203 港町ステープラー
カジノから宿屋へ帰って夕食をみんなで食べる
「それでいくら負けたんですかお兄さん」
「待て、なぜ負けたと決めつけるんだアンナ」
「お兄さんがギャンブルで勝てるはずないでしょ?」
「当然のように言うな!」
「じゃ勝ったんですか?」
「・・・負けたよ」
「ほらね」
むきー、悔しいっ!
「で、いくら負けたの?」
「・・・200万」
さすがに1億負けたなんて言えない、言いたくない
「ふぅん、ほんとかなー」
「うぐぐ、いいだろもう!」
ヤケ食いのようにメシをがっつく
「ベンケイ殿は?」
「私は1億稼いだぜ♪」
「さすがでござる」
やっぱり俺もスロットにしとけばよかった
後の祭りだがな
「明日はどうするのケンタくん」
「そうだな、そろそろ港町へ行くか」
明日の朝イチに港町へ行くことにした
翌朝、二台のカブとホウキに乗った俺たちは港町へ出発する
王都から港町へは馬車で約3時間の距離
俺たちの移動手段なら30分弱で着ける
というわけで港町にあっさり到着した
「王都も賑わっていたがここはさらに賑わっているな」
「パラボラ大陸と行き来するための場所だからな」
この港から大小さまざまな船が大陸間を行き来している
パラボラ大陸から来た様々な人種がたくさんいて賑わっていた
港町ステープラー、フーテン大陸東端にある港町
パラボラ大陸へ渡るための場所、パラボラ大陸との流通の玄関口でもある
パラボラ大陸西端の港町セロテープへ渡る船が停泊している
もちろん港町セロテープから来た船も停泊している
「お兄さん、これからどうします?」
「まずは宿屋の確保かな、それから船の手配だな」
一般人だけでなく観光客、商人が多いため宿屋の確保が難しい
だから先に宿屋を確保することにした
まあ観光客や商人は中級以上の宿に泊まるので安宿はそれなりに空いている
それでも冒険者も多いから早い者勝ちだ
手分けして安宿を探してなんとか確保できた
「では次は船の手配ですね」
「船はちょっと豪華な船にしたいな」
パラボラ大陸までは約3日弱かかる
約3日も船上生活するのだ、快適な方が良い
安いボロ船で3日も過ごしたくない
アンナもそれはイヤみたいで承諾してくれた
豪華客船とまではいかないがそこそこ良い船を手配できた
出航は明後日なので明日はみんなで港町を散策することにした
翌日、港町を散策する俺たち
「ほんと人が多いな」
「しょうがないですよ港町なんだから」
まるで毎日祭りをやっているような場所だ
「・・・お願い、人の少ないところで休ませて」
引きこもりのサクラさんにはこの人混みはきつかったようだ
屋台やお店がないエリアへ行く
公園っぽいところがあったのでその木陰で休むことにした
「うう、ごめんねみんな、うっぷ」
「あの人混みなら俺たちでも酔うよ」
ぐったりとうな垂れているサクラさん
ブルーが心配そうに頭の上をちょろちょろする、落ち着け
「飲み物買ってきましたよー」
アンナとアオイくんが買って来てくれた
水分補給をして休憩する
「ふう、落ち着いたわ、みんなありがとう」
「どういたしまして」
「サクラさんはもっと出歩いて慣らすべきですよ」
アンナが引きこもり相手に無茶を言う
まだなにか言おうとしたときピタリと動きが止まるアンナ
同時にちょろちょろしていたブルーも止まる
アンナとブルーだけではない
ベンケイさんの肩にいたヨシツネが下りて警戒する
アオイくんの頭の上にいたサスケも下りて警戒する
走り回って遊んでいたポチャも動きが止まる
ガイド精霊一同が一点の方向へ向き警戒していた
俺たちもその方向に顔を向ける
フード付きのコートを着た子供がこちらへゆっくり歩いて来ていた
背丈がアンナぐらいだったので子供だと判断した
話しのできる位置まで来て止まる謎の子供
「こんにちはみなさん」
声変わり前の少年の声だから少年だな
「こんにちは、俺たちになにか用かな?」
いまだにアンナたちは警戒を解いていない
すごくイヤな予感がする
「初めましてみなさん、私はディス・カードと言います
ガイド精霊の方々はお気づきのようですね」
フードを取り顔を見せるディスという少年
肩までの長さの茶髪で前髪が長く左目を隠している鬼太郎ヘアー
見えている右目は妖しく赤色に輝いていて不気味だ
ガイド精霊を知っていてアンナと同じ背丈の少年
こいつは多分、いや確実にアレだ
「お前、デリートシステムの一位か?」
「ご名答、すぐに理解していただきありがとうございます♪」
三位のイレイは俺の決壊死で消滅した
二位のコレクはマンモスと一緒にどこかへ行った
出会っていないのは一位だけ、だからこいつが一位だとすぐにわかった
「ガイド精霊のみなさん、そう警戒しないで下さいよ
私は戦いに来たわけではなく挨拶をしに来ただけですよ」
「なぜわざわざ挨拶しに来た」
「私はこの港町で遊んでいただけなのです
けれどみなさんの気配を感じたので一応挨拶をと思っただけです
イレイがご迷惑をおかけしたようですし」
イレイと俺たちが戦ったことは知っているようだ
「コレクとも出会ったそうですね」
「ああ、ガイド精霊と友達のようだったのは驚いたぜ」
「私とコレクは野良精霊を退治するとか考えていません
せっかく自由の身になったのだから無意味でしょう?
私もコレクもこの世界で楽しく暮らそうと考えています」
「コレクも似たようなことを言っていたな」
「ですからあまり警戒して敵意を向けないでくれませんか」
アンナたちを見て苦笑いするディス
「アンナ、ひとまず落ち着け」
「・・・そうですね、すみません」
「お互いこれからもこの世界で楽しく過ごしましょう♪」
「そうだな」
ディスが笑顔で握手を求めてきた
俺たちはディスと握手していく
「それではよい旅を」
握手して特になにもせず去って行くディス
本当に挨拶しに来ただけのようだ
「コレクと同じくもう酷いことをしそうにないぞ?」
「そうでしょうか」
アンナはまだ疑っている
たしかになにを考えているかわからないところがある
「とりあえず今のところはなにもしてこないようだから気にしないでおこうぜ」
「そうですね、そうします」
コレクとディスはイレイとはかなり違う
デリートシステムの一位と二位、謎の少年たちだ




