表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/55

第31話 深淵の根と、癒着する悪意 ~メスを入れたら、世界樹が悲鳴を上げた~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!



 賢者のラボの最深部。

 俺たちは、エルフの里、ひいてはこの森全体の命運を握る『世界樹』の大手術を開始しようとしていた。


 目の前には、天井を突き破る巨大な主根。

 その表面はドス黒い紫色の粘液で覆われ、脈打つように蠢いている。


「……始めるぞ。サフィ、バイタルモニター起動」

「了解。樹液の流動速度、魔力循環率、全て可視化します」

「ダイヤ、出力5%で患部を焼灼しょうしゃく。健康な細胞を1ミリでも傷つけたら中止だ」

「承知いたしましたわ。……絹を縫うよりも慎重に参ります」


 俺の合図と共に、ダイヤが指先から極細の熱線レーザーメスを放った。

 ジュッ……という音と共に、黒い粘液が蒸発していく。


 ――オオオォォォ……。

 どこからともなく、低い唸り声のような振動が響いた。

 世界樹が震えているのだ。


「順調だ。……よし、このまま表面の壊死した部分を削り取り、俺の『調和薬』を直接注入する」


 俺は錬金術で作った、再生と殺菌を同時に行う黄金の薬剤を注射器にセットした。

 ダイヤが切り開いた傷口へ、慎重に針を刺す。


 その時だった。


 ギャアアァァァァァァッ!!!

 耳をつんざくような「悲鳴」が轟いた。


 それは世界樹の声ではない。

 傷口の奥、深紅の断面から、無数の黒い触手が飛び出し、俺の注射器を弾き飛ばしたのだ。


「なっ……!?」

「マスター! 警告! ウイルスが『防衛反応』を示しています! しかも、宿主である世界樹の生命力を盾にしています!」


 サフィが叫ぶ。

 モニターの数値が異常な跳ね上がりを見せていた。

 俺たちが病巣を攻撃すればするほど、世界樹自身の心拍数が低下していく。


「くそっ……! 完全に融合しているのか!」


 ただの寄生じゃない。

 この病魔は、世界樹の神経系や魔力回路と深く複雑に絡み合い、「私を殺せば、こいつも死ぬぞ」と人質を取っているのだ。


「やめろ! 中止だ!!」


 プリムローズが叫び、俺の腕を掴んだ。


「これ以上やれば、世界樹がショック死する! ……やはり、無理だったんだ。私の数百年は無駄じゃなかったが、正解でもなかった……」


 彼女の目には絶望が浮かんでいた。

 俺は歯を食いしばり、ダイヤに停止を命じた。


「……ああ。これは『外科手術』でどうにかなるレベルじゃない」


 俺は注射器を置いた。

 一度で治そうなんて、傲慢だった。

 数百年かけて根付いた病だ。それを数分で切り離せるわけがない。


「……撤退だ。だが、諦めるわけじゃない」


 俺は冷静に判断を下した。

 今、無理に完治を目指せば、患者(世界樹)が死ぬ。

 必要なのは、急激な治療ではなく、「共存しながら徐々に弱らせる」長期的なアプローチだ。


 ◇


 手術を中断し、俺たちは応急処置だけを施して一息ついた。

 ラボの中に重苦しい空気が流れる。


「……すまない、プリムローズ。俺の読みが甘かった」

「いや。……お前のおかげで、敵の正体がハッキリした」


 プリムローズは疲れ切った顔で、しかしどこか吹っ切れたように言った。


「この病は、意思を持っている。真正面から戦えば負ける。……持久戦だ」

「ああ。これから毎日、少しずつ薬の配合を変えて投与し、ウイルスの反応を見る。奴が『嫌がる』が『死なない』ギリギリのラインを探り続けるんだ」


 それは、気の遠くなるような作業だ。

 数ヶ月、あるいは数年かかるかもしれない。

 だが、錬金術師として、乗りかかった船(患者)を見捨てるわけにはいかない。


「……お兄ちゃん、帰らないの?」


 ルビィが心配そうに聞いてくる。

 俺は彼女の頭を撫でて笑った。


「ああ。しばらくここに滞在することになりそうだ。……悪いなルビィ、冒険はお預けだ」

「ううん! ツノ丸と遊べるからいいよ!」


 俺はラボの一角に、自分専用の研究スペースを展開し始めた。

 簡易ベッドと調理器具、そして大量のフラスコ。


「プリムローズ。今日からここが俺の『第二の研究室』だ。文句はないな?」

「……フン。勝手にしろ。ただし、食事は三食きっちり作れよ。それが家賃だ」

「交渉成立だな」


 こうして、俺たちのエルフの里での滞在は、単なる立ち寄りではなく、「長期的な研究合宿」へと変わった。


 朝は世界樹のバイタルチェック。

 昼は森で素材採取と調合。

 夜はプリムローズとデータ解析(と宴会)。


 じっくり腰を据えて、この難病と向き合う。

 そんなスローライフな闘病生活が幕を開けたのだった。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白かった!」「スカッとした!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、

ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、毎日の執筆の爆発的なエネルギーになります!


ブックマークへのご登録も、ぜひよろしくお願いいたします!


それでは、次回もどうぞお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