↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
41/41

第40話「美咲の秘密」

皆さん、こんにちは!


第40話「美咲の秘密」です。


今回は、ついに美咲が口を開きます。


いやぁ、秘密というものは、抱えている本人が一番しんどいものですね。


しかも今回は親戚関係まで出てきました。

人間関係、どんどん複雑になってきましたね(笑)。


それでは、第40話をお楽しみください!

 翌日。


 美咲が、話し始めた。


 よろずやの、閉店後。五人で、テーブルに、座っていた。


「昨日、ごめん」


「大丈夫やで。話せる?」


「……話す。ちゃんと、話す」


「うん」


 美咲が、少し、息を、吸った。


「あの写真の人。知ってる」


「やっぱり」


「……遠い親戚」


 部屋が、静かになった。


「親戚?」


「うん。あんまり、会ったことないけど。遠い、親戚の、おじさんって感じの人。名前は、浜田、って言う」


「浜田さん」


「うん。浜田、健二。うちの、母親の、遠い、親戚のお兄さん、みたいな人」


「……そっか」


「それで、昨日、あの写真を見た時、ひっくり返りそうになった」


「そうやったんや」


「うちが、最初から、あんまり、積極的に、調査に、賛成しなかった理由が、それ」


「え」


「……うちは、なんとなく、知ってた。あの辺で、何かがあった、ということを。ぼんやりと。子供の頃、なんか、あの辺の山の話を、家でしてはいけない、みたいな雰囲気が、あったから」


