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愚者の楽園に転移したけどまったく問題ない  作者: 長城万里
4 俺たちの戦いはこれからだ

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199/206

199 ギャンブラー

奇数偶数の二択のオッドオアイーブンでまずは勝利を収める

次は三択のスリースプリットに挑戦だ


「次はいかがなさいますかお客様」

「そうだな、スリースプリットでC枠に10万だ」


宣言するとトークンがC枠に置かれる


各枠の当たり目はA枠(1・2)、B枠(3・4)、C枠(5・6)となっている

5か6が出れば俺の勝ちだ


「では振らせていただきます」


ディーラーがダイスを振る

やっぱり地味で華がない

おかげで集中して遊べる


「出目は、<5>、C枠です、おめでとうございますお客様」

「おう♪」


スリースプリットの配当は10倍なので100万円がカードに加算された

これでカード残高が191万円になった


「続けますか?」

「ああ」


さて、ここからが本番だ


最初の2、3回ぐらいは勝たせてくれるだろう

ディーラーというものは出目を操作する技術を持っている

もちろん完璧ではないがある程度はできるはずだ


例えばルーレットなんかは玉の投げ方などで数字を狙い撃ちしたり

カードゲームだったらシャッフルとか配るときとか操作する


最初に少し勝たせて客を喜ばせる

気を大きくさせて大賭けさせるように仕向ける

そして客からがっぽり奪おうというのが定番だ


客が賭け枠を決めたあとに振るから出目を操られたら客には手も足も出ない

ルーレットなんかは球が転がっている間に賭けられる

カードゲームも場合によっては下りることもできる

このダイスゲームは結果がすぐ出るため変更もできず下りることもできない


でも一応観察してみたが動きに変なところはなかった

普通に振っていたし、ダイスを操作したりする素振りもなかった

また他の人間に目で合図とかということもない

まあ俺とディーラー以外この近くには誰もいないんだけどね


となるとダイス自体に細工があるのか?

こういう世界だ、魔力で操作するとか思ったけどダイスに魔力の気配はない


とりあえず次の勝負で勝たせるか負けさせるか

その結果で考えるとしよう


「お客様、賭け枠をお決め下さい」

「パーフェクトで<1>に100万!」


パーフェクトは出目をぴったり当てないといけない

配当も100倍と大きい


100万賭けたので当たれば1億の配当だ

カジノの損失を考えれば勝たせないだろう


「<1>ですね、当たるとよろしいですねお客様」

「そうだな」


さて、どうでるか


ディーラーはダイスをこれまでどおり軽く振る

大勝負のような気がするがまったく動じていない


「出目は、<1>、おめでとうございますお客様」


当たった、配当の1億がカードに加算された


「すごいですねお客様、これはオーナーに叱られてしまいそうです」


苦笑いするディーラー

大負けするようなディーラーはたしかに叱られそうだ

カジノの損失だからな


「悪いな、これも勝負の世界だ」

「もちろんわかっていますよ、ははは」


このディーラー、あんまり困ってるような感じはしないんだが?


「お客様、私に挽回の機会をいただけませんか」

「どうするんだ?」


「あと一回勝負して下さい」

「まあそれぐらいなら構わないけど」


おそらくその勝負でなにかを仕掛けて取り返すつもりだろう

だが素直に返すつもりはないぜ


まあ1割の1千万ぐらいなら返してやるか


「その1億とさらに1億を追加していただいて2億をお賭け下さいませんか」

「はあ!?」


こいつ、泣きの一回をお願いしている立場なのに吹っ掛けてきやがる


「おいおい、さすがにそんな勝負を承諾するわけないだろ」

「枠は奇数偶数のオッドオアイーブンで構いません」


それでも俺が奇数を選んだら偶数を出すつもりだろ


「お客様が勝ちましたら私の自費でさらに1億支払います」


どうせイカサマで勝つつもりだから大きく出たな


「それでもどうせそっちが勝つように仕組んでいるんだろ」

「なるほど、イカサマを疑っているのですね」

「当たり前だろ」


ディーラーはダイスを持ち上げそれを俺の前に突き出す


「私、いや俺の名はビリー・マッカーティ、流れ者のギャンブラーだ

 このカジノには臨時で雇われている」


急に人が変わった、いやこれがこいつの素なのだろう


「流れ者のギャンブラー? 臨時で雇われているってどういうことだよ」


「俺だけカジノの制服着ていないだろ?

