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悪役令嬢  作者: きいろマン2号


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9/11

7話 町の仕立て屋さん

二人が2階の窓から天使の如く飛び出す。一瞬の浮遊感、そこから一気に重力がかかり地面に向かって落ちていく。

そして着地した……


「ふん!!」

驚いたことに、カイは綺麗に着地した。

普通の人間であれば、骨折していたかもしれないが運が良かったのか、鍛え上げられた体のおかげか……

それはともかく、なんの怪我もしていなかったのである。


「……」

アナスタシアは絶句していた。この出来事についていけなかったのもあるのだが。

そんなアナスタシアの様子を見て、ふん!とカイは笑う。


アナスタシアを抱えたまま、カイは夜の帳が落ちかけているベリーズビルの町を駆け出した。


カイの足取りは人一人を抱えているとは思えないくらい、軽やかであった。

町の出口を目指し、走る。

話している暇もないが、まだ体力に余裕はある。


いたぞっ! 町人たちの声が上がる。彼らはいずれも鎌や、鍬などの武器を持っていた。

人によっては剣を持つ者もいた。

その度、カイはルートを変え走る。

いつまで経っても、町の出口には辿り着けなかった。


「どうしたらいいんだあ〜?!」

「なんで追いかけてくるのよーっ!」

二人が必死に出口を探していると…… 手招きしている影が見えた。

その影に二人は見覚えがあった。


「ついて行ってみるか……?!」

「なんでもいいわっ!」

二人はその影についていくことにした。一つの建物に二人は入っていく。


町人たちは、急に姿の消えた二人を必死に探し回っていた。

「くそ!どこに行った?!」

一人が悪態をつく。


町人たちは婦人服の店の前を通り過ぎて、大通りへ向かった。

みんなそちらの方へ向かったようで、店の前の通りは人っこ一人いなくなった。

店の中から、アナスタシア、カイが外の様子を覗き見る。


「行ったか…… いやあ 助かったよー サンキューな親父さん」

「何 これくらいのこと」

二人を助けたのは、婦人服の店主であった。

カイは、話をしながら店の中に他の気配がないか、調べたが。

この店の中には、店主、アナスタシア、カイ以外の人物はいなさそうであった。


「ご主人! あの騒ぎは一体どういうことなのかしら?! 私が誰だかわかっての無礼なの?!」

アナスタシは安心したのか、火のついたように怒り出す。

店主はパイプに火をつけて、フーッと息を吐く。


「それなんですよ問題は それなんです」

店主はぶつぶつと言う。


「ど どう言う意味かしら?」

「……」

アナスタシアの動向を、カイは見守る。

そして、店主は語り出した。


「カシウス様が亡くなられたことは すぐ知れ渡りました 城から逃げ帰ってきた者がいたもんでね」

「問題は…… カシウス様は正直言っていい領主ではなかったことです」

「な……」

アナスタシアの顔には困惑の色が浮かんだ。

彼女は、父親は尊敬すべき人であった。どう言う意味なのか理解できなかったのである。


「アナスタシア様 あなたはご存知ないでしょうが…… カシウス様は国境防衛の名目で 食料 お金 若者と どんどん我々市民の生活を圧迫してきたんですよ」

「きっかけはいくらでもありましたが 多くの者は20年前の飢饉のことを忘れちゃいないでしょう」

「あれで大勢死んで…… みんなたいそうな苦労をしました あの時カシウス様はさらに厳しく取り立てを行ったんです」

主人はふふふと笑った。笑ったと言うよりもそれには軽蔑するような、怒りがこもっていた。


「それ以来 みんな心の中が燻ってるんです 今回の件で火がつきましたけどね」

「だがそれは……」

カイが口を挟む。


「アナの親父の所業だろう?」

「…… みんなはそう思っちゃいません」

「一族野党皆殺し それ以外頭にないんです」

「だが こいつは一応領主の娘 領主としての権利が法的に……」

「そこなんですよ アナスタシア様はリアム様と結婚する予定がありました」

「みんな リアム様に期待してるんです……」

フーッと店主が煙を吐く。


「殺してさっさとリアム様とやらに統治の権利を渡したい そう言うことか?」

「そうです」

「あんたも…… そう思ってるのか?」

カイの問いかけに、アナスタシアは店主をじっと見て答えをまった。

彼女の目には明らかに怯えていた。


「いいえ」

店主は即答した。


「誰かを…… 特に子供を殺して喜ぶなんて真似 私は許せんのですよ」

「そう……か だから助けてくれるのか?」

「そう言うことです 町の外まで案内します 裏口から出ましょう」

店主は二人を連れて再び町に出た……


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