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実録・高級化粧品セールス電話

本作は、理美が実際に受けた高級化粧品の電話セールスについて、その内容や経緯、本人が感じた疑問、その後に調べた内容をもとに、AIによって週刊誌の体験ルポ風に文章を構成・整理したものである。

なお、本文中の化粧品会社名は「X社」としている。

実録・高級化粧品セールス電話


――高額化粧品は、なぜ電話で売れるのか



始まりは、一本の電話だった。


ある日突然、自宅の固定電話が鳴った。


電話をかけてきたのは、ある高級化粧品会社だった。ここでは仮に「X社」とする。


X社の名前には覚えがあった。


今から20年以上前、お年頃の誰もが知る有名歌手を起用したテレビCMを見たことがある。美しい映像と音楽が印象的で、当時、「素敵な化粧品だな」と思った記憶が残っていた。


現在も、お年頃の有名女優を広告に起用している。


そんな会社から、突然わが家の固定電話に電話がかかってきたのである。


話を聞くと、X社では化粧品のトライアルを行っているという。


通常なら1,000円かかるものだが、今回は創業30周年を記念して無料で試せるという。


無料なら、試してみてもいい。


私は送ってもらうことにした。


ただし、私が興味を持ったのは化粧品だけではなかった。


私は昔から、セールスを受けるのが嫌いではない。


より正確に言えば、セールストークを聞きながら分析するのが好きなのである。


ただし、買うことはほとんどない。


相手がどのような順番で話を進めるのか。こちらから何を聞き出すのか。どんな言葉で商品の価値を伝え、最後にどうやって購入へ結びつけようとするのか。


それを観察するのが面白い。


もはや趣味の一つと言ってもいい。


最初の電話で私は尋ねた。


「トライアルを使ったあと、またあなたが電話をかけてくるんですか?」


担当者は答えた。


「いいえ。別の者がお電話いたします」


それを聞いて、私は俄然興味を持った。


次はおそらく、商品説明や販売を担当する人なのだろう。


X社の化粧品は高い。


化粧水一本が二万円を超えるような価格帯である。


数日間のトライアルを使っただけで、人の肌がどこまで変わるものなのか。


少なくとも私は、数日使った程度で劇的な変化を感じ、その勢いで何万円もの化粧品を購入するという経験をしたことがない。


それでも、実際にこの販売方法が長年続いている。


私は不思議だった。


「なぜ、こんなに高いのか」


そして、


「なぜ、それが電話一本で売れるのか」


せっかく電話がかかってくるのなら、一度きちんと話を聞いてみようと思った。


商品を試すと同時に、セールスそのものも見てみたい。


私にとっては、ちょっとしたルポになった。



【53歳、肌偏差値は「東大ボーダー」】


ここでもう一つ、この話を読むうえでお伝えしておかなければならないことがある。


私は現在53歳である。


そして、自分で言うのもなんだが、肌の状態はかなりいい。


ソフィーナの肌診断では「35歳」という結果が出た。


エリクシールの肌診断でも、肌状態を示すピラミッドのかなり上の方に位置している。


つまり53歳の肌としては、かなり偏差値が高い。


大学受験にたとえるなら、すでに東大ボーダーにはいると私は勝手に思っている。


もちろん、「肌偏差値」なる指標は存在しない。東大にもソフィーナにも、そのような基準はない。あくまで私のたとえ話である。


そして現在、私が個人的に楽しんでいるのが、


「ドラッグストアで買える化粧品だけで、東大ボーダーから東大主席まで行けるのか」


という実験である。


普段使っているのは、エリクシールやONE BY KOSÉなど、ドラッグストアで購入できる商品が中心だ。


高級化粧品に頼らず、どこまで行けるのか。


それを私は楽しんでいる。


もっとも、肌が東大主席になったところで、私の生活には何の変化もない。


どこかへ嫁に行く予定があるわけでもない。


ただ、どこまで行けるのか試してみたい。


それだけである。


だからX社のトライアルについては、もう一つ妙な心配もあった。


もし、劇的に効いてしまったらどうしよう。


普通なら喜ぶところだろう。


しかし、この化粧品は高い。


今後ずっと気軽に使い続けられる価格ではない。


何も変わらなければ、「私には必要なかった」で済む。


ところが本当に劇的に肌が変わり、その状態を維持したくなってしまったら、それはそれで困る。


効かなければ買う理由がない。


劇的に効いたら、それはそれで怖い。


そんなことを考えながら、私はトライアルを使い始めた。



【二日目にかかってきた電話】


トライアルが届いた時期と大阪旅行が重なったため、実際に使い始めたのは旅行から帰ってからだった。


使用二日目、X社から電話がかかってきた。


まず聞かれたのは、トライアルを使ったかどうかだった。


私は、大阪旅行から帰ってから使い始めたので、まだ二日しか使っていないと答えた。


使用感についても聞かれた。


朝起きたとき、頬が少し硬くなったような感覚があった。


ただし、それが化粧品による「ハリ」なのか、大阪旅行中に塩分を摂りすぎたためなのか、私には分からない。


そのまま伝えた。


すると、話題は大阪旅行へ移った。


何をしてきたのかと聞かれたので、京セラドームで野球を観戦し、翌日は少し良い店で食事をして、その後、劇場へ行ったという話をした。


すると担当者からも、夫が野球好きだという話が出た。


さらに、私と担当者が同じ年齢だということも分かった。


「同じ歳なので親近感が湧きます」


そんな話になった。


そこから普段どのような化粧品を使っているのか、美容についてどのように考えているのかという話へ進んでいった。


私は、攻める美容よりも守る美容を重視していること、外に出ないことが一番の美白ではないかと思っていること、エリクシールやONE BY KOSÉなどを使っていることを話した。


エレガンスの話をすると、担当者も使用しているという。


そこからしばらく、二人でエレガンスの良さについて話した。


気がつけば、電話が始まって30分ほど経っていた。


その間、X社の商品については、最初に使用感を聞かれた程度だった。



【私は最初から「怪しいと思っている」と伝えた】


ようやくX社の商品について本格的な話になった。


そこで私は、以前から抱いていた疑問を率直に話した。


こんなに高い化粧品を販売している会社が、なぜ30年も続いているのか。


私はそれが不思議だった。


電話による販売という方法にも、多少の怪しさを感じていた。


さらに今回提示される商品は、5万5,000円。


それを月々2,500円から支払えるという。


5万5,000円を2,500円ずつ払えば、22回である。


毎日使う化粧品を、使い終わった後まで長期間払い続けることになる。


その仕組みにも疑問がある。


私は、そのことまで担当者本人に話した。


だからこそ、実際にどのような説明をするのか、一度電話を受けてみようと思ったのだ、と。



【「これは普通の化粧品ではない」】


担当者の説明によれば、X社の商品は、単なる高級基礎化粧品として考えるものではないという。


ポイントは「ホエイ」だった。


ホエイ由来の酸を利用し、いわばピーリングのような考え方で肌を整えていく。


一般的なピーリングでは施術を受けたり、場合によってはダウンタイムが生じたりするが、X社の商品なら夜のスキンケアによって同じ方向のケアができる、という趣旨の説明だった。