「雰囲気が、あった?」


「うん。親が、あの山の話を、するのを、嫌がってた。なぜか、わからなかったけど。だから、調査が始まって、あの山に近づいていくのが、なんか、怖かった」


「……そっか」


「でも、証拠は、なかった。ただの、気のせいかもしれなかった。だから、言えなかった」


「美咲」


「ごめん、玲奈。もっと、早く、言うべきやったかもしれん」


「謝らんでええ」


「でも」


「謝らんでええって。美咲が、隠してたのは、わかってた。でも、言える時に、言ってくれれば、それでええから」


「……ありがとう」


「うん。で、浜田さんという人は、どんな人なの?」


「……地元では、まあ、評判の、お好み焼き屋の、おっちゃん。うちは、子供の頃、何回か、会ったくらいで、ほとんど、知らん。でも、名前と顔は、知ってた」


「そっか」


「……この人が、玲奈を、山に、連れていったのかもしれない」


「かもしれない。でも、まだ、わからん」


「わかってる。でも、可能性は、高い」


「うん」


 健太が、言った。


「美咲さん、この人に、会えますか」


「……会えるかもしれない。でも、正直に、言ったら、逃げる可能性がある」


「そっか。直接は、難しいですね」


「うちが、親戚として、なんか、口実をつけて、会うことは、できると思う。でも、そこから先は、どうするか」


「美咲、無理しなくていいよ」


 玲奈が、言った。


「無理じゃない」


「でも、親戚やろ。難しいよ、それは」


「うちが、やる。うちにしか、できないことやから」


「美咲」


「玲奈が、知りたいなら、うちは、やる。それだけ」


「……ありがとな」


「お礼は——」


「全部終わってから、やろ。わかってる」


「……そう」


 レオスが、言った。


「美咲」


「ん?」


「一つ、確認していいか」


「何」


「君は、昨日から、怖がってた。今も、怖いか」


「……怖い」


「何が怖い?」


「……うちの、親戚が、関わってたかもしれない、ということが。もし、そうやったら、うちの家族は、知ってたのかも、とか。知ってて、黙ってたのかも、とか」


「……そっか」


「でも、知らなければ、ならない。玲奈のために」


「玲奈のため、だけじゃないと思うよ」


「どういう意味?」


「美咲自身のため、でもあると思う。知らないままは、ずっと、怖いから」


 美咲が、少し、黙った。


「……そうかもしれない」


「知ったら、怖くなくなるわけじゃない。でも、知らないより、きっと、ましだ」


「……うん。そう思ってる。だから、やる」


「……ありがとう、美咲」


「レオスに、言われると、変な感じがする」


「なんで」


「なんか、あんたが、感謝を、言うと、びっくりするから」


「……言えるように、なってきたから」


「成長したな」


「……した」


「かも、がない」


「……した」


「ええやん、それ」


 玲奈が、美咲の横に、座った。


「美咲、ほんまに、ありがとな」


「玲奈、お礼はまだ——」


「全部終わってからは、わかってる。でも、これは、別の、ありがとうやから」


「別の、ありがとう?」


「うん。一緒にいてくれてることへの、ありがとう。それは、今、言わせて」


 美咲が、少し、黙った。


「……うん」


「ええ返事やな」


「……うん、しか、言えへん」


「十分やで」


 よろずやの、夜。


 店長が、静かに、コーヒーを、持ってきた。


「まあ、飲んで」


「ありがとうございます」


「大変やな、みんな」


「大変です」


「でも、みんなで、大変やから、ええな」


「そうですね」


「一人で、大変やったら、しんどいけど。みんなで、大変やったら、なんとか、なるもんやから」


 玲奈が、コーヒーを、飲んだ。


 苦かった。


 でも、温かかった。


---


(第41話へ続く)

 翌日の朝。


「なあ、美咲」


「ん?」


「昨日、言えてよかったな」


「……そう?」


「そうやで。ずっと、抱えてたやろ。それが、言えたから」


「……そうやな。言えて、よかったと思う」


「ええやん、それ」


「玲奈」


「ん?」


「うち、これで、もし、親戚が関わってたとしたら。うちの家族が、知ってたとしたら。どうなるんやろ、って、怖くて」


「怖いよな」


「怖い。でも」


「でも?」


「真実の方が、大事やと思ってる。玲奈が、知るべきことを、知るための方が、大事やと思ってる」


「美咲、ありがとな」


「お礼は——」


「全部終わってから、やろ。わかってる。でも、これは、それとは別や」


「……別、なの?」


「うん。友達として、ありがとって、言いたいから」


「……友達」


「うん。あたし、美咲のこと、友達やと思ってるから」


「……うちも、思ってる」


「言えた」


「……うん、言えた」


「ええやん」


「……うん」


 健太が、コーヒーを、持ってきた。


「はい、美咲さん」


「ありがとう」


「昨日、大変やったから」


「……大変やったけど、言えて、よかったと思う」


「よかったです。美咲さんが、言ってくれたから、前に、進める気がするから」


「……そっか」


「うん。美咲さんが、いてくれて、よかったです、ほんまに」


「……健太、たまに、ちゃんとしたこと、言うな」


「たまに、って、つけますよね、みんな」


「たまにやから、たまに、って言う」


「……まあ、いいです」


「あははは。ありがとな、健太」


「いえ。じゃあ、次の作戦、考えましょう」


「うん」


 前に、進んでいた。


 少しずつ、でも、確かに。



 その夜、レオスが、静かに、考えていた。


 玲奈は、眠っていた。


 調査が、進んでいる。


 玲奈の記憶が、戻ってきている。


 もうすぐ、自分が、知っていることを、言わなければならない日が、来るかもしれない。


 それが、怖かった。


 でも、玲奈が、「知りたい」と言っている。


 みんなが、動いている。


 自分だけが、知っていることを、隠したまま、でいることが、だんだん、難しくなってきていた。


 玲奈の、眠った顔を、見た。


 穏やかだった。


 この顔が、傷ついたら、どうしよう、と思った。


 でも、知らないままでいることも、玲奈を、傷つけているかもしれない、と思った。


 どちらが、正しいか、まだ、わからなかった。


 でも、時間が、なくなってきている、気がした。



 翌朝、また、よろずやへの道を、歩いた。


「なあ、レオス」


「ん?」


「今日も、よろずや、行くな」


「行くね」


「なんか、それだけで、ええな」


「それだけで?」


「うん。難しいことが、あっても、よろずや行って、おでん食べて、みんなと話して。それで、ええ。それが、日常やから」


「……そっか」


「あんたも、日常を、続けよな」


「……続ける」


「約束やで」


「……約束」


 よろずやの、灯りが、見えてきた。


 温かかった。


---


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございます!


美咲にも、ずっと抱えていた事情がありました。


真実を知ることは怖い。

でも、知らないままでいることも怖い。


なかなか難しいものです。


それにしても、よろずやの店長。

こういう時にコーヒーを出してくれるのは、ありがたいですね。


人生、温かいコーヒーくらい必要です(笑)。


引き続き、よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。