180 アンナとセン
エヴァが熱を出したため依頼をアキラ一人に任せた
依頼をキャンセルするとか言ったからしばいて説教してやったわ
そんなことしたらエヴァが気にしちゃうじゃない
そのぐらい気づけ!
数日後、ようやくエヴァが回復したのでハジメノ街へ向かった
私たちは早くアキラのもとへ行きたかったので少し急いだ
あいつが寂しがっているはずだから急いであげているだけよ!
私は別に寂しくないんだからね!
ハジメノ街に入ってすぐに懐かしい気配を察知する
これ、もしかして、この街にいるの?
私はアキラのことをこの瞬間だけ忘れた
仕方ないのよ、だってやっと見つけたんだもの
アンナかミチかはわからないけど、この街にいる!
「ごめん、ちょっと先に行くね!」
「センちゃん?」
「センさま?」
サリーとエヴァを置いて全速力で気配のする方へ走る
宿屋の前にいる女の子を目視できた、アンナだ!
「アンナ!」
「セン!」
私たちは抱き合って再会を喜び合った
少ししてサリーとエヴァも追いついて来て合流する
アキラがちょっと拗ねていたけどほっとく
姉妹の再会なんだから我慢しなさいよね!
それからアンナのパートナーを教えてもらった
あ兄さんと呼ばれていたけど、おじさんだった
お互いの仲間も紹介しあう
ベンケイとかいう金髪ギャルに襲われた
あいつキライ
そのまま夕食をみんなで囲む
再会できたけどお互い違うパートナーがいる
それぞれで旅するルートは違うのできっと明日にはお別れ
アンナも同じ気持ちのようでため息をついていた
「アンナ、あと数日はここに滞在するからセンと遊んでこいよ」
「お兄さん、いいの?」
「ああ」
このおじさん、なかなか気が利くじゃない
アンナが惚れるのわかったわ
でもそういうのじゃないと二人から否定された
あんたら息ぴったりじゃないの!
ハジメノ街でアンナと再会ができた、嬉しい
アンナも同じように喜んでいた、嬉しい
数日滞在することにしてくれたおかげで一緒に過ごせる時間ができた
アンナのパートナーのおじさん、ナイスよ♪
今日は街をぶらつきながらおしゃべり
今日は食べ歩きながらおしゃべり
そして今日もアンナと一緒、楽しい♪
ただ一つ気になることがあった
「それでね、お兄さんが」
「ちょっといいかなアンナ」
「ん、なに?」
私たちは喫茶店でケーキと紅茶を味わいながらおしゃべりしていた
アンナの話の途中に割って入る、ごめんね気になったから
アンナが私の言葉を待つように紅茶を一口
「本当にあのおじさんとは恋人じゃないの?」
ブフォッ! アンナが勢いよく紅茶を飛ばす、汚いわよアンナ
「ゴホゴホ、そういうのじゃないって言ったよね!?」
「とてもそうは思えないんだけど」
「どこがよ」
「だって、アンナの話のほとんどがおじさんのことばっかりなんだもん」
「え、そんなことは・・・」
いやいや、昨日も一昨日もそして今も必ずおじさんの話題が出てるわよ
「出会いの話なんか毎日一回は言ってるよ
服屋に入っても食事をしてもそれにまつわるおじさんとの話をしてるし
なにかにつけておじさんとの思い出話が必ず出て来てるわよ」
「・・・そんなに話題に出してた?」
「うん」
自覚ないの?
「そういうのじゃないって言ってたことは本当なんだろうね
全然恋人って雰囲気じゃないし、でも好きなんでしょ?」
「そりゃダメな大人だけどパートナーだから嫌いじゃないよ」
「いやライクじゃなくてラブの方で好きなんでしょってこと」
アンナは小さくあーうーと目を泳がせながらブツブツ言い出した
「私たちは三つ子の姉妹のようなものだからわかるわよ
まああのおじさんがどう思っているかはわかんないけどね」
「ああそれは仲間としか思っていないでしょうね」
「うん、それはなんとなくわかる」
「それでどうなの、私たちの間で隠し事はなしよ」
「そうね・・・」
アンナが観念したように小さくため息をつく
「うん、好きだよ、ラブの方で」
「うん、わかってた」
顔を背けて少し照れながら言うアンナ
「まったく、私のように素直になりなさいよね」
「ツンデレのあなたに言われたくないわ」
「アキラにはあれでいーの!」
アキラにはしっかりしてほしいからあえて厳しくしているだけよ
でも二人だけのときは甘えているもん、って今はそれは置いといて
「仲間だけど恋人になれないことはないはずよ
あのおじさんなら可愛い子に告白されたらイチコロじゃない?
アンナ可愛いんだから余裕でいけるわよ」
モテそうにないからきっと二つ返事でOKするはず ※大変失礼
「もしかして他の仲間に遠慮してるの?
サクラさんって美人さんもいるしね
でもおじさんはハーレム願望ありなんでしょ
アンケートにそう答えてたって言ったじゃない
だったら問題ないよね」
「それはそうだけどモテないってことはないよ」
「いやモテないでしょアレは」
「それがそんなことはないのよ」
14歳の男爵令嬢から告白されて猛アタックをされていること
仲間のアオイさんが片想い中だということ
おそらく領主の娘さんからも好意を抱かれていること
ギルドの受付嬢とはなにやら良い雰囲気だということ
などなどアンナがため息交じりに話してくれた
「そんなバカな!」
「セン、少し酷くない?」
「ごめん」
そっかあんなんでもモテるのか、世の中不思議でいっぱいね ※大変失礼
「でもハーレム願望があるんだから問題ないでしょ
他の子に遠慮することないじゃない」
「遠慮じゃなくてね、私には無理なのよ」
「どうして?」
「それはね・・・」
アンナが本心とその想いを閉じ込める理由を話してくれた、一応納得はした
でもそれじゃアンナはずっとその気持ちを抱えたまま生きるの?
そんなの悲し過ぎるよ
「納得したけど、アンナが辛い気持ちのままなのは納得したくない
だからといって私がどうこうもできないのが悔しいよ」
「そう思ってくれるだけで嬉しいよ、ありがとうセン」
悲しそうにしている私を慰めてくれるアンナ
アンナの方が辛いのに私が慰められてどうするのよ私のバカ
「でもセンはアキラさんと恋人なんだよね、いいの?」
「アンナの考えはわかったけど私はそれでもいいの」
「そう、センが幸せなら私はなにも言うことはないわ」
「ありがとう」
私はアキラと他の子たちと共に生きると決めている
アンナの考えを否定はしない、アンナも私の考えを否定しない
私たち姉妹は不器用だ、ガイド精霊なのに自身の行く末をうまく導けない
「セン、もう一つケーキ頼んでいい?」
「いいわよ、一つと言わずもっと頼みましょう♪」
私とアンナは追加でケーキをたくさん注文した
もちろん紅茶もね
「そうだ、私がお兄さんの話ばっかりって言ってたけど
センだってアキラさんの話ばかりだったよ」
「そりゃ好きな人のことだもの話題に出るわよ」
「ごちそうさま」
悲しい気持ちは置いといて私たちはケーキパーティーを楽しんだ




