186 嘘つき
約束の10日を4日も過ぎていた
俺たちは慌てて屋敷へ転移する
きっとベッキーたちは不安になっているだろう
とにかく謝ろう、許してくれるまで謝ろう
屋敷の門前に俺たちは転移した
「「うわっ!?」」
「「「「「えっ、誰!?」」」」」
門の前に二人の兵士が立っていた
いきなり鉢合わせたのでお互いとも驚く
「あれ、あんたたちはたしか・・・」
見覚えがある、そうだ、領主様のところの私兵さんたちだ
「なんであんたたちがいるんだ?」
「もしかして何かあったの?」
少し不安になる、サクラさんも不安そうだ
「「何かあったかじゃねえよ!」」
私兵さんたちがなんか呆れながらちょっと怒っていた
「ともかく話は後だ、俺はオシリス様へ報告に行く!」
「俺はギルドへ行くから、お前らは屋敷で待機していろ!」
「え? え? なに、どうしたの?」
「「いいから屋敷へ入ってろ!」」
めっちゃ怒られた、恐かった
私兵さんたちはそれぞれ領主邸とギルドへ走り去った
「なんだったんだアレ」
「なんだろうな」
「なんでござろう」
「わけがわかんないわ」
「とりあえず屋敷に入りましょうお兄さん」
俺たちはわけがわからないまま屋敷へ入る
するとブルーたちが出迎えてくれた
「ケンタ、どこで油を売っていた!」
「主様、さすがにこれはダメだと思うよ?」
「レッド、アンナ、ガイド精霊としてもっとしっかりしろ!」
三人からも怒られた、本当にわけがわからん
サクラさんとレッドやアンナも叱られてポカンとしていた
ブルーたちに居間へ追いやられる
とりあえずここで待機しろとのこと
「おじさん!」
「やっと帰って来た!」
「トム、ハック、ただいま」
「「ただいまじゃないよ!」」
「うおう!?」
なんか怒られた
二人はちょっと涙目になっていた
ベンケイさんとアオイくんにも文句を言っていた
ベンケイさんとアオイくんが少しその勢いに押されて困惑している
やはり帰って来ないから不安だったそうだ
俺たちは二人に謝り落ち着かせる
まだ怒っているが一応許してくれた
二人がこれだからベッキーも相当不安だっただろう
俺たちは誠心誠意謝ろうと考えた
しばらく待機していたら廊下を走る音が聞こえた
勢いよく扉が開いて居間へその足音の主たちが入ってくる
「ケンタさん!」
「おじさん!」
「ベッキー・・・ とベルさん?」
そうか、今日は仕事の日だったのか
どうりで屋敷にいなかったはずだ
でもなんでベルさんまで来たんだ?
「ただいまベッキー、遅くなってごめんな」
「おじさん・・・ 無事だったんだね・・・」
「ああ、ご覧のとおりピンピンしてるぜ♪」
「うん、良かった、お父さんのようになってなくて・・・」
やっぱり不安だったんだな
「本当にすまない、心配かけちまったな、ごめん」
「うん・・・」
俺にしがみついたまま俯いて泣いていた
数日滞在してフォローしとかないとな
旅の再開はそれからだ
ベッキーが俺から離れる
「おじさん、おじさんたち、、、」
「ん? なんだ?」
「おじさんたちの・・・」
なんか目が据わっていますよベッキーさん?
「嘘つき!」
そう言ってベッキーは再び涙を流しながら居間から走り去った
「ちょ、ベッキー!」
今回は大嫌いとは言われなかったが嘘つきと言われた
たしかに嘘つきだよな、初回から約束破ったし
「ど、どどど、どうしようみんな」
「お、落ち着いてケンたん」
「どうすれば・・・」
「あわわでござる」
「どうしましょう・・・」
俺だけでなくみんなも動揺していた
あのベンケイさんですらオロオロしていた
「とにかくベッキーにもう一度謝ってくる!」
「私も行くぞ!」
「拙者も!」
「わたしもよ!」
「私も行きます!」
俺たちは居間から出てベッキーを追おうとした
しかし居間の扉の前に立ちふさがる者がいた
「どこへ行くお前ら」
「領主様? なんでここに」
なぜか領主様が立っていた
そういや私兵さんの一人が領主様に報告へ行ったな
わざわざ来たのか
「えっと、ただいま帰りました領主様」
「うむ、無事でなにより」
「えっと、すみませんが通してくれませんか?」
「どこへ行くつもりだ?」
「その、ベッキーに謝りに行こうと」
「その心掛けは良いことだ」
「ですから通してください」
「ならんな」
「なんで?」
「今の状態で謝っても火に油だ、少し時間を空けろ」
たしかに少し落ち着いてからの方が良いかも知れない
でもこのままほっとくのもどうかと思う
「そうですよケンタさん」 ガシッ!
「ベルさん?」
ベルさんが俺の肩をがっしり掴む
領主様が居間の扉を閉める
二人がめっちゃ笑顔
でもめっちゃ怒りの波動を感じる
なんか恐い・・・
「冒険者パーティー<永遠の混沌>のみなさん」 ニッコリ
ベルさんの笑っていない目に俺たちは怯む
『そこに正座で並びなさいっ!』
「「「「「はいっ!!」」」」」
俺たちは正座で横並びに座る
「ではこれより貴様らへの断罪を行う」
領主様とベルさんが仁王立ちで俺たちを蔑んだ目で見降ろしていた




