200 賭博堕天録ケンタ
ビリーの勝負を受けた俺
俺はカードに追加で1億をチャージする
俺の賭け金は2億
ビリーが1億の入った収納袋を台に置く
中身も確認させてくれたので問題ない
3回の勝負で現在の残高は1億と91万
これに追加分1億を足したので残高は2億と91万となった
2億を賭けて勝ったら4億バックで4億と91万になる
さらにビリーの自腹で1億をもらえて5億と91万
俺がチャージした1億と100万を引くと3億9991万
手数料1万を引いた3億9990万が稼ぎとなる
たったの4回の勝負で約4億が手に入る
なんて美味しいんだ
だがギャンブルはなにが起こるかわからない
ビリーがなにかを仕掛けているかも知れない
自腹で1億出すぐらいだからな
しかし台にもトレイにもダイス自体もおかしなところはなかった
しかも振るのを俺自身に任せるという
まったくおかしな点がないというのが逆に怪し過ぎる
「本当に俺が振っていいのか?」
「もちろんだ、それなら俺がイカサマをすることはできないだろう?」
たしかにそうだけど警戒は怠らないでおこう
「それじゃ偶数に2億だ」
トークンが偶数枠に置かれる
ダイスを持とうと手を伸ばす
俺が振るのだからやっぱりビリーにはなにもできないはず
まさに運否天賦、負ければ俺の運がなかっただけだ
運否天賦?
俺は閃く!
ダイスに伸ばした手が止まる
違う、決して運だけでは決まらない
ここはカジノ
ディーラーはその技量で勝敗を操作する
賭ける側にも駆け引きなどの技量があれば操作可能
思いつく、必勝法を!
俺はニヤリと笑う
「どうした、ダイスを振らないのか?」
「振るぜ、そして俺が勝つ」
「大した自信だな」
呆れるビリー
俺はダイスを親指と人差し指でそっと挟んで掴む
そしてゆっくり持ち上げる
トレイから1センチほど浮いたところで手を止める
「お前、まさか・・・」
「気づいたかビリー」 ニヤリ(悪い顔)
この状態でそっと両指を離せばダイスは垂直に落ちる
トレイとの距離はたったの1センチ
跳ねることも転がることもなくトレイに着地する
すなわち出目は上面の<4>になる
俺が賭けたのは偶数、俺の勝利は確定だ
「俺に振らせたことがお前の敗因だビリー」
「まだわからないだろ」
いや、どう考えても俺の勝ちだろ
負けを認めたくない気持ちはわかるがな
「すぐに結果は出る、俺の勝利は揺るがない!
残念だったなビリー、お前の1億はいただいたぜ♪」
俺は両指を優しくそっと離す
ダイスはゆっくり垂直にトレイへ落ちていく
勝った!
約4億が俺のものになる瞬間!
絶望しろビリー!
俺は歓喜の笑みを浮かべる
卑怯? セコい?
そんなものは負け犬の遠吠え!
振り方は指定されていないぜ?
そりゃ持ったまま置いたら振っていないからダメだ
でもトレイからは1センチとはいえ離れている
転がらなくても振ったことには変わらない
ギャンブルは勝てばいいんだよ!
「4億いただきぃっ♪」
勝利を確信した瞬間
カコーン!
「なん・・・ だと・・・」
ダイスが跳ねた
そして少し転がって止まる
出目は<5>、奇数
「そんなバカな!」
俺は愕然とする
バカな、跳ねただと?
1センチしか離れていないんだぞ?
そっと離して垂直に落とした
ありえない
トレイに仕掛けはなかった
台にもダイスにもなにもなかった
なのになぜ跳ねた!
ビリーがなにかしたのか?
魔法? いや魔法を使った形跡はない
特に動きもなかった
「どうやら俺の勝ちのようだな」
ニヤニヤしながら声をかけてくるビリー
「お、おう、そうだな・・・」
納得いかねえ!
