第96話 相変わらず君達二人は仲が良いね
七月下旬から突入していた今年の夏休みも気付けば後一週間ほどで終わりとなる。来年は高校三年生であり夏休みは受験の天王と言われていることを考えると、間違いなく勉強漬けの日々を過ごしているはずなので、今年ほどはゆっくり出来ないだろう。
「……で、何で健二は夏休みの課題が全然終わってないんだよ?」
「いや、もちろんやろうとはしてたんだぞ? ただ、ちょっと先延ばしにしていたというか……」
健二の課題の進捗を確認した後、呆れながら理由を尋ねるとそう返答が返ってきた。今日は元々健二と翔、海斗と遊ぶ約束をしていたわけだが、健二から課題が終わってないから助けて欲しいと泣きつかれたのだ。
そのため、今日の遊ぶ予定は無しにして図書館で健二の課題を手伝いながら夏休み明けにある課題テストの勉強をする日になった。
「いやいや、これはちょっと先延ばしにしたってレベルじゃないだろ」
「ああ、結人や海斗とは違って俺はまだちょっと残ってるから全部は終わってないけど流石にここまで酷くはないぞ」
俺だけではなく海斗と翔も完全に呆れ顔だ。てっきり分からない問題か何かがあって一部終わっていない課題があると思っていたら、半分以上残っていたのだから呆れるなという方が無理だろう。
全部手伝うのは当然無理なため今日は健二が苦戦しそうな英語と数学を手伝うことにした。ただし、俺は課題を丸写しさせるような方法で助けはしない。ひたすら問題を解かせて、分からないところは解説をしている。トイレで席を立つと翔も一緒についてきた。
「結人って見かけによらず結構スパルタだよな」
「だってこのくらいビシバシいかないと健二は真面目にやらないだろ」
健二のようなタイプは甘やかすと手を抜く。そういうタイプにはこんな感じで厳しくいった方が効果的だ。ちなみに涼乃も似たようなタイプだったりする。実際に俺も過去に何度も泣きつかれていたし。まあ、涼乃に関しては夏乃さんが尻を叩いて結局どうにかするんだけど。
ただし、夏乃さんもたまに甘くなることがあったりする。以前も宿題をするのを忘れていた涼乃に朝から泣きつかれて、つい助けてしまったことがあったと言っていたし。トイレを終えた俺が自動販売機コーナーに向かっていると後ろから話しかけられる。
「もしかして結人?」
「えっ、なんでいるんですか!?」
後ろを振り向くとそこには夏乃さんの姿があったが、こんなところいるとは思わなかったため驚いてしまった。すると夏乃さんは怪訝そうな表情になる。
「……そういう反応をされると何かやましいことがあるように感じるんだけど、その辺りについて詳しく教えてもらっても良いかな?」
「と、友達の宿題を手伝ってるだけですって」
「友達って女の子じゃないよね?」
「球技大会の打ち上げとか、プールの時にいたあいつらなのでそんなに詰め寄らないでください」
迫ってくる夏乃さんに対して俺はそう声をあげた。顔に熱を感じるため俺の顔は赤くなっているに違いない。兄貴と涼乃の問題も解決したため数日以内には夏休み前にされた告白の答えを出そうと思っている俺だったが、意識するようになると急に恥ずかしくなってしまったのだ。そんなことを考えていると見覚えのある顔が現れる。
「相変わらず君達二人は仲が良いね」
「あっ、真夜さん。お久しぶりです」
「うん、後輩君も久しぶりだね」
それは夏休み前にあった合コンの時に知り合ったうちの高校のOGである真夜さんだった。
「あっ、なるほど。それで夏乃さんは図書館にいるんですね」
「そうそう、大学って半年で授業が変わるから夏休みの課題は基本的にないんだけど、少人数クラスだけは別でレポートがあるから真夜先輩に手伝って貰ってるんだ」
今日は大学の先輩と会うと言っていたが、それが目的だったらしい。てか、大学生って夏休みの課題が基本的にないのかよ。高校生よりも遥かに夏休みが長くて課題もないって控えめに言っても最高じゃね?
涼乃の宿題を助けた設定はコミカライズ版1巻の番外編の設定を逆輸入しています〜




