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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
4 俺たちの戦いはこれからだ

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205/205

205 護衛と警護

やっとパラボラ大陸に渡れたばかりだが一度屋敷へ帰ることにした

時間は21時を過ぎているからベッキーたちは寝ているかも知れない


屋敷の門前に転移すると領主様の私兵さんたちがいた

俺たちの留守中、子供たちだけでは心配だと配置してくれている


「こんばんは、ただいま」

「いきなり現れるのどうにかならんか?」


まだ二度目なので慣れなくて驚かせてしまっている


「すみません、これはもう慣れてもらうしか」

「そうだな、仕方がないか」


諦めたようにため息をつく私兵さん


「前回もお二方でしたけど交代とかしないのですか?」

「俺たちが専属で配置されているから交代はない」


そうなんだ、でも食事とかどうしてるんだろ


「食事とか休憩とかはどうしてるんです」

「一定時間ごとに順番に取っているから安心しろ」

「二人同時に持ち場を離れられないからな」

「俺たちのためにすみません」


「「お前らのためというより子供たちのためだ」」


そうだよね


「お二人の名前を聞かせてもらってもいいですか?

 これからもベッキーたちを守ってもらうわけですし」


「そうだな、俺はジョンだ」


茶髪茶眼の方がジョンさんか


「俺はレノンだ」


茶髪碧眼の方がレノンさんか


ジョンさんとレノンさん・・・ 考えるのはやめておこう


「子供たちはもう寝てるから静かに入れよ」

「はい、ありがとうございます」


俺たちはコソ泥のようにコソコソと屋敷に入って行く

俺たちの屋敷なんだけどな


俺たちはそれぞれの部屋へ別れて就寝した




起床してダイニングへ行くとベッキーが朝食の準備をしていた

トムとハックはちゃんとベッキーの手伝いをしている


「よ、おはよう、あとただいま」


「「「おじさん!?」」」


どうやら帰って来ていたことに気づいてなかったようだ

めっちゃ驚いている


「いつ帰って来たんですか?」

「昨日の夜中だ、21時過ぎだったかな」


「僕たちもう寝てたよその時間」

「起こしてくれても良かったのに」

「そういうわけにもいかんだろ」


「ふわぁ~、おはよ~」

「おはようでござる、むにゃむにゃ」

「おはようございます」


ベンケイさんたちも起きて来た

サクラさんだけまだ寝ているようだ


「えっと、おはようございます、そしておかえりなさい

 それじゃみんなの分も用意しますね」


ベッキーは厨房に行き俺たちの朝食も用意し始めてくれた

やっぱり夜中に帰るのはやめたほうがいいな

今後は日中に帰るようにしよう




朝食の用意をしている間にアンナがサクラさんを叩き起こしてくれた

そしてみんなで朝食をいただく


「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」


旅でのことやベッキーたちの近況などを話題に食事が進む


「今日は仕事なのかベッキー」

「うん、あ、そうだ」


ベッキーがなにかを思い出して俺たちに伝える


「帰って来たらギルドへ来るようにってベルさんから言われてました」

「ベルさんが?」

「なんでしょう?」


「さあ、なんの用事かは聞いてないけど伝えるようにとだけ言われたの」

「ベルが呼び出すってことはなにか指名依頼とかでもあるんじゃないか」

「そうかも」


ゆっくりしたかったんだが無視はできない

よほど面倒な依頼だったら断ってもいいしな

依頼を断る権利も冒険者にはあるのだ

働きたくないでござる




ベッキーを送るついでに俺たちもギルドへ向かう

ギルドに着いてベッキーは飲食スペースの方へ別れる

俺たちは受付にいるベルさんのもとへ行く


「おはようベルさん」


「ケンタさん、みなさん、おはようございます

 今回は約束の期間内に戻って来たようですね」


「その節は本当に申し訳ありませんでした」


思わず深々と謝ってしまう俺


「もういいですよ、おかえりなさい」


微笑んでくれるベルさん


「それで俺たちになにか用事があるの?」

「ええ、領主様から指名依頼が入っているの」


領主様からの依頼か、うん、断れないやつだ


「どんな依頼?」

「直接話したいらしいから領主邸に行ってくれる」

「それならベッキーにそう言ってくれたら直接行ったのに」


「そうしたらギルドへ来なかったでしょ」

「そうなるね」


「ケンタさんに会いたかったらこっちに来てもらったの!」

「うぐぅ!」


照れながら笑顔でぶっちゃけるベルさん

俺のハートにクリティカルヒットした


アンナが呆れ笑いをしている

ベンケイさんとサクラさんがニマニマしている

アオイくんがなんか動揺していた


「じゃ、じゃ、じゃあ俺たちは領主様のところへ行くね!」

「ふふ、また来て下さいねケンタさん♪」


俺はあたふたと情けなくギルドから逃亡する


領主邸へ向かう途中、アンナとベンケイさんとサクラさんにからかわれた

そっとしといて(真っ赤)




領主邸の応接室に通されてしばし待つ


「よく来てくれた、戻って早々忙しなくてすまんな」

「いえ、領主様のご指名ですから」


領主様が座って依頼について話し始める


「依頼は二つ、簡潔にまとめて言えば護衛と警護だ」


護衛と警護?


「王都へ行ってこちらへ戻って来るまでの私の護衛だ」


今回は領主様自身を守る護衛か

これまではシシリーの護衛だったからな


「領主様自ら王都へ行くなんて大事な用事があるのですか?」


「大事といえばそうかも知れんが重く考える必要はない

 知人の娘の誕生パーティーへ招待されているだけだ」


「知人の誕生日ではなくその娘さんの?

 なんで領主様が行くことになっているのですか」


「その娘とシシリーが親友だからだ

 そして知人は私の親友でもある」


んん? それって


「もしかしてフレンダ男爵ですか?」


「そのとおりベスタ・フレンダ男爵だ、そして娘は知ってのとおりリディア嬢だ

 そのリディア嬢の誕生パーティーに招待されている」


親子そろって親友同士だからな、そりゃ招待されるよな


「行き先と護衛することはわかりましたが警護って?」

「その誕生パーティーの警護だ」


ようするに会場の警備ね


「フレンダ男爵が用意しているのでは?」


「じつは警護に関してはベスタから頼まれたのだ

 親友の頼みだからな、だからお前たちに依頼した」


なんか計画的犯行のような気がするのは気のせいだろうか


「それでもちろんこの依頼、受けてくれるのだろう?」

「ええと、断ったらダメですよね?」

「ほほう、断る気なのかケンタ」


ニヤリと眼光鋭く笑いかけられる

うん、やっぱり断れないやつだった


「わかりました、お引き受けいたします」

「うむ、それでこそケンタだ」


ベンケイさんたちが苦笑している

きっとリディアと俺のことで領主様とフレンダ男爵が結託しているに違いない

まだリディアに対しても答えが出ていないってのに


こうして護衛と警護の依頼を受けた俺たちだった

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