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神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


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第99話 揺り籠のプロテクトと、絶対不可侵の暗号化 ~天才たちのブラックボックス~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


 白金の大扉の奥、星海が広がるマスター・コアの室。


 俺は、培養槽から抱き上げた銀糸の髪を持つ美しい女性を、アミィが手際よく魔法で展開したフカフカの簡易ベッドへとそっと横たえた。


 大地の女神を思わせるような、豊満で気品に満ちたその姿。彼女の豊かな胸は穏やかに上下しており、規則正しい命の鼓動が、星海のプラネタリウムに静かに響いている。


「ご主人様、彼女の体温は安定しておりますわ。ただ、長年の眠りから精神の覚醒が追いついていない様子……完全に意識を取り戻すには、もう少し時間がかかりそうですわね」


 アミィが彼女の額を優しく拭いながら微笑む。

 だが、そのすぐ横で、凄まじい勢いで食い入るように彼女を観察し、ブツブツと呟いている者がいた。ボサボサの緑髪に分厚い眼鏡をかけたエルフの賢者、プリムローズだ。


「……信じられない。細胞の劣化率ゼロ。魔力循環のロスもゼロだ。これが神代の『生命錬金術ソウル・アルケミー』の完全体……。私たちエルフが数千年かけて追い求めた『調和』すらも凌駕する、絶対的な生命の完成形だぞ……!」


 プリムローズは興奮で肩を震わせ、手元の記録用スレートに猛烈な速度でデータを書き込んでいる。エルフの里での世界樹の治療を通じて同行することになった彼女にとって、この原初のホムンクルスはまさに、喉から手が出るほど欲しかった「究極の検体(知識)」だった。


「プリムローズ、あんたの知的好奇心は理解するが、今は彼女のバイタル管理を優先してくれ。……俺は、彼女が目覚めるまでの間に、この部屋の防衛機能を再構築しておく」


 俺が白衣の袖を捲り上げて部屋の中央のコンソールへ向かおうとすると、入り口で直立不動の姿勢をとっていた深紅の巨体が、ズシンと一歩前に出た。


「オオ! 我ガ主ヨ! このゴルド・改、周囲ノ警戒ハ万全デス! アリ一匹、この聖域ニハ入レマセン!」

「頼もしいぜ、ゴルド。だが、警戒だけじゃなく力仕事も頼む。俺のアイテムボックスから、さっき第四層の一万の軍勢から回収した『ミスリルインゴットの山』と、第三層のボスから剥ぎ取った『魔塩結晶の残欠』を、このコンソールの前に全部積んでくれ」

「御意!!」


 ゴルドが強靭なアームで、何トンもある国宝級の素材の山をドサドサとコンソールの前へ運び上げる。

 俺はその山に手をかざし、サフィにシステムトポロジーのホログラムを展開させた。


「マスター。……先ほど、マスターの魔導針によって防衛プロトコルを強制上書き(オーバーライド)し、暫定の管理者権限を取得することには成功しました。システムは現在、マスターを新管理者として受け入れ、休眠状態にあります。ですが……」


 サフィはホログラムの一部、あの『黒い歯車』と『白銀の魔導針』が刺さったままの大扉の中央機構を指差した。


「論理的な脆弱性が存在します。今後この場所に、マスターと同等以上の魔力と知識を持った者が現れ、同じように物理ポート(鍵穴)からアクセスを試みた場合、この暫定権限は再び『上書き』される危険性があります。……いわゆる、バックドアが開いた状態です」

「だろうな。どんなに強固なファイアウォールを築いても、物理的な差し込み口がそのままじゃハッキングされ放題だ」


 俺が答えると、プリムローズがスレートから顔を上げた。


「なら、お前の錬金術でその鍵穴の隙間を溶接して埋めればいいだろう。簡単なことだ」

「甘いな、エルフの賢者様。そんな小手先のバンドエイド(応急処置)じゃ、腕の立つ錬金術師なら外側から熱を加えて再び溶かし開けちまう」


 俺は不敵に笑い、ゴルドが積み上げたミスリルの山を叩いた。


「俺がわざわざこんなに大量のミスリルを出した理由を教えてやる。……俺は鍵穴を塞ぐんじゃない。このコンソールと扉の駆動部全体を、純度100%の極厚ミスリル装甲で『丸呑み』にして、二度と誰も触れられない完全な『ブラックボックス』に作り変えるんだよ」


