謎の光
それから毎日、魔法の特訓が始まった。
風での移動は最初こそ難しかったが、加減や自分のバランス感覚が培われたおかげで今では布団から起き上がるのも、椅子から立ち上がるのだって全て風で行っている。
ザックスは戦況が悪化し、戦でしばらく家には訪れなかった。
単独での特訓が1ヶ月経った頃には、物を持つのも、取るのも風で行う事が出来るようになり、寝転んだままで生活できた。
ザックスが、帰ってきて俺を見るなり絶句していた。
それもそうだろう。今では手足のように風を操る事ができる。俺の才覚に心底驚いているに違いない。
「ヴァルハロ、お前鏡は見てるのか?」
「鏡?鏡はお母様のような女性が身だしなみを整える時に使う物だろ?」
ザックスが、俺を手招きし姿鏡の前に立たせた。すると目の前には......
「......なんだこの醜い豚は。」
「お前だよ。」
____2人の間にしばらく沈黙が流れた。
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風なしで歩くと身体が重く感じだ。
「なんだこれは...!!重力が2倍に感じる!!ザックス、お前重力魔法の使い手か!」
「んなわけあるか。お前の脂肪が増え、筋肉量が落ちてるのが原因だろ。」
ぐぬぬ...。しらばっくれやがって。
これから毎日、風なしで稽古とトレーニングだと?何の為に風魔法を操れるようになったと思ってるんだ!!
「だが、お前の魔力総量は格段に上昇している。そして風を自在に操れる器用さは目を見張るものがある。今ならどんな技も会得できるだろう。」
「じゃあ、今から新技の練習?」
「魔法無しで村一周だ。」
ヴァルハロは風魔法を使い一瞬で逃げた。
結局、捕まったヴァルハロは村を走らされてる。
「ヴァルハロ、お前毎日欠かさず鍛錬してたよな。」
「そうだけど...。」
「何の為だ。」
「母が戦わなくていいように。」
「今のお前はなんだ」
「風の手腕、底なし沼」
「......なんだそれ?」
「一度楽を覚えたら、その楽から抜け出せなくなる例え」
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帰路、家が見えてきたところで突然視界が明るくなった。
光の巨大な柱が聳え立つ。
「なんだあれは!?」
「敵襲!?」
俺とザックスは、初めて見る光景に固唾を飲んだ。
「あれは......!!」
家から出てきた母は、信じられないものを見た顔をして即座に飛び立った。
程なくてし光は収まる。
「ザックス、あれはなんだったの?」
「わからねぇ。でも、【フェルグラディア王国】のある方角だ。」
「フェルグラディアって、人間の国?」
「あぁ、そうだ。何か恐ろしいことの予兆じゃなければ良いが。」
光は禍々しいものではなく、神々しく神の降臨かと思うほどだった。
「悪いものには見えなかったし、心配のしすぎじゃ無いの?」
だと良いんだがな...。ザックスはそれだけ言うと、また明日なと去って行った。
この国、【ゼルラディア】は龍族が収める国だ。
その最北端の辺境である、【クリレス】という村に俺は住んでいる。
この世界は、
人間の国 フェルグラディア
魔族の国 ヴァルセディア
獣族の国 アーゼルディア
龍族の国 ゼルラディア
妖精族の国 アルヴェグディア
で構成される。
昔はそれぞれ、敵対国として戦争していた。
しかし、現魔王 【シャヴィア・シルヴァリル】
が、魔族、獣族、龍族を統治し三大国となった。
フェルグラディアは応じず、真っ向から敵対。
三大国と今も戦争を続けている。
あの光で、何か人間が力を得たのなら大変なことになる。
人間さえ居なければ、母は戦争に行かなくて済む。俺は人間が大嫌いだ。




