13 甘やかな距離
「ぁっ……ま、待って……!」
首筋へと滑るヴィリディスの唇に、ティレーリアは慌ててヴィリディスの胸を押し返す。
「あの、まだ聞きたい事が……」
「後じゃ、ダメ?」
ちゅっと首筋を吸われて、ティレーリアの身体がぴくんっと跳ねる。
「後って…………」
いつの後? と瞳を潤ませているティレーリアに、ヴィリディスは柔らかく微笑む。
「ティーアが、僕の奥さんになった後」
それって、と思った時には、ヴィリディスの唇がまた首筋に落ちて、そしてその手はティレーリアの服の上から小さくも大きくもない胸に触れていた。
「ヴィー、お願い。一つだけ教えて」
力の入らない腕で、それでも必死にヴィリディスの胸を押すと、ヴィリディスは不満そうに顔を上げた。
そんなヴィリディスに、ティレーリアはごめんなさい、と唇を寄せる。
「でも、聞いておかないといけない気がするの」
「―――良いよ。何?」
ヴィリディスが諦めたように息をついて、ティレーリアの頬を撫でた。
「盟約って、何?」
ティレーリアの問いに、ヴィリディスは「やっぱりそれ?」と溜息を落とす。
「その説明をするのは、時間がかかるし……出来れば後にしたいんだけど」
ティレーリアの髪を指に巻き付けながら拗ねたように言うヴィリディスに、ティレーリアはお願い、とヴィリディスを見上げる。
ヴィリディスははーっと息をつくとティレーリアの髪から指をほどいて、そしてひょいとティレーリアを抱き上げると、自分の膝の上に座らせた。
「えっ、あの……ヴィー……?」
ヴィリディスの膝の上、対面で座らされて、しかもがっちりと腰に腕が巻き付いているせいで、とても距離が近い。
この状態で話すのだろうかと、ティレーリアがヴィリディスを見れば、にこりと微笑まれる。
どうやらこのまま話すらしいと分かると、ティレーリアは諦めてもぞもぞと少しだけ位置を直す。
ヴィリディスはティレーリアが自分の膝の上に収まるのを待って、そして額に一つ、唇を落とした。
「ティーア、約束して。盟約と……儀式について聞いた後に〝やっぱりやめる〟って言わないって」
「え……やめるって、言いたくなるような内容なの??」
「ティーアは優しいから」
「えぇ……??」
戸惑うティレーリアに曖昧に微笑んで見せると、
「盟約っていうのはね――」
ヴィリディスは、ゆっくりと語り始めた――




