンナよ、自由奔放ではなくバカなだけだオトヒメは」




夕刻過ぎなのでまずは夕食をとることにした

宿屋は後で探すことにする


「食べた後は安宿で良いから確保して明日は港町を散策しようか」

「そうですね、出発は明後日ということにしますか?」

「ああ、そうしよう」


食べながら明日以降のことを話し合う


「どの方角へ進むんだケンタ」

「そうだなあ、どこへ向かおうか」

「せっかくだからエルフの里を目指しませんかケンタ殿」

「そうよね、歓迎してくれるみたいだし、行きましょケンタくん♪」


目的地があった方がいいもんな


「よし、エルフの里を目指しつつのんびり観光していこう」

「決まりですね」


食事処から出て身体を伸ばす

すっかり夜空が広がっていた


「さて、空いてる宿屋を探すか」

「はい」


宿屋を探そうと歩き始めたとき


「待つがよいケンタ」

「ブルー?」


ブルーが待ったをかける


「どうしたのブルー」

「御主人様と皆にも伝えておくことがある」


なんだろう?


「一週間である7日目は船上だったからあえて言わなかったが

 子供らと別れて今日で8日目だ、一度帰るべきではないか?」


そうだ、約束は一週間から10日以内

あと2日あるけど帰った方が良いだろう

明日馬車で移動したとして他の街や村を回れば過ぎてしまう

そしたらまたベッキーたちを心配させてしまう


「そうだな、帰ろう」

「じゃ宿探しはなしですね」

「教えてくれてありがとうねブルー」

「港町の散策は後日だな」

「もう夜中だから急いで帰るでござる」


寝てるかも知れないから驚かすかも知れない

それでもすぐに帰ることにした


サクラさんがここを記録する

そして俺たちは屋敷へ転移した

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