そして、これを一生使い続けてほしいという話ではないという。


約4か月を「1クール」として考える。


エステへ短期間集中的に通うように、一定期間集中して肌を整える。


年齢を重ねればターンオーバーにも時間がかかるため、その期間を考慮しての4か月だという説明だった。


毎日すべての商品を使わなければならないわけでもなく、自分のペースで使用して構わない。


未開封なら3年間使用できるとも説明された。


なるほど。


「こんな高い化粧品を、この先ずっと使うのか」という私の疑問に対しては、


「ずっと使う必要はない。4か月の集中ケアである」


という答えが用意されていた。



【「絶対」という言葉】


トライアルで肌がピリピリしなかったかとも聞かれた。


私は、肌にはまったく刺激を感じなかったと答えた。


ただし、目に入ったときはしみた。


担当者によれば、トライアルの中では化粧水に酸が多く含まれており、本当に肌に合わない人なら、その段階でピリピリするはずだという。


私にはそれがなかった。


そのため、「非常に合っている」という話になった。


そして、


「絶対トラブルは起きない」


「1クール使って、使用前と何一つ変わらないということは絶対にない」


という趣旨の説明もあった。


担当者自身はもともと肌が弱く、乾燥もひどく、肘などには薬を塗る必要があるほどだったという。


それでもX社の商品を使用でき、効果を感じた。


その経験からも、私なら効果があると思うという話だった。


そこで私は、一つ聞いた。


「高いお金を払って購入して、万が一肌に合わなかった場合、返品はできるんですか?」


この質問に対して、その場で「できる」「できない」という明確な回答はなかった。


話は再び、私なら肌トラブルが起きる可能性は低いだろう、という方向へ戻った。



【化粧水だけ先になくならないのか】


もう一つ、私には気になることがあった。


セットには化粧水が一本しか入っていない。


トライアルを使ってみて分かったのだが、この化粧水は容器からかなり勢いよく出る。


使用量の目安も500円玉大程度だという。


私は決して、化粧水を一滴ずつ慎重に扱うタイプではない。


これでは4か月どころか、化粧水だけ先になくなるのではないか。


そう質問した。


担当者自身は顔が大きい方だが、それでも一本で1か月半から2か月ほど持つという。


その後、手元にパンフレットがあるなら持ってきてほしいと言われた。


私はパンフレットを持って電話口へ戻った。


番号を確認しながら、ローション、エッセンス、クリームは毎日使用してほしいこと、パックは毎日でなくてもよいこと、クレイ系のパックは気になる部分だけ、お風呂のときなどに使用してもよいことなど、一つずつ説明を受けた。


