第39話「SNS調査」
皆さん、こんにちは!
第39話「SNS調査」です。
ついに見つけました。
二十年前のつながりを知っているかもしれない人物です。
しかし、まさか写真一枚で、あんな反応が返ってくるとは……。
人間関係って、本当に難しいですね。
昔の知り合いの写真を見て、急に固まるなんて、何か心当たりがあるとしか思えません(笑)。
今回も、ゆっくりお楽しみください!
三日後。
「見つけました」
健太が、言った。
夜、アパートで。
「見つけたって、何を」
「当時、あの辺にいた人たちの、グループです。地元の、SNSのコミュニティに、昔の話を、投稿してる人が、いて。その中に、あの辺のコンビニのことを、書いてる人がいた」
「あたしが、働いてたコンビニのこと?」
「そうかもしれないです。読んでみたら、二十年前、あのコンビニには、よく顔を出してた、って書いてあって」
「なんて人が、書いてたの?」
「名前は、本名じゃなかったけど。プロフィールに、地元で、飲食店を、経営してる、って書いてあって」
「飲食店」
「はい。お好み焼き屋、らしいです。地元で、評判の」
「そっか。で、どんな人?」
「写真が、一枚だけ、あって」
健太が、スマホを、見せた。
四十代から、五十代くらいの、男性の写真が、あった。
笑顔で、お好み焼きを、持っている。
「知ってる人?」
玲奈が、写真を、見た。
「……わからん。顔が、あいまいで、二十年前の記憶と、照らし合わせられへん」
「そっか。でも、この人が、あのグループにいた可能性が、高い」
「うん」
「一回、会いに行ってみますか。お好み焼き屋に、普通のお客として、行けば、話も、できるかも」
「そうやな、行ってみようか」
「……ちょっと、待って」
美咲が、言った。
みんなが、美咲を、見た。
美咲の顔が、少し、いつもと、違った。
「どうした?」
「……その写真、もう一回、見せて」
「はい」
美咲が、スマホを、取って、じっと、見た。
しばらく、黙っていた。
「……美咲?」
「……ちょっと、待って」
「どうした?」
「……なんでも、ない」
「なんでも、なくないやろ。顔が、変わってる」
「……大丈夫」
「大丈夫って、さっきと、全然、違う顔してる」
美咲が、スマホを、返した。
「……今日は、これ以上、話せない」
「なんで?」
「……明日、話す。今日は、無理」
「美咲」
「ごめん。今日は、無理」
美咲が、立ち上がった。部屋を、出ていった。
三人が、残った。
「……何やったんやろ」
「わかりません。でも、あの顔は、何か、知ってる顔やった気がする」
「知ってる?」
「あの写真の人を、知ってるんじゃないかな」
「……そっか」
玲奈が、少し、黙った。
「今日は、追いかけへんとこ」
「そうですね。明日、話してくれる、って言ってたから」
「うん。美咲が、言うんやから、明日、ちゃんと、話してくれる」
「……そうですね」
レオスが、頭の中で、言った。
「玲奈」
「ん?」
「美咲、大丈夫かな」
「大丈夫やと思う。でも、何か、ある」
「何があるんやろ」
「わからん。でも、美咲が、ああいう顔するのを、初めて見た」
「ああいう顔って、どんな顔」
「……怖がってる顔やった気がする」
「美咲が、怖がってた?」
「たぶん。いつもは、冷静やから、わかりにくいけど。あの顔は、怖がってた顔やと思う」
「……そっか」
「明日、ちゃんと話を、聞いてあげよ」
「うん」
「あたし、心配やけど、でも、美咲を、信じてるから。明日、ちゃんと話してくれると思うから」
「……そうだね」
健太が、言った。
「玲奈さん、今日は、休みましょう。色々あったから」
「そうやな。ありがとな、健太。見つけてくれて」
「いえ。でも、美咲さんが、ああなるとは、思わなかったです」
「そうやな。でも、何かが、動いてる気がする。前に進んでる気がする」
「……そうですね」
「少しずつやけど、わかってきてる。それで、ええと思う」
夜が、深まっていた。
美咲は、自分の部屋に、いた。
一人で。
スマホを、見ていた。
そこに、あの男の顔が、あった。
知っている顔だった。
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(第40話へ続く)
健太が、報告した後。
「どうしよう」
玲奈が、言った。
「美咲は、明日、話してくれると言ってたから、明日、待ちましょう」
