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神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


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第56話 陸を歩く大ダコと、広場の大乱闘 ~鮮度が良すぎて大暴れ~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


 港町『ポート・セルリア』の中央広場。


 夕日に照らされる中、俺たちが引き揚げた巨大な『星核鉄のタコ壺』が、ドスンッ! と地響きを立てて置かれた。


「おおおぉぉ……! これが、あの『暴食の海魔クラーケン』を捕らえた罠か!」

「す、すげえデカさだ……! これが本当にタコ壺だってのか!?」


 ギルドマスターのバルバロッサをはじめ、港町の住人たちが固唾を飲んで壺を取り囲んでいる。


 広場の中央には、ダイヤが既に錬成を終えた『直径5メートルの星核鉄製・特大タコ焼きプレート』が鎮座し、下からは魔法の炭火が煌々と熱気を放っていた。


「準備は万端ですわよ、ご主人様。あとはメインディッシュの『タコ』を切り刻んで入れるだけですわ」

「よし。壺の中は酸欠に近い状態のはずだ。ギュウギュウに圧縮されて身動きも取れなかったんだからな。……大人しく茹でダコになってるだろう」


 俺は油断しきった顔で壺の頂点に立ち、入り口の『返し』のロックを解除した。


 ガコンッ。

 重々しい金属音が響き、壺の入り口を塞いでいた見えない蓋が消滅する。

 次の瞬間だった。


 ――ズボボボボォォォォォォンッ!!!


「うおっ!?」


 凄まじい破裂音と共に、壺の中から赤黒い肉塊が『爆発』するように飛び出してきた。

 ギュウギュウに圧縮されていた反動で、一気に元のサイズ(全長50メートル)へと膨れ上がったのだ。


『ブギョォォォォォォォォォォッ!!!』


 広場に響き渡る、耳をつんざくような怒りの咆哮。

 飛び出したクラーケンは、地面にベチャッと潰れる……なんてことはなかった。


 丸太のように太い八本の触手を器用にうねらせ、自分の巨大な頭部をしっかりと持ち上げ、陸上で堂々と立ち上がったのだ。


「な、なんだと!? 水から上がったのに、普通に動いてるぞ!?」


 バルバロッサが驚愕の声を上げる。

 俺も目を見開いた。


「しまった……! タコは皮膚呼吸ができるから、陸上でも普通に活動できるんだった!」

「分析。対象の生命力はSランク。加えて、壺に閉じ込められたストレスと怒りにより、アドレナリン(魔力)が限界突破しています。極めて危険な状態です!」


 サフィの警告を証明するかのように、真っ赤に激怒したクラーケンが、手当たり次第に触手を振り回し始めた。


 ドガァァァァァァンッ!!

 極太の触手が石畳を粉砕し、周囲にあった空の木箱や屋台が木端微塵に吹き飛ぶ。


「ひぃぃぃっ! 逃げろぉぉっ!」

「街が壊されるぞーっ!」


 見物していた住人たちが悲鳴を上げて逃げ惑う。

 壺から出せばまな板の上のタコだと思っていたが、とんだ勘違いだった。

 これは「調理」ではない。「大怪獣バトル」の開幕だ。


「マ、マスター! こいつ、海に向かって逃げようとしてますぅ!」

「……せっかくのタコ焼きがぁ……逃げちゃいますぅ……!」


 双子のパールとコーラルが、広場から海へ向かってズルズルと這い進もうとするクラーケンを指差す。

 陸で暴れ回るだけでなく、海へ逃げ帰る気満々だ。賢い。だが、そうはさせない。


「逃がすか! ゴルド! 海への退路を塞げ!」

「御意ィィッ! コノ先ヘハ、一歩タリトモ通シマセン!!」


 深紅の巨体を持つゴルドが、クラーケンの前に立ち塞がる。

 クラーケンの触手がゴルドを薙ぎ払おうと襲いかかるが、ゴルドはそれをガッチリと受け止め、力比べの様相を呈した。


「みんな、迎撃だ! だが気をつけろ! 絶対に炭にしたり、毒を入れたりするなよ! 肉が台無しになる!」


 俺の至上命令(無茶振り)に、仲間たちが一斉に動き出す。


「もうっ、ご主人様はいつも条件が厳しいんですから! ――『紫刃・水鳥の舞』!」


 アミィが紫紺の鉄扇を振るい、鋭い水流の刃を放つ。

 スパパパパッ! と触手の先端が切り落とされるが、クラーケンは痛覚すら怒りに変えて、さらに暴れ狂う。


「ダイヤ、プリムローズ! 動きを止めろ!」

「承知いたしましたわ! 足元だけを『軽くボイル(熱湯)』して差し上げます!」

「蔦で縛り上げる! だが、相手は軟体だ。すり抜けられるぞ!」


 ダイヤの熱線が石畳の水分を沸騰させ、クラーケンの足を焼き(茹で)、プリムローズの蔦が触手に絡みつくが、ヌルリと抜け出されてしまう。


「ああもう! じっとしててよタコさん! お兄ちゃんがご飯作れないでしょ!」


 ルビィが跳躍し、愛用の『ミスリルの打岩槌ショックレス・ハンマー』を振り下ろす。


 ドグシャァァァァンッ!!

 ルビィのハンマーが、クラーケンの頭部(外套膜)にクリーンヒットした。


 凄まじい衝撃波が体内を駆け巡り、クラーケンは「ブモュッ!?」と奇声を上げて大きくのけぞる。


「ナイスだルビィ! 完璧な『叩き(テンダライズ)』だ! 肉が柔らかくなるぞ!」

「えへへー! もっと叩くー!」


 俺は双子の元へ走り寄った。


「パール、コーラル! お前たちの『振動』で、奴の神経系だけをピンポイントで麻痺させられるか!?」

「……できますけどぉ……こんなに暴れてたら、波長を合わせるのが難しいですぅ……」

「……誰かがぁ、動きを止めてくれないとぉ……」


 双子が困ったように言う。

 暴れ狂う八本足。これを完全に抑え込むには、もう俺自身が出るしかない。


「サフィ! クラーケンの運動神経の『中枢』の位置を割り出せ!」

「……計算完了。頭部(外套膜)のすぐ下、両目の間にある神経束です。ですが、あの無数の吸盤と触手を掻き分けて接近するのは至難の業です」


 サフィの冷徹な分析を聞きながら、俺はアイテムボックスから『あるもの』を取り出した。


「至難の業だろうが、やるしかない。……俺の胃袋が、もうタコ焼きの口になっちまってるからな!」


 俺が手に持っていたのは、海中探索で手に入れた『海魔ヤドカリの極厚甲羅』から削り出した、巨大な『錬金サーフボード』だった。


「行くぞ! 海のバケモノには、海の男(錬金術師)の波乗りを教えてやる!」


 俺はサーフボードを小脇に抱え、広場を這い回る巨大な触手の山へと向かって全速力で駆け出した。


 鮮度が良すぎて大暴れする超巨大食材。

 この大乱闘を制し、至高の特大タコ焼きを焼くための、最終工程(〆の作業)が今、始まろうとしていた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白かった!」「スカッとした!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、

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それでは、次回もどうぞお楽しみに!


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