202 ベンケイとオトヒメ
どんな仕掛けかわからないが俺は負けた
証明できなければイカサマを糾弾できない
まあ俺もセコいことしたから文句は言えないけどな
気を取り直してカードゲームのエリアにやって来た
ブラックジャック、ポーカー、バカラなど数種類の台が用意されている
「ここは定番のブラックジャックだ」
「いいだろう、まあ勝つのは私だけどな」
エルフ兄妹と一緒にやることになった
絶対オトヒメにだけは負けたくねえ!
オトヒメより多く勝って自慢してやる
ついでにダイスで負けた分を少しでも取り戻したい
ディーラーがカードを配る
さあ、ゲームの時間だ!
「オトヒメ、そろそろ帰るぞ」
「・・・はーい」
「ケンタさん、大丈夫ですか?」
「・・・ご心配おかけして申し訳ないでござる」
「ほんとに大丈夫ですか?」
俺とオトヒメの勝負は序盤デッドヒートを繰り広げていた
しかし10回目ぐらい以降は二人して負けまくってしまった
そしてあれよあれよといううちに二人とも100万負けた
「まったく、熱くなり過ぎだオトヒメ」
「だってぇ~」
しょんぼりしているオトヒメ
ざまあとか言いたいがブーメランなのでやめておく
ちなみにシロバナさんは10万の黒字だ
やはり堅実に行くのが一番なんですね
「私たちは宿へ帰りますがケンタさんはこれからどうします」
「俺も仲間と帰るよ」
「仲間の方と来ていたのですね」
「お前の仲間か、きっと悪い奴なんだろ」
「俺の仲間のことを悪く言うなバカエルフ!」
「そうだぞオトヒメ、失礼なことを言うんじゃない!」
「はいはい、悪うございましたあ~」
ほんと反省しない奴だな
「どんな奴か紹介しろよケンタ」
「いいけど、俺のときみたいにケンカ売るなよ?」
「ああ、そいつが売って来たら知らないけどな」
「いい加減にしろオトヒメ!」 ゴチン!
「うひぃ!」
ゲンコツを落とされたオトヒメ
ざまあ♪
俺たちはベンケイさんがいるスロットエリアに向かった
「おうケンタ、ちょうど迎えに行こうとしてたんだ」
「ベンケイさん、スロット終わったの?」
ベンケイさんもこっちへ向かっていたので途中で出会えた
「ああ、もう少し出そうだったけど止めといた」
「なんで?」
「カジノの黒服が集まり始めたからな
ほら、勝ち過ぎると面倒なことになるだろ」
「あー、なるほどね」
「それでも1億は稼いだぜ♪」
「すげーな」
俺なんてマイナス1億と201万だよ
「ところでそっちのエルフさんたちは?」
「ああ昨日知り合って今日はたまたま出会えたんだ」
「こんにちはお嬢さん、私はシロバナと申します」
「私はベンケイだ、よろしくなシロバナ」
見た目がお嬢様だから言葉遣いにちょっと驚いているシロバナさん
「んで、そちらさんは?」
「私はオトヒメだ」
おや、普通に名乗ったぞオトヒメのやつ
ケンカ売って来なくて良かったけど
「なんだよケンタ、昨日知り合ったんなら教えてくれよ」
「あー、うん、ごめん」
盗っ人呼ばわりされたりケンカになったからな
そういうことをわざわざ話題にしたくなかったから言っていなかった
「なんかあったの?」
さすがベンケイさん、感づいたか
「俺は落とした財布を渡そうとしたけど盗っ人呼ばわりされたんだよ
それで剣を突きつけられてケンカになった」
「なんだそりゃ、ひでえな」
「ほんと愚妹がすまなかった」
シロバナさんが苦笑いする
「私悪くないもん・・・」
ボソリとオトヒメが呟く
いやお前が悪いだろ
「なあ、オトヒメと言ったか、いくらなんでもひどくねえか?」
「そういう誤解されるケンタも悪いだろ」
どこまでも自分の非を認めない奴だな
「たしかにケンタは誤解を受けやすいところはあるな」
「そうだろ、なんだあんたわかっているじゃないか」
「だけど街中で剣をいきなり抜くのは良くないぜ
それにまず相手の話をきちんと聞くべきだ
相手が本当に盗っ人なのか届けに来てくれただけなのか
冷静に物事を判断するようにしようぜオトヒメ」
「うぐ、シロバナと同じようなことを!」
「間違って盗っ人でもない奴を傷つけたり殺したりしたらダメだろ
そうなったらオトヒメはただの殺人鬼、犯罪者だ
そこの兄さんや家族にも迷惑を掛けることになる
そんなことになってもいいのか?」
「そ、それは・・・」
「大事な家族が悲しむことになるようなことはするな
それにオトヒメ自身もこの先の人生が真っ暗闇だぜ
オトヒメは悪い奴じゃないだろ?
少なくとも私はそう思うよ」
ポンとオトヒメの肩を軽く叩くベンケイさん
「・・・悪かったよ、ベンケイの仲間を疑って」
「うん、わかってくれて嬉しいぜ♪」
ニカッと笑うベンケイさん
ベンケイさんに諭されて素直に謝るオトヒメ
「すごいですね彼女」
「ああ、ベンケイさんはすごいんだよ」
あのバーサーカー、オトヒメが大人しく聞き入れた
やっぱりベンケイさんは最高だぜ
「ケンタ、悪かったな」
「ああ」
素直に俺にも謝ってきた
少しは反省してくれたのだろう
「それはそれとして」
「なんだ?」
「ベンケイみたいな少女を恋人にしているなんて少女趣味なのか?」
「おまえふざけんなっ!」
しおらしくなったと思ったらこれだよ!
「すまないケンタさん、私もそう思った」
「シロバナさんまで!?」
「わっはっは♪ 私は21歳だ、少女じゃないぜ」
「「え!?」」
エルフ兄妹が驚く
背も低く可愛らしいから少女だと思ったのだろう
「すまないベンケイさん」
「ごめんベンケイ」
謝るエルフ兄妹
「いいよ、よく間違われるから」
「そうですか、それじゃケンタさんと恋人でも問題ありませんね」
「いや恋人じゃなく相棒、仲間だぜ?」
「そうなんだ、良かった」
「オトヒメ、その良かったと言うのはどういう意味だ?」
「こんな男が彼氏とか最悪だろ」
「なんだこのやろう!」
めっちゃしばきてえ!
「面白れぇなあオトヒメ♪」
「ほんとすまない・・・」
オトヒメを気に入ったのか笑顔のベンケイさん
オトヒメの愚行に頭を抱えるシロバナさん
そんなこんなで俺たちはカジノを出て別れたのだった