「うん。でも、美咲、何か、知ってたんかな」
「知らなかったと思います。でも、なんか、感じてたのかもしれない」
「美咲が、感じてた、か。あの子、勘が、鋭いからな」
「そうですね」
「なんか、美咲って、一番、現実を、見てる人やと思ってたけど。今日の顔を見て、あの子も、色々、抱えてるんやな、と思った」
「そうですね」
「みんな、色々あるな」
「そうです」
「健太は、どう?」
「俺ですか?」
「うん。最近、どう? 採用試験の勉強もしながら、調査もしながら」
「……大変ですけど、楽しいです」
「楽しいの?」
「はい。なんか、やることが、明確やから。やるべきことが、わかってると、楽なんですよね」
「そっか。それ、ええな」
「玲奈さんに、出会ってから、そういうの、わかってきた気がします」
「あたしに、会ってから?」
「はい。玲奈さんが、やりたいことが、はっきりしてるから。それを、見てたら、俺も、はっきりさせたくなって」
「そっか。あたし、影響あったんや」
「あります。めっちゃ」
「ええやん、それ」
「ええです」
レオスが、言った。
「健太」
「はい」
「採用試験、いつが、本番?」
「来年の、春から、夏にかけて、ですね」
「もうすぐやね」
「そうです。それまでに、もっと、勉強しなきゃ」
「応援してる」
「……ありがとうございます、レオスさん」
「うん。なれるよ、警察官」
「なれますかね」
「なれる。データで見ても、君の、動機が、明確で、行動が、続いてるから」
「データで見てくれてるんですか」
「……観察してたから」
「なんか、照れますね、それは」
「……まあ、いいんだけど」
「その口癖、久しぶりに聞いた気がします」
「……そうかもね。最近、言わなくなってきてた」
「成長ですよ」
「……成長かもしれない」
「した、って、言ってください」
「……した」
「ええやん」
その夜、レオスが、静かに、考えていた。
玲奈は、眠っていた。
調査が、進んでいる。
玲奈の記憶が、戻ってきている。
もうすぐ、自分が、知っていることを、言わなければならない日が、来るかもしれない。
それが、怖かった。
でも、玲奈が、「知りたい」と言っている。
みんなが、動いている。
自分だけが、知っていることを、隠したまま、でいることが、だんだん、難しくなってきていた。
玲奈の、眠った顔を、見た。
穏やかだった。
この顔が、傷ついたら、どうしよう、と思った。
でも、知らないままでいることも、玲奈を、傷つけているかもしれない、と思った。
どちらが、正しいか、まだ、わからなかった。
でも、時間が、なくなってきている、気がした。
翌朝、また、よろずやへの道を、歩いた。
「なあ、レオス」
「ん?」
「今日も、よろずや、行くな」
「行くね」
「なんか、それだけで、ええな」
「それだけで?」
「うん。難しいことが、あっても、よろずや行って、おでん食べて、みんなと話して。それで、ええ。それが、日常やから」
「……そっか」
「あんたも、日常を、続けよな」
「……続ける」
「約束やで」
「……約束」
よろずやの、灯りが、見えてきた。
温かかった。
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玲奈が、扉を、開けた。
「いらっしゃいませ」
店長が、言った。
「おはようございます」
「おはよう。今日も、よろしくな」
「よろしくお願いします」
また、一日が、始まった。
今日も、前に、進んでいた。
少しずつ、でも、確かに。
玲奈は、それでも、信じていた。
美咲が、ちゃんと、話してくれると。
みんなが、一緒にいると。
レオスが、頭の中で、思った。
玲奈が、信じている。
その姿を、見ていると、自分も、何かを、信じたくなった。
何を信じるのか、まだ、わからなかった。
でも、玲奈が、信じているなら、大丈夫だ、と思った。
なぜ、そう思うのかも、わからなかった。
でも、そう思った。
それで、いい、と思った。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます!
今回は美咲の様子が気になりますね。
いつも冷静な人ほど、突然見せる表情に意味があるものです。
そして健太も、警察官になる夢に向かって頑張っています。
調査も人生も、なかなか思いどおりには進みませんが、焦らず一歩ずつですね。
それでは、また次のお話でお会いしましょう!




