ダイエット野郎
Instagramを見ていると、よく流れてくる動画がある。
「半年で○kg痩せました」
「努力すれば変われます」
「僕に任せてもらえれば、絶対結果につなげます」
そして、そういう動画に出てくる男は、だいたい最後に割れた腹筋を見せている。
私はあれを見ると、非常にムカつく。
なぜムカつくのか。
ちょっと考えてみた。
まず思うのが、
お前が男だからだよ、この野郎。
大雑把に言ってしまえば、男は筋トレでダイエットできる。
男は女より筋肉がつきやすい。
ブロッコリーとゆで卵とチキンを食べ、プロテインを飲んで筋トレする。
筋肉がつく。
筋肉が増えれば代謝も上がる。
代謝が上がれば、脂肪も燃焼しやすくなる。
しかも、筋肉がついて目に見えて体が変わってくれば、
「おお、俺の体、変わってきたぞ」
となる。
そうなれば、筋トレだって続けやすい。
筋肉をつける。
体を大きくする。
腹筋を割る。
男のロマンである。
男のロマンを楽しみながら、ダイエットまでできるのである。
コスパいいじゃねえか、この野郎。
一方、女はどうだ。
男と同じように筋トレしたからといって、男と同じように筋肉がつくわけではない。
筋トレして、筋肉をつけて、代謝を上げて、それから脂肪を落としていきましょう。
そんな悠長なことを言っている場合ではない。
こっちはまず、今ついている余分な脂肪を落とさなければならないのである。
そのためには、食事制限。
食べたいものを我慢する。
食べる量を減らす。
カロリーを考える。
筋肉がついて、
「おお、いい体になってきた!」
なんて楽しみもない。
ただ、
食べたい。
でも食べない。
ひたすら我慢である。
しかも、こちとら53歳である。
若い頃と同じ代謝じゃねえんだよ。
私だって若い頃には、好きなものを食べても、今みたいに太らなかった時期がある。
今よりずっと代謝がよかったのである。
だから若い男が、
「以前の僕はこんな体でした」
と、太っていた頃の写真を見せたあと、
「でも、食事管理と筋トレで、ここまで変われました!」
バーン!
と、割れた腹筋を見せていると、
お前、一番代謝のいい若い時にあんなにデブってたくせに。
痩せた途端、何を偉そうにダイエットについて語ってんだ、この野郎。
と思ってしまうのである。
しかも私は、運動したことがないわけでもない。
以前、ずっとジムに通っていた時期もある。
ところが、私はジムに通っているだけでは痩せなかった。
運動すると、腹が減るのである。
しかも、いつもより飯がうまい。
運動する。
腹が減る。
飯がうまい。
食べる。
しかも、
「今日は運動したから、ちょっとくらい大丈夫だろう」
という謎の免罪符まで手に入れる。
そして、さらに食べる。
結果。
痩せない。
結局、私の場合、運動するだけでは駄目だった。
食べる量そのものを減らさなければならなかったのである。
そして、その食事制限が大変なのだ。
たとえば、一人暮らしの男性なら、自分の食事だけ考えて、
ブロッコリー。
ゆで卵。
チキン。
プロテイン。
そんな生活もしやすいだろう。
でも、家族がいたらそういうわけにもいかない。
家族の食事もある。
自分だけ毎日ブロッコリーとチキンを食べていればいい、という生活ではない。
そして私は、53歳の専業主婦である。
時間がある。
ある程度、お金にも余裕がある。
つまり、誘惑が多い。
ランチだって楽しめる。
買い物へ行けば、おいしそうなものはいくらでも売っている。
家にいれば、食べ物もある。
暇なのである。
「暇ならダイエットなんて簡単でしょう」
と思うかもしれない。
逆だ。
暇だから食うことを考えるんだよ。
時間がある。
食べるものがある。
食べようと思えば食べられる。
その状況で、
食べない。
今日はやめておく。
これ以上は食べない。
それを毎日選び続けなければならないのである。
そんな私のInstagramに、完成した体をバーンと見せつけた男が現れる。
「正しい方法でやれば痩せられます」
「努力すれば体は変わります」
「僕に任せてもらえれば、絶対結果につなげます」
腹筋、バーン。
ムカつく。
せめて、
「男性と女性では体の違いがあります」
とか、
「年齢や生活環境によっても違います」
とか。
そういう話があったうえでなら、まだ分かる。
でも、自分が痩せたという成功体験と、出来上がった体を見せながら、
「僕に任せれば大丈夫です」
みたいな顔をされると、私は思ってしまうのである。
誰にもの言ってんだ、この野郎。
お前とこっちじゃ、ダイエットのコスパが違うんだよ。
こっちは53歳だ。
若い頃より代謝も悪い。
男みたいに筋トレして筋肉をつければ、それで同じように痩せていけるわけでもない。
食べたいものを我慢して、まず脂肪を落とすところから始めなきゃならない。
お前より苦労しなきゃ痩せられないんだよ。
お前より辛い思いをしなきゃ痩せられないんだよ。
それを分かって、その腹筋を見せながら偉そうに語ってんのか。
だから私は、ああいう動画が流れてくると、即スライドするのである。
……と。
ここまで散々、Instagramのダイエット男たちに悪態をついてきた。
我ながら、今日はずいぶん攻撃的である。
皆さんには最後に、これだけお伝えしておきたい。
私は今日、レコーディングダイエット3日目である。
お後がよろしいようではともかく、お口が悪いようでWWW




