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神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


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第32話 エルフの里での長期滞在 ~ついに解禁、奇跡の「和食」~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!



 世界樹の深淵に巣食う病魔との対峙を経て、俺たちは一旦、エルフの里へと戻った。

 広間には、ゼルコバ長老と警備隊長のリード、そして多くのエルフたちが集まっていた。


「……というわけで、世界樹の治療には時間がかかる。俺たちをしばらく、この里のラボに滞在させてほしい」


 俺が事情を説明すると、ゼルコバ長老は腕を組み、真剣な眼差しで頷いた。


「うむ。我らが守り神『世界樹』の一大事じゃ。むしろ、こちらから頼みたい。……なあ皆の者、異存はないな?」

「はい! あの病を特定しただけでも、我々には成し得なかったことです!」

「クロウ殿、どうか世界樹様をお救いください!」


 かつて俺たちを「人攫い」と呼んだエルフたちが、今は深々と頭を下げている。

 彼らの世界樹への敬意と、それを救おうとする俺たちへの信頼は本物だった。


「ああ、任せてくれ。……その代わり、俺からも頼みがある」

「なんじゃ? 素材か? 人手か?」

「いや」


 俺はキリッとした顔で、厨房の方を指差した。


「俺に、エルフの料理を教えてくれ」

「は?」


 長老がキョトンとした。


「世界樹の治療には『調和』の心が不可欠だ。俺の料理はまだ『力押し』すぎる。……あんたたちの作る『あのスープ』の極意、どうしても学びたいんだ」


 これは本音半分、下心半分だ。

 あの透明なスープの「旨味(出汁)」の技術があれば、俺の食生活は劇的に進化するはずだ。


「ガハハハ! 面白い! よかろう、我が里一番の料理長をつけよう! 好きなだけ盗むがよい!」


 ◇


 翌日から、俺の「料理修行」が始まった。

 先生は、数百年生きているという老婆のエルフ、ミントさんだ。


「いいかい、クロウ。素材を煮込むんじゃないよ。素材が『出したい』と思う味だけを、水に移してあげるんだ」


 彼女が使うのは、森で採れた乾燥キノコや、海藻に似た川草だ。

 それを低温の水に浸し、沸騰直前で引き上げる。


「……なるほど。これは『煮出し』じゃない。『抽出エクストラクション』だ」


 俺はハッとした。

 この工程、前世で言うところの「昆布と鰹節で出汁を取る」のと全く同じ理論だ。

 エルフの「調和」とは、すなわち「UMAMI(旨味)」のことだったのだ!


「サフィ、成分分析! このキノコ、グルタミン酸の塊だぞ!」

「肯定。川草にはイノシン酸が含まれています。合わせることで旨味の相乗効果が発生します」


 謎は解けた。

 俺は震える手で、その「エルフの出汁」を一口飲んだ。

 五臓六腑に染み渡る、優しくて懐かしい味。


「……これだ。これがあれば、あれが作れる……!」


 俺はアイテムボックスをひっくり返した。

 カレハ村で貰った野菜、道中で採取した穀物、そしてエルフの里で見つけた発酵調味料(豆のペースト)。


「ミント婆さん! この『聖なる穀物』って、もしかして……」

「ああ、それは祝いの席でしか炊かない貴重な実だよ。水で炊くとふっくらして甘いのさ」

「やっぱり『米』だ!!」


 俺は歓喜した。

 出汁がある。米がある。発酵豆(味噌)がある。焼き魚(川魚)がある。

 全てのピースは揃った。


 ◇


 その夜。

 俺は長老やプリムローズ、そして協力してくれたエルフたちを招き、「和食・試食会」を開いた。


「さあ、食べてくれ。エルフの『調和』と、俺の『技術』の結晶だ」


 食卓に並んだのは、湯気を立てる『白米(銀シャリ)』。

 エルフの出汁と発酵豆で作った『豆腐とワカメの味噌汁』。

 そして、炭火で皮をパリッと焼いた『鮎の塩焼き』。


 シンプル極まりない、しかし最強の定食だ。


「……見た目は地味じゃな」


 ゼルコバ長老が不思議そうに箸(俺が削った)を持つ。

 まずは味噌汁を一口。


「……ズズッ」


 長老の動きが止まった。


 ホァァァ……と、口から白い息と共に、憑き物が落ちたような溜息が漏れる。


「……なんじゃこれは……。心が……洗われるようじゃ……」

「森の恵みが、喧嘩せずに手を取り合っています……!」


 エルフたちが涙ぐむ。

 これぞ「調和」の究極系。

 そして、炊きたての白米を口へ。


「甘い! 噛めば噛むほど甘い! これだけで御馳走じゃ!」

「この焼き魚! 皮はパリパリなのに、身はふっくら……! 塩加減が絶妙ですわ!」


 ダイヤもルビィも、夢中で箸を動かしている。


「お兄ちゃん! この白いご飯、すっごく美味しい! お代わり!」

「ああ、いくらでもあるぞ」


 俺も味噌汁を啜った。

 カツオ(代用)の香りと、味噌のコク。そして白米の粘り気。


 ……帰ってきた。俺の魂が、日本人のアイデンティティが、この異世界で帰ってきたのだ。


「うっ、うう……美味い……」

「マスター? なぜ泣いているのですか?」

「放っといてくれサフィ。これは嬉し涙だ……」


 こうして、エルフの里に「和食ブーム」が巻き起こった。


 長老は毎朝「味噌汁がないと始まらん」と言い出し、プリムローズは「おにぎりの具材は何が最適か」を論文にし始めた。


 世界樹の治療は長期戦だ。

 だが、この「白米と味噌汁」さえあれば、俺たちはどんな困難も乗り越えられる。

 そう確信できる、最高の夕餉ゆうげだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白かった!」「スカッとした!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、

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それでは、次回もどうぞお楽しみに!


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