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神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


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第86話 三連星の導きと、幻影の彼方 ~要塞への真の扉~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


 白岩のオアシスを深夜に出発し、俺たちは星明かりだけを頼りに、大砂漠のさらに奥深く……生命の気配が一切存在しない「死の領域」へとビークルを走らせていた。


「……マスター。西の地平線、三つの赤い星が間もなく砂丘に沈みます。座標、および周辺の魔力場に著しい変動を確認」


 助手席のサフィが、コンソールの計器と夜空を交互に確認しながら告げる。

 俺は無言で頷き、ビークルの速度を落とした。


 風の音すらない、完全な静寂。だが、大気中には肌がピリピリと粟立つような、尋常ではない濃密な魔力が満ち始めているのがわかった。


「お兄ちゃん、見て! あそこ!」


 後部座席で窓に張り付いていたルビィが、興奮した声を上げた。

 何もないはずの前方の砂丘。その地平線の彼方に、突如として『光』が生まれたのだ。


 最初は小さな揺らめきだった光は、瞬く間に巨大化し、やがて夜の砂漠に不釣り合いなほど豪奢で美しい『黄金の城と、水を湛えた巨大なオアシス』の姿を形作った。


「まぁ……! なんて美しい景色ですの!」

「あれが、砂漠のダンジョン……?」


 ダイヤとアミィが息を呑む。

 空に浮かぶ三つの赤い星の光を浴びて輝くその城は、あまりにも幻想的で、過酷な旅を続けてきた旅人なら、這ってでもそこへ辿り着きたいと思わせる圧倒的な魅力を放っていた。


「……マスター。……あのお城、変ですぅ……」

「……お歌が、反射しませんぅ……」


 だが、ソナー能力を持つ双子のパールとコーラルが、不気味なものを見るように身を寄せ合った。

 俺はビークルを完全に停車させ、深く息を吐いた。


「ああ、双子の言う通りだ。あんなにデカく見えるのに、音も物理的な反響もない。……婆さんの言っていた通り、あれはダンジョンの防衛機構が作り出した『蜃気楼(光の罠)』だ」


 もしあの黄金の城を目指して進めば、永遠にたどり着くことはなく、やがて燃料も水も尽きて砂漠の藻屑となる。あの星詠みの老婆の助言がなければ、俺たちも間違いなくあの光に惑わされていたはずだ。


「さあ、見破ってやろうぜ。この熱砂の幻影をな」


 俺はアイテムボックスから、白岩のオアシスでの待機期間中にサフィと共同で作り上げた『特製ゴーグル』を取り出した。

 レンズの素材は、市場で偶然……いや、必然的に手に入れていた『熱砂の雷結晶フルグライト』だ。


 ゴーグルを目元に装着する。

 瞬間、視界がクリアな青色に染まった。

 雷結晶の吸熱・吸魔力効果が、空間に満ちていた超高熱の魔力波(蜃気楼の正体)を次々と中和し、光の屈折を正常な状態へと引き戻していく。


「……ビンゴだ」


 俺の口から、自然と笑みがこぼれた。


 雷結晶のレンズ越しに見る世界。そこには、先ほどまで見えていた豪奢な黄金の城など、どこにも存在しなかった。

 代わりに、黄金の城が見えていた方角から『約三十度右』にズレた砂丘の谷間に、それは口を開けていた。


 周囲の砂を黒く染め上げるほどのおびただしい魔力。

 ピラミッドでも、神殿でもない。

 それは、幾何学的な直線を組み合わせた『巨大な黒曜石と鋼鉄の要塞』だった。半分以上が砂に埋もれているが、地表に露出している部分だけでも、ひとつの山ほどの質量がある。


 その要塞の正面に、内部から不気味な赤光を漏らす『真の入りゲート』が、ぽっかりと開いていた。


「ルビィ、アミィ。あっちの黄金の城じゃない。そこから右に少しズレた、あの黒い岩山の麓だ。あれが本物のダンジョンだ」

「えっ!? あっちには、ただの暗い砂丘しか見えませんわよ?」

「このゴーグルを通さないと、完全に砂丘の景色にカモフラージュされてるんだよ」


 俺はビークルを発進させ、幻影の城には目もくれず、雷結晶のレンズが捉えた『黒い要塞』へ向けて一直線にアクセルを踏み込んだ。


 近づくにつれ、幻影を維持している結界の内側へと侵入したのか、肉眼でも少しずつその黒い要塞の姿が視認できるようになってきた。


 ゴゴゴゴゴ……という、地下深くで巨大な歯車が回っているような、重低音の地鳴りがビークルの車体を揺らす。


「……マスター。対象の建造物から、極めて高度な魔法陣のパターンおよび、機械的な駆動音を検知。マキアヴェス殿の言葉通り、これは自然の洞窟や単なる遺跡ではなく……『稼働中の自律型防衛施設』です」

「ああ。ヒリヒリするような殺気を感じるぜ」


 要塞の入り口の前、巨大な黒い石畳の広場にビークルを停める。


 俺たちが車から降り立つと、真上から見下ろすようにそびえ立つ入り口のゲートは、まるで獲物を飲み込もうとする巨大な魔物のあぎとのようだった。


「ひぃっ……。なんだか、とっても怖いですわ……」

「お兄ちゃん、ここ、すごく嫌な感じがする……」


 ルビィが俺の白衣の裾をギュッと握りしめる。

 無理もない。今まで出会ってきた魔物とは次元が違う。空間そのものが「よそ者を排除する」という明確な意志プログラムを持っているのだ。


 おまけに俺のアイテムボックスの中には、このシステムが血眼になって探している『黒い歯車(マスター・コアの欠損部品)』が入っている。見つかれば即座に抹殺対象だ。


「……気を引き締めろよ、お前ら。ここからは、今までのような砂漠のサバイバルじゃない。悪意と殺意で満ちた、完全な『敵地』だ」


 俺は深く息を吸い込み、幻影蜘蛛の純白の外套を翻した。


「いくぞ」


 三つの赤い星が、完全に地平線の彼方へと姿を消した。

 それを合図とするかのように、背後の蜃気楼の光がフッと消え去り、俺たちは完全な闇と、要塞から漏れる不気味な赤光の世界に取り残された。


 錬金術師クロウと仲間たちは、大砂漠の旅の最終目的地である『要塞ダンジョン』の冷たい黒石の床へと、ついにその第一歩を踏み出した。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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それでは、次回もどうぞお楽しみに!

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