 臨時雇いのディーラーは自前の服なんだよ」


たしかにみんな制服なのにこいつはシェリフ姿だ


「でもカジノのディーラーが正規の人間じゃないっておかしいだろ」


「他のゲームは正規のディーラーだ

 でもダイスゲームは臨時で雇うしかないんだよ」


「どゆこと?」


「このゲームが地味で華がないことはあんたもわかるだろ」

「そ、そうだな」


ディーラーのお前がそれ言っていいのか?


「だからダイスゲームのディーラーになろうって奴は皆無なんだよ

 いたとしてもまずは育てないといけないから即戦力がいない」


「な、なるほど、でもだったらなんでカジノはこのゲームを残しているんだ?」


ディーラーも用意できない、客足も閑古鳥なゲーム

カジノとしては不要なのでは?


「まああれだ、箸休め的なやつだ」

「どゆこと?」


「たしかに客が好んでくるようなゲームじゃない

 あんたのように好んで来る客も稀にはいるがな」


そうだろうな、俺はこういうシンプルなのが好きだから来ている

大抵はカードやルーレットやスロットに行く

ベンケイさんもスロットに行ったし


「他のゲームは人気もあって大盛況だ、そのぶん客も熱くなる

 その熱冷ましに1ゲームだけやる客がそれなりにいるんだよ

 このゲームだとまったく熱くならないからな」


なるほど、クールダウンのために残してあるのか


「でもさ、熱くなったままの方が客から金を引き出しやすいんじゃないのか?」


「熱くなりすぎで暴れたり騒ぎを起こす客もたまにいるんだよ

 そういうタイプの客用の防衛対策でもあるんだ

 そういう客をこっちへ誘導したりして落ち着かせている」


納得した、いるよなー、熱くなりすぎて暴走する奴


「わかったよ、だけどなんでいきなり素を見せたんだ」

「泣きの一回をお願いするんだ、仮面は外すぜ」


こういう奴は嫌いじゃないぜ

でもなにかイカサマ技があるかも知れない

やはり勝負は受けられないな


「ギャンブラーって言ったよな、だったらイカサマもするんだろ」

「だからこいつを調べてくれ」


それでダイスを俺の前に突き出したのか


「いいのか?」

「ああ、でも噛んだり割ったりするなよ、それしか無いんだから」


まあ噛まなくっても鑑定でチェックできるからな

アオイくんなら噛みそうだが


ダイスを手に持って重さや変なところはないか調べる

鑑定で見るがダイスという名称しか出てこない

うん、特におかしなところは見当たらない


そうなるとこの男、ビリーのテクニックか?

でもさっきまでの振り方や動きにはおかしな点はなかった

この勝負まで温存している?


ビリーの手の内がわからない限り危険だな


「ダイスはたしかにおかしくなかった

 でもあんたになにかしらの技があるかも知れない

 だからこの勝負は受けられない、すまんな」


「なら、あんたが振ってくれていいぜ」

「ええっ!?」


俺が賭け枠を決めて俺がダイスを振る?

自分自身で運命を決めるということになる


たしかにこれなら完全に自己責任、自身の運にかかっている

ビリーの技も関係なく、正真正銘のギャンブルだ


「いいのかそれで? 俺が勝ったらあんたは俺に1億払うことになるんだぞ

 それにカジノ側も2億の損失になる、オーナーに叱られるだけじゃすまないぞ」


「大丈夫だ、これまでに俺もかなり稼いでいる

 損失分払ったらたしかに懐が寒くなるけどな

 それでも明日からの旅の路銀ぐらいは残るさ」


「明日からの旅?」


「俺は今日までの臨時雇いなんだよ、だから最後の大勝負をしたいのさ

 俺は流れ者のギャンブラーって言ったろ♪」


ああこいつ本当にギャンブラーだ

勝つか負けるかを楽しんでいるんだ

目が輝いている


賭けるのは奇数偶数二択のオッドオアイーブン

ダイスは俺自身で振って運命を決める


こういう勝負、嫌いじゃないぜ

わくわくしてきた♪


「本当に俺が振っていいんだな?」

「もちろんだ」


「わかった、その勝負受けた!」

「そうこなくっちゃな♪」


俺とビリーはニヤリと笑い合う

さあ、大一番の始まりだ!

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ざわ…ざわ…Ww
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