6話 一難
「そのリアム様って隣の領地なんだろう?」
「そうよ」
「馬がいればなー 3週間ってところか 徒歩だときついなあ」
「3週間……」
アナスタシアは一刻でも早く、リアムに会いたかった。
馬がいたとしても三週間、ならば徒歩ならその倍はかかることがすぐわかる。
「この町を出て…… クラッグ・ホールで休憩して……」
「クラッグ・ホール! 確か お父様の配下の方がいらっしゃったわ!」
「お じゃあ馬とか借りれないかな……」
二人は今後の計画を立て始めた……
ある程度話し合った頃には、外はだんだん暗さが増している頃であった。
カイはいそいそと準備をし、アナスタシアはその様子をぼーっと眺めている。
「ボケーっと見てないでよ あんたも準備しな」
「準備?」
「ここを出る準備だよ 長居するつもりもないんでな」
「それ先に言いなさいよ!」
「あ 言ってなかったっけ すまん」
二人は1階へ降りていく、しかし、何やら妙であった。
1階には人が集まっていたのである。
ただ、妙なのはみんな手に鎌だの、鍬だのを持っていた。
まるで何かに備えるようである。
その様子を見て、カイはアナスタシアを片手で制す。
「な 何よ」
「なんか…やばいかも?」
その時、一人の町人がアナスタシアたちに気づいた。
「おい! あんたら一緒に来てもらおう!」
町人は鎌を振り翳し、二人に向ける。
アナスタシアは気づかなかったが、カイには何か異常事態が発生したと言うよりも、明確な敵意のようなものをそこに感じ取った。
「なんでかな? 説明してもらえないか?」
カイは町人に尋ねた。それと同時に、町人が大体何人いるかを確認する。
3人…… 5人……
そのくらいはいるようだった。
「うるさい! 黙って従え! 従わないなら痛い目に合わせる」
カイは考えた。彼らは話を聞く気がない様子。入り口は塞がれている。
それならば…
「カ カイ どうするのよ!」
「そうだな…… こうしよう! アナ! ついてこい!」
カイはアナスタシアの手を引いて、先程まで泊まっていた部屋に引き返した。
逃すな!と声が響いた。町人たちもダカダカと足音を立ててそれを追いかけるようだ。
「戻ってどうするの?!」
「説明している時間はない!」
カイは部屋の窓を開けた。
そして、呆気に取られているアナスタシアを抱き抱えた。
いわゆる、お姫様抱っこというやつである。
「あ あなた まさか」
アナスタシアの声に、カイは答えずただニヤリと笑った。
そして、そのまま窓から飛び降りたのである……