化粧水にはプラセンタやアラントインなどが配合されているという説明もあった。


もし上位ランクの化粧水が先になくなった場合には、もっと安価なラインの化粧水へ変更する方法もあるという。



【「月2,500円なら」】


支払い方法についても詳しい説明があった。


一括でもいい。


月5,000円程度でもいい。


月2,500円程度でもいい。


今回は分割しても金利がかからず、普段は一括で購入する人でも、「それなら今回は5,000円ずつにする」という人がいるという。


さらに、夜のスキンケアをX社の商品に変更すれば、現在使っているエリクシールなどの減りが遅くなる。


その分、手持ちの化粧品が長持ちするという説明もあった。


そして説明の途中で何度か、


「どこがいいと思いましたか」


「どんなところに興味を持ちましたか」


「使ってみたいと思いましたか」


といった質問を受けた。


私は以前、SNSで営業トークについて解説する動画を見たことがある。


相手自身に商品の良いところを言葉にしてもらう。


それに似ているな、と私は思った。


ただ、私にとって問題は月2,500円ではなかった。


銀行口座から自動的に引き落とされるのであれば、2,500円など、下手をすれば気づかない程度の金額である。


問題は、総額5万5,000円を払ってまで、今の私に必要なものなのかということだった。


私はすでに自分の肌にかなり満足している。


仮にX社の商品でさらに美しくなったとしても、どこかへ嫁に行くわけでもない。


肌が東大ボーダーから東大主席になったところで、私の生活は何も変わらないのである。


すると担当者は言った。


「でも、月2,500円で綺麗になれると思ったら、やってみたいと思いません?」


なるほど。


総額5万5,000円ではなく、月2,500円。


4か月の集中ケア。


その間は普段の化粧品も長持ちする。


話を聞いているうちに、一つの商品を見る角度が少しずつ変わっていく。


私はその過程そのものを興味深く聞いていた。



【「限定100セットです」】


かなり話を聞いたところで、私は自分の考えをはっきり伝えた。


「どんなにいい商品だと思って、今ここで心を惹かれたとしても、私はこの電話では決めません。自分でよく考えて、納得してからでないと買いません」


すると、今回の商品は限定100セットだという説明があった。


通常よりかなり安い特別価格で、現在どんどん売れている。


後からフリーダイヤルへ電話しても、そのときにはなくなっている可能性がある。


それについては保証できないという。


私は答えた。


「そのときは、私にはご縁がなかったと思って諦めます。それでいいです」


それでも私は購入しなかった。


これから自分でもいろいろな情報を集め、本当にいい商品なのか、いったん冷静になって考えてみたいと伝えた。


最後に担当者は、


「トライアルだけでもすごくいい商品なので、最後までお使いくださいね」


と言った。


私は長い時間付き合ってもらったこと、いろいろな話を聞かせてもらったことに礼を言い、電話を切った。


通話時間を確認した。


1時間5分。


私は65分間、高級化粧品のセールスを受けていた。



【では、なぜこんなに高いのか】


電話は終わった。


しかし、私の最初の疑問は残っていた。


「なぜ、こんなに高いのか」


そこで私は、X社の商品について調べてみることにした。


まず、電話で説明された成分を調べた。


プラセンタ、アラントイン、ビタミンC誘導体、グリチルリチン酸など。


これらはX社だけが使用している特殊な成分ではなかった。


大手メーカーの化粧品や医薬部外品にも使用されている。


私が普段使っているエリクシールやONE BY KOSÉをはじめ、数千円で購入できる商品にも、さまざまな有効成分や美容成分が使われている。


もちろん、同じ成分名が書かれているからといって、同じ商品ではない。


配合量も違えば、処方も違う。


原料の品質や製造方法も外からは分からない。


