表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/57

第30話 遺伝子の図書館と、腐りゆく世界樹 ~調和だけでは、救えない命がある~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!



 プリムローズに導かれ、俺たちはついに『翠緑のラボ(バイオ・プランテーション)』の内部へと足を踏み入れた。


 そこは、俺の知る「研究所」のイメージとはかけ離れていた。

 天井はなく、遥か上空まで伸びる巨大な樹洞うろの中に、無数の発光植物がシャンデリアのように垂れ下がっている。


 壁一面には、ガラスのシリンダーが埋め込まれ、その中で多種多様な種子や胎児(魔獣の幼体)が眠っていた。


「……すげぇ。ここにあるのは本じゃないのか」

「ああ。賢者様は紙媒体を嫌った。情報は全て、『種子シード』に記録されている」


 プリムローズが壁のシリンダーを指差す。


「ここには、太古の時代から現在に至るまでの、あらゆる植物、菌類、そして生物の『遺伝子情報ゲノム』が保存されている。素材の効能、毒性、成長条件……お前が欲している『知識』の全てだ」

「サフィ、どうだ?」

「分析。……膨大です。マスター、私の外部メモリとリンクし、全データをダウンロードします。推定時間、3時間」


 俺は震えた。

 これを手に入れれば、俺は世界中のあらゆる病を治し、あらゆる薬を作れるようになる。

 錬金術師にとって、これ以上の宝はない。


「好きにしろ。……だが、知識だけではどうにもならんこともある」


 プリムローズの表情が曇った。

 彼女はラボのさらに奥、最深部の部屋へと俺たちを案内した。


 ◇


 そこには、悲痛な光景が広がっていた。

 部屋の中央に、天井を突き破るほどの巨大な「根」が鎮座している。

 この森を支える『世界樹』の主根だ。


 しかし、その表面はドス黒く変色し、紫色の粘液を垂れ流していた。

 先ほどのテストで俺が治療した「枯れ葉」など、この巨大な病巣のほんの一部に過ぎないことが見て取れる。


「……酷いな。これが『本体』か」

「そうだ。世界樹は今、死にかけている」


 プリムローズが根に触れ、悲しげに俯く。


「私はこの数百年間、あらゆる『調和』の術式を試した。森のエネルギーを集め、循環させ、自然治癒力を高めようとした。……だが、無駄だった」

「なぜだ? 調和こそが極意なんだろ?」


 俺が問うと、彼女は首を振った。


「病の進行が早すぎるのだ。そして、この病原体は……『世界樹自身』になりすましている」


 サフィがスキャンを行い、補足する。


 「肯定。ウイルスは宿主のDNAを模倣し、免疫系をすり抜けています。『調和』の魔法では、ウイルスを『味方』と誤認してしまい、排除できません」

「そういうことか……」


 俺は悟った。

 エルフの極意である「調和」は、全てを受け入れる優しさだ。


 だが、その優しさゆえに、内部に巣食う「悪意」すらも受け入れてしまっている。

 癌細胞と一緒だ。優しく撫でるだけでは、癌は消えない。


「……プリムローズ。あんたのやり方は間違ってない。だが、足りないものがある」


 俺は一歩前に出た。


「『調和』だけじゃ救えない。時には、異物を切り捨てる『拒絶(毒)』が必要だ。そして、それを制御する『計算(科学)』が」

「……お前の『足し算』か?」

「いや、『掛け算』だ」


 俺は、ドワーフのラボで手に入れた『熱核錬成エネルギー』と、今ここで学んだエルフの『生命調和ハーモニー』。

 相反する二つの力を、俺自身の『現代知識(化学)』で繋ぎ合わせるイメージを描いた。


「サフィ、遺伝子データの解析を急げ。ウイルスの構造を特定する」

「ダイヤ、高出力レーザーの準備を。患部をミクロン単位で焼き切るぞ」

「ゴルド、根を固定しろ。暴れるかもしれない」

「ルビィ、応援だ!」

「がんばれー!」


 俺は白衣を翻し、プリムローズに向き直った。


「管理権限は俺にあるんだったな? なら命令だ、プリムローズ」

「……なんだ?」

「俺の助手になれ。あんたの『調和』で世界樹の体力を維持しろ。その間に、俺が『錬金術』で病巣を摘出する」


 プリムローズは、驚いたように目を見開き、それからフッと小さく笑った。


「……分かった。お手並み拝見といこうか、マスター・クロウ」


 エルフの知識(素材)と、調和の真髄(理論)。

 それらを完全に吸収した今、俺は単なる錬金術師ではない。

 『生命のエンジニア』として、神代の樹を救うオペを開始する。


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


少しでも「面白かった!」「スカッとした!」「続きが読みたい!」と思っていただけましたら、

ページ下部にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援していただけると、毎日の執筆の爆発的なエネルギーになります!


ブックマークへのご登録も、ぜひよろしくお願いいたします!


それでは、次回もどうぞお楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