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神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


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第78話 熱砂の巨大バザールと、旅人の流儀 ~足るを知る買い付け~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


 ナイラたち狩猟団に同行し、過酷な砂漠のルールを叩き込まれながら進むこと数日。

 巨大な砂丘を一つ越えた瞬間、眼下に広がる景色を見て、俺たちは言葉を失った。


「……嘘だろ。これが、オアシス……?」


 すり鉢状になった広大な盆地の底に、まるで海と見紛うほど巨大な『青い湖』が横たわっていた。


 その湖を囲むように、日干しレンガで作られた無数の建物が立ち並び、風を取り込むための高い塔(風採り塔)が林立している。建物の隙間を縫うように、色鮮やかな巨大な天幕テントがひしめき合い、見渡す限りの「街」を形成していた。


「見な、クロウ。あれがこの界隈で最大の交差点……『大拠点バザル・オアシス』だ」


 ナイラが砂上ソリの帆を操りながら、誇らしげに笑う。


「す、すごいですわ……! 先日の移動オアシスとは比べ物にならない規模です!」

「お兄ちゃん! 湖にお船が浮いてるよ! お屋台もいっぱい!」


 アミィとルビィが身を乗り出して歓声を上げる。

 俺たちはビークルを盆地へと続く緩やかなスロープへと走らせた。


 街に近づくにつれ、砂漠の静寂を切り裂くような圧倒的な喧騒と、鼻をくすぐる強烈な匂いが押し寄せてきた。ラクダのいななきと、商人たちの野太い呼び声。ここには、砂漠中のすべての富と物資が集まっているのだ。


「よし、野郎ども! まずは肉の換金だ! 行くぞ!」


 市場の入り口で、ナイラたちは手際よく砂竜の肉を売り捌きに向かった。俺たちは彼女たちと一旦別れ、自由行動でこの巨大なバザールに足を踏み入れることにした。


「さあ、お前ら。迷子にならないようにはぐれるなよ」


 歩き出す前、俺は仲間たちを集めて低い声で釘を刺した。


「ここは巨大な市場だが、同時にいろんな目がある。金貨をじゃらじゃら鳴らして『金持ちのよそ者』をアピールすれば、悪党やボッタクリのいいカモだ。……買うのは『ダンジョン攻略に必要な分だけ』。絶対に欲をかくなよ」

「はいっ。慎重な旅人、ですわね」


 アミィが真剣な顔で頷き、ルビィもコクリと頷いた。


「……マスター。……あっちから、冷たい石の魔力がしますぅ……」


 人混みの中、双子のコーラルが俺の白衣の裾を引いて指差したのは、薄暗い天幕の下に店を構える鉱石商の屋台だった。


 木箱の中に無造作に転がっているのは、ガラスの管が雷のような形にねじ曲がった、奇妙な半透明の石だ。


「おっ、お目が高い! そいつは『熱砂の雷結晶フルグライト』だ。熱を遮断して、冷気を溜め込む性質がある。どうだい? その一欠片、金貨3枚で……」

「金貨3枚? 冗談キツイぜ、親父さん」


 俺は苦笑いして、その石を一つ手に取った。


「確かに熱砂の雷結晶だが、こいつは不純物が多くて魔力伝導率が落ちてる。ビークルの断熱材として砕いて使うにしても、精製の手間がかかるんだ。……銀貨5枚。それでこの『二欠片だけ』譲ってくれないか。ダンジョンまでの往復の熱を凌ぐ分だけでいいんだ」

「……ちっ。不純物を見抜くとは、同業者(錬金術師)かい。まあいい、銀貨5枚で手を打とう」


 俺は適正価格で必要最低限の雷結晶だけを買い、アイテムボックスに仕舞った。


「ご主人様! こちらの織物を見てくださいませ。触れるだけで氷のように冷たいですわ」


 隣の織物屋では、ダイヤとアミィが純白の布を広げていた。


「ほう。……これは『幻影蜘蛛ミラージュ・スパイダー』の絹糸か。日差しを反射するには最高だな」

「ええ! これで皆様の新しい外套を仕立て直せば……!」

「ああ。だが、買うのは『俺たち全員の外套を作るのに必要な長さだけ』だ。予備まで買って荷物を増やす必要はない」


 俺は店主と交渉し、先日余らせていた『深海エビの干物』を少しだけ上乗せして、適正な量の絹布だけを切り売りしてもらった。


 さらに市場の奥へ進むと、今度は強烈な香辛料のエリアに出た。

 山のように積まれた赤や黄色のスパイスの中に、ドス黒い赤色をしたゴツゴツとした樹皮のようなものが売られていた。


「おい親父。この『竜血樹の樹脂ドラゴンズ・ブラッド』、魔力回復の香として少しだけ分けてほしいんだが」

「へへっ、お客さん。こいつは砂漠の最奥でしか採れない最高級品だ。だが、焚けば毒虫も寄ってきちまうのが玉に瑕でね」

「なら、この香と少しだけ物々交換はどうだ? 強力な毒虫避けの結界香だ。あんたの商売の役にも立つはずだぞ」


 俺が先日作った『特製・虫除けのお香』を一本だけ渡すと、商人はその効果に驚き、樹脂を小さな袋に一つ分だけ詰めて快く交換してくれた。


「よし。これで過酷なダンジョンに挑むための『断熱材』『外套』『回復の香』が揃ったな」

「……マスター。お買い物、上手ですぅ……」

「お兄ちゃん! ボク、あのサボテンのお菓子が食べたい!」

「よしよし、必要なものは揃ったから、少しだけ屋台で美味いものを食べよう。……っと、あそこは何の店だ?」


 俺の視線が止まったのは、バザールの最奥にある、古びた武具やガラクタを並べた薄暗い骨董屋だった。

 そこには、俺たちがこれから向かう目的地――『砂漠のダンジョン』から持ち帰られたと思われる、奇妙な文字が刻まれた石板や、錆びついた古代の魔導具の残骸が積まれていた。


「……匂うな。だが、ガラクタの山だ。慎重に見極めないとな」


 活気あふれる大オアシス市場。

 力や金に溺れることなく、過酷な砂漠で学んだ「足るを知る」精神と慎重さを胸に。俺たちは次なる大冒険の準備を整え、薄暗い骨董屋へと静かに足を踏み入れるのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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それでは、次回もどうぞお楽しみに!

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