それでも、一般的な美容成分だけでは、私にはこの大きな価格差の理由が見えてこなかった。


そこで次に調べたのが、X社が大きな特徴としている「ホエイ」だった。



【ホエイは、それほど特別なのか】


調べてみると、乳酸菌で発酵させたホエイを化粧品に使用すること自体は、X社だけのものではなかった。


たとえばヤクルトにも、乳酸菌発酵由来のホエイを使用した化粧品がある。


さらに調べると、乳酸菌発酵ホエイを化粧品原料として扱う例はほかにも存在した。


一方でX社には、異なる乳酸菌由来の二種類のホエイを組み合わせるなど、独自の商品上の特徴も確認できた。


では、その違いが、この価格差を生み出しているのだろうか。


私はさらに調べた。


しかし、私が確認できる公開情報の範囲では、


X社のホエイが極端に高価な原料であること。


その製造に特別莫大なコストが必要であること。


他社のホエイを使った化粧品と比較して、圧倒的に優れた効果が確認されていること。


そうした、価格差を直接説明できる情報までは見つけることができなかった。


もちろん、見つからなかったから存在しない、という意味ではない。


配合量や詳細な製造工程、原価など、企業が公開していない情報はある。


ただ、少なくとも私が消費者として調べられる範囲では、そこまでだった。



【大手メーカーだって広告には金を使っている】


では、広告費なのだろうか。


X社は昔から有名人を広告に起用している。


しかし、大手化粧品メーカーも同じである。


旬の有名女優を起用し、大規模な広告を展開している。


それでも、ドラッグストアへ行けば数千円で購入できる高機能な化粧品はいくらでもある。


もちろん、大手には大量生産という強みがある。


大量に作れば、一個あたりの製造コストを下げることができる。


対して、少量生産の商品なら単価が高くなることは十分考えられる。


ただし、それはメーカー側の事情である。


消費者である私が知りたいのは、


「なぜ作るのに高いのか」ではない。


「高いお金を払うことで、私は何を余分に得られるのか」


なのである。



【私なりの結論】


調べてみて分かったこともあった。


X社の商品が、中身のない化粧品だという話ではない。


一般的な美容成分も配合されている。


ホエイを中心とした商品設計にも特徴がある。


長年販売され、愛用している人もいる。


しかし一方で、私が調べられる公開情報の範囲では、ドラッグストアで購入できる大手メーカーの商品と比べたとき、その大きな価格差を「成分の違い」だけで納得できるところまでは至らなかった。


そこで私は考えた。


この価格には、商品そのものだけではなく、高級化粧品としてのブランディングが大きく関係しているのではないか。


これは、あくまで私個人の推測である。


私はX社の原価を知らない。


詳細な製造コストも知らない。


商品の価格をどのように決めているのかも知らない。


したがって、「ブランディングによる価格である」と断定することはできない。


ただ、今回私が調べた情報と、自分が実際に受けたセールスを合わせて考えた結果、私はそう感じた。


そして、ブランドに価値を感じる人が、そのためにお金を払うことを否定するつもりもない。


問題は、それが私にとって必要かどうかである。


私は今のところ、ドラッグストアで買える化粧品だけで、肌偏差値「東大ボーダー」まで来ている――と勝手に思っている。


ならば、もう少しこのまま続けてみようではないか。


「ドラッグストアの化粧品だけで、東大主席まで行けるのか」


たとえ主席になったところで、私の生活には何の変化もない。


それでも、その実験の方が私には面白い。


したがって、X社の高級化粧品。


今回は、買わない。

実際に4か月間使ってみて、どれくらい変化があるのか。

そんな実験も、少しはやってみたかったんですけどね。

By 理美

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