「お前、なにかしたのか?」
「俺はなにもしてないぜ、たっぷり確認しただろあんた」
たしかに念入りに確認した
したはずなのに結果がこれだ
「勝利の女神様が俺に微笑んだだけだろ♪」
「うぐぐ・・・」
「セコいことしたから嫌われたんじゃね?」
「うぐぐ・・・」
くそう、恥も外聞も捨てて勝ちに行ったのになんてザマだ!
「まさか無効だとか言わないよな?
さすがにセコいことした上にそれはないよな?」
「わかってる、俺の負けだ」
完全勝利のはずが完全敗北を喫してしまった
「それでどうしますかお客様、まだ遊んでいかれますか?」
笑顔でディーラーモードに戻るビリー
くそう、めっちゃ悔しい!
カード残高は91万
悔しいので全額をパーフェクトで<2>に賭けた
勝てば100倍、9100万になる
少しでも取り戻したいから
しかし結果は<4>
カード残高はゼロになる
結局、1億と100万が短時間で奪われた
「追加チャージしてきますかお客様?」
「いい笑顔しやがって、もう帰るよ!」
「またのご来店を、といっても私は今日で辞めますけどね♪」
ビリーの笑顔を背に俺はトボトボと他のエリアへと向かった
スロットのエリアに来た
ベンケイさんはどうなったかな
見つけた
「すげえ」
スロットは上部にある小型モニターに配当が表示される
メダルとかがジャラジャラ出ないのは寂しいものがあるな
それはともかく配当がすごいことになっていた
「ベンケイさん、すごいね」
「おうケンタ、この台は大当たりだったぜ♪」
「どれぐらい使ったの?」
「最初の1万で当たりを引いてな、それからずっと確変状態だ♪」
それで現在3000万オーバー
俺はマイナス1億オーバー
俺もスロットにすればよかった
「まだ続いているから離れられない」
「じゃ俺は他のとこぶらついてくるよ」
「わりぃな」
「いいよ、せっかく当たっているんだから」
俺はベンケイさんから離れてぶらついた
「10万だけチャージしてカードゲームでもやろうかな」
今度はちまちま遊ぼう
もう大勝負はしないと心に誓う
各エリアに点々とチャージ用の台が設置してある
近くの台に行き10万をチャージする
「なんだ、お前も来ていたのか」
「え?」
チャージを終えてカードエリアに行こうとしたら声をかけられた
振り向くと肩を露出した赤いロングドレスを着た美人エルフがいた
オトヒメだった
「お前もかよ」
「チャージしてたのか?」
「そうだよ」
「ふふん、負けまくって何度目の追加だ?」 ニヤニヤ
うっざ! いくら美人でもこいつはダメだ
「ほっとけ!」
「まあせいぜい頑張れよ♪」
「そういうお前は勝ってるのかよ」
「当たり前だ」
こいつが勝てて俺が負けていることがめっちゃ悔しい!
「こらこら嘘をつくなオトヒメ」
「ちょ、シロバナ!」
白を基調とした貴族っぽい服の好青年エルフが現れた
オトヒメの兄のシロバナさんだ
「こんにちは、昨日ぶりですねケンタさん」
「はい、こんにちはシロバナさん」
「オトヒメは賭け事が好きな割に弱いから結構負けていますよ」
「バラさないでよシロバナ!」
「なんだよ、お前も負けてんじゃん」
「ふん、たしかに負けたけどまだ10万だけだ
お前はどうなんだよケンタ」
「うぐ、100万だ」
1億負けたなんて言ったら絶対バカにされるから言わない
「ふふん、私の方が負けていないな♪」
「いや10万でも負けは負けだからな?」
シロバナさんが呆れながらツッコむ
「私たちはこれからカードエリアに行きますがケンタさんは?」
「俺もカードエリアです」
「なら一緒に行きませんか?」
「いいですけど、お前はいいのかオトヒメ」
「もちろんだ、どっちが多く勝てるか勝負だケンタ!」
こうしてエルフ兄妹とともにカードエリアへ行くことになった
オトヒメにだけは負けたくないから頑張ろう