 俺の言葉に、サフィの目が青く輝き、プリムローズが息を呑んだ。


「行くぞ。サフィ、回路の再マッピングをサポートしろ」

「了解。物理層の完全閉鎖シーケンスに移行します」


 俺は錬金釜を介さず、直接ミスリルの山とコンソールへと両手を叩きつけた。


 じわじわと流れ込む俺の莫大な魔力が、ミスリルインゴットを融解させ、スライムのようにコンソール全体を包み込んでいく。白金と黒曜石の合金回路が、ミスリルと分子レベルで融合し、歯車の噛み合わせや配線そのものが、外からは一切構造が分からない「ただの滑らかな一つの巨大な金属の塊」へと変貌を遂げた。


「物理ポートの閉鎖、完了。……ここからはソフト側の認証システムを『多要素マルチファクター』に書き換える」


 俺は完全に金属の塊と化したコンソールの内部(魔石のプログラム)へ、魔力を浸透させて一から暗号化コードを組み込んでいく。


 第一認証は俺の固有魔力波長。第二認証は俺の精神波長(生体サイン)。さらに第三認証として、この要塞の周囲を流れる地磁気と魔力の微弱な乱数変化をリアルタイムの暗号鍵として生成し続けるシステムだ。


「……信じられない論理構築です。魔力、精神、環境の三重複合暗号……。これでは、仮に神代の錬金術師が全盛期の技術で挑んできたとしても、解析を完了する前にシステムが概念ロックをかけます」


 サフィが驚愕の声を漏らす中、横からプリムローズが眼鏡を光らせて口を挟んできた。


「クロウ、それだけでは足りないぞ。魔力や環境データは『偽造』されるリスクがゼロではない。……私の『調和』の術式を組み込め。この森の生態系全体とリンクする生体ロックだ。森の木々が『お前を敵ではない』と判断しない限り、システム自体が起動しないようにしてやる」

「……最高だぜ、プリムローズ。ソフトウェアの暗号化に、自然界の生体認証の掛け合わせか。そのアイデア、もらうぞ」


 俺は彼女の提案を即座に採用し、術式を編み込んだ。

 さらに総仕上げだ。


「ダイヤ、あの魔塩結晶を細かく砕いてくれ」

「承知いたしましたわ。……『紫刃・細氷の舞』」


 ダイヤの精密な魔法で粉末状になった魔塩結晶を、俺は錬金術で液状化させ、先ほど作ったミスリルの巨大な金属塊の表面にコーティングしていく。


 これによって、外部から不正な魔力スキャンが飛んできた瞬間、そのアクセスを『吸湿・溶解』して、要塞の防御エネルギーへと自動変換させる仕組みが完成した。


 俺とプリムローズ、そしてサフィの知識が融合した最後の一押しと共に、コンソール全体を覆うミスリルの塊が、深く静かな青紫色の光を放ち……完全に周囲の空間(星海の壁面)へと溶け込むようにカモフラージュされ、気配を消した。


 もはやここは、ただ歩いているだけではコンソールの位置すら視認できない。資格なき者を徹底的に拒絶し、ハッキングすら不可能な、最強にして不可侵の隠しラボの完成だ。


「お兄ちゃん、なんか機械がすっごく静かになったね! 悪いことしようとする奴、みんなツノ丸の顎で挟まなくても大丈夫?」


 ルビィが巨大なクワガタを小脇に抱えながら、不思議そうに見上げる。


「ああ、もう誰もここには触れさせないさ。……ふぅ、これだけのシステム構築は、さすがに骨が折れたぜ」


 俺が額の汗を拭い、白衣の襟を整えた、その時だった。


「……んっ……、……あ……」


 背後の簡易ベッドから、小さく、しかし鈴を転がすような美しい吐息が漏れた。

 全員の視線が一斉にベッドへと向く。


 銀糸の髪を揺らしながら、彼女の長い睫毛がゆっくりと震え、そして開かれた。

 現れたのは、星海の奥深くをそのまま映し出したかのような、深く、神秘的な群青色の瞳。


 大人の女性の姿をした原初のホムンクルスは、ぼんやりとした様子で周囲を見回し、やがて目の前に立つ俺の姿をその瞳に捉えると、大地の母を思わせるような、とろけるほどに優しく、深い笑みを浮かべたのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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それでは、次回もどうぞお楽しみに!

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