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神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


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第67話 移動する緑の楽園と、知的好奇心の爆発 ~潜行生活の謎を解き明かせ~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


 数日間の砂漠のゲリラ戦の果てに、猛烈な地響きと共に砂丘が割れ、地中から「それ」は姿を現した。

 砂煙が晴れた後に俺たちの目の前に広がっていたのは、怪物の姿でも、巨大な乗り物でもなかった。


 青々としたヤシの木が風に揺れ、中央には透き通ったコンコンと湧き出る泉があり、その周囲をフカフカの苔や草花が覆っている。


 どこからどう見ても、砂漠の絵本に出てくるような「完璧で、ごく普通の美しいオアシス」そのものだった。


「わぁーっ! お水だー! 木がいっぱい生えてるー!」

「信じられませんわ。つい先ほどまで地中深くに潜っていたのに、砂一つ被っていませんもの」


 ルビィとアミィが歓声を上げる。

 俺たちはビークルをゆっくりと走らせ、砂丘とシームレスに繋がっているその緑の楽園へと乗り入れた。


「……みんな、聞け。ここからは『普通の旅人』として振る舞うぞ」


 ビークルを降りる直前、俺は仲間たちに低い声で釘を刺した。


「アイスボックスは絶対に出すな。砂漠のど真ん中で氷や大量の生魚なんて見せびらかしたら、いらぬ強欲や厄介事を引き寄せるだけだからな。俺たちの常識は、外では『暴力的なまでの富』になり得るんだ」

「……たしかに。平和そうな場所とはいえ、警戒に越したことはありませんわね」


 アミィが真剣な顔で頷き、ルビィも「お口チャックする!」と両手で口を覆った。


「……マスター。……お水、冷たくて気持ちよさそうですぅ……」


 車を降りると、双子のパールとコーラルがフラフラと泉の方へ引き寄せられていく。

 その時、泉の奥にある日よけのテント群から、数人の人影が穏やかな足取りで近づいてきた。


「やあ、旅のお方。ようこそ『砂渡りのオアシス』へ」


 現れたのは、ゆったりとした砂色の布を纏った、人の良さそうな村人たちだった。

 武器などは持っておらず、先頭に立つ初老の村長らしき男が、歓迎の笑顔で手を差し出してきた。


「浮上してすぐに外の旅人が来るとは、珍しいこともあるものだ。よくこの場所が分かりましたな?」

「俺はクロウ。通りすがりの錬金術師だ。実は、商隊からオアシスの場所を聞いて来たんだが……着いた時には砂嵐で消えていてね。あんたたちが地下を移動するかすかな水音を追って、ここまで来たのさ」


 俺がそう言うと、村長は目を丸くして、やがて愉快そうに笑い声を上げた。


「ワッハッハ! 地下を移動する音を追ってきたと!? そりゃあ驚いた! いつもなら、我々が浮上して数日経ってから、それを目印に商隊がやってくるのですがな」


 村の女性たちが、木彫りのカップに冷たい湧き水を汲んで渡してくれる。

 一口飲むと、砂漠のミネラルをたっぷりと含んだ、驚くほど甘くて澄んだ味がした。


「美味い……! 最高の水だ。ありがとう」

「……このオアシスの資源は、あんたたちのものだ。水と休ませてもらう場所の『対価』として、これを受け取ってくれ」


 俺はアイテムボックスから、途中の泥の港町で買い込んでおいた『天日干しの海塩』と、日持ちのする『干し肉』を常識的な量だけ取り出して渡した。


 魔法の氷や生魚に比べれば地味だが、海から遠く離れた砂漠の民にとって、良質な海塩は非常に価値が高く、かつ「不自然ではない」最高の交易品だ。


「おおっ! これは見事な海の塩! ありがたく頂戴しよう」


 村長は喜んでそれを受け入れ、俺たちを泉のほとりの休憩所へと案内してくれた。


 ◇


 ルビィたちが、村の子供たちに干し肉を分けて交流している間、俺は村長にずっと気になっていた疑問をぶつけた。


「村長さん。ぜひ教えてくれ。あんたたち、このオアシスごと地中に潜っている間、一体どうやって生活しているんだ? それに、どうしてわざわざ潜る必要があるんだ?」

「我々が砂に押し潰されないのは、このオアシスの地下に眠る『大精霊』の結界のおかげなのだよ」

「結界?」

「うむ。オアシスが砂に潜る際、泉の中から特殊な膜が発生し、オアシス全体をドーム状に覆って外の砂を完全に遮断してくれるのだ」


 村長が泉の底を指差しながら教えてくれる。

 どうやら、このオアシス自体が一つの巨大な魔力生命体(大精霊)であり、彼らはその上に共生しているらしい。


「潜る理由は、砂漠の過酷な気候から身を守るためだ。巨大な砂嵐の季節や、地上の熱が限界に達する時、大精霊はオアシスごと地中へ避難し、涼しい地下水脈を通って別の安全な場所へと移動するのだよ」

「なるほど。じゃあ、ずっと潜りっぱなしってわけじゃないんだな?」

「もちろんだ。地中を移動するのはせいぜい3日から5日。その後はこうして地上に浮上し、20日ほど同じ場所に留まる。太陽の光を浴びて植物を育て、外の商隊と交易を行うためにな。ずっと暗い地下にいては、我々も草木も気が滅入ってしまうからな」


 その言葉に、俺とサフィは深く納得して頷き合った。


 3〜5日の潜行で危険をやり過ごし、20日間の地上滞在でエネルギーを蓄え、旅人を迎え入れる。

 生態系としても、交易の拠点としても、あまりにも完璧で理にかなったサイクルだ。


「分析。大精霊の危機回避能力と、地上の太陽光による光合成が見事に調和しています。マスター、これは非常に効率的な環境維持システムです」

「ああ! 厳しい砂漠を生き抜くための、最高の共生関係だな!」


 俺とサフィが熱中してメモを取りまくっていると、横でヤシの実ジュースを飲んでいた双子が、不思議そうに首を傾げた。


「……マスター。……お勉強、楽しいですかぁ……?」

「……お昼寝の時間ですよぉ……」

「バカ言え、こんな面白すぎる生態系を目の前にして寝てられるか! 村長さん、次はあの結界の『砂を弾く魔力波長』について詳しく教えてくれ!」


 俺の留まるところを知らない知識欲に、村長も「ほう、外の人間でこれほど我らの暮らしに興味を持つ者は初めてだ」と嬉しそうに語り始めた。


 常識的な交易品(海塩)で穏やかに築かれた信頼関係。

 そして、厳しい砂漠と地中を生き抜くための、理にかなった「完璧な潜行サイクルの叡智」。


 一見普通の美しいオアシスの上での時間は、錬金術師クロウにとって、至福の研究タイムへと変わっていくのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白かった!」「スカッとした!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、

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それでは、次回もどうぞお楽しみに!

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