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神メンテで最強の美女ゴーレムに溺愛される追放錬金術師 ~俺を見下した勇者パーティーは『金メッキの呪い人形』で勝手に自滅中~  作者: さらん


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第101話 神代の設計者(アーキテクト) ~奇跡を憎み、論理を愛した男~

いつもお読みいただき、ありがとうございます!

それでは、本編をお楽しみください!


 星海が広がる要塞の最深部、マスター・ルーム。

 無事に目覚め、「シルヴェリア」という名を与えられた彼女を囲むように、俺たちは車座になって腰を下ろしていた。


 サフィが淹れた温かい紅茶の香りが、ピンと張り詰めていた空気を優しく解きほぐしていく。


「さて、シルヴィ。あんたの体調が落ち着いたところで、さっそく聞かせてもらってもいいか?」


 俺が紅茶のカップを置き、彼女の群青色の瞳を真っ直ぐに見据える。


「この砂漠の地下に、これほど悪辣で、それでいて完璧に計算された『要塞』を作り上げた張本人。……あんたの『お父様』であり、この第参号・生命培養槽バイオ・プラントの元主についてだ」


 その問いに、シルヴェリアはカップを両手で包み込みながら、懐かしむような、それでいて少し呆れたような、複雑な微笑みを浮かべた。


「私の創造主であり、神代の賢人の一人……『生命の設計者ライフ・アーキテクト』と呼ばれた男、ですね」


 シルヴェリアは星海の天井を見上げ、静かに語り始めた。


「彼は……一言で言えば、極度の『論理至上主義者』でした。彼はよくこう口にしていました。『魔法は奇跡ではない。ただの未解明な物理法則のバグであり、錬金術とはそのバグをデバッグし、仕様として組み直す作業だ』と」

「……なるほど。ファンタジー世界の住人にしては、随分と理系エンジニア寄りの思想だな」


 俺は思わず膝を打った。

 第一層の温度差を利用した永久機関。第二層の環境利用トラップ。そして、ただ力任せに殴るだけでは絶対に突破できない、論理的なパズルと防衛機構の数々。

 すべてが「気合」や「偶然」を許さない、緻密なテスト環境のように作られていたことにも納得がいく。


「ええ。彼は『無自覚な天才』や『運だけで生き残る者』をひどく嫌悪していました」


 シルヴェリアの言葉に、力がこもる。


「『理由もなく発現する力など、ただの暴走だ。内部の構造ロジックを理解せずに力を振るう愚か者に、私の遺産を触らせるわけにはいかない』。……この要塞の防衛システムが、あれほどまでに悪意と殺意に満ちていたのは、そのためです。彼は、侵入者が自分の設計した論理システムを完全に理解し、正しい手順パスワードで解を提示できるかどうかを、あの罠で執拗に『テスト』していたのです」

「……迷惑な話だぜ。おかげで俺たちは、何度すり潰されそうになったことか」


 俺が苦笑すると、プリムローズがスレートから顔を上げ、深い溜息をついた。


「だが、筋は通っている。……生命錬金術という、星の理すら書き換える技術を遺すのだ。たまたま迷い込んだ幸運な馬鹿や、力しか取り柄のない戦士に渡ってしまえば、世界は簡単に崩壊する。あの過剰な防衛は、技術者の『責任』だったというわけだ」

「はい、その通りですわ、エルフの賢者様」


 シルヴェリアはプリムローズの言葉に深く頷いた。


「彼は、世界がいつか『大いなる破び』を迎えることを予見していました。だからこそ、賢人たちは自分たちの叡智を分散させ、決して一つの権力に集中しないように、そして『真に技術を理解し、次代を構築できる者』が現れるその日まで、私という設計図を隔離・保存したのです」


 シルヴェリアはそこで言葉を区切り、俺の手をそっと握った。


「マスター。あなたは、お父様が仕掛けた極悪なテストをすべて、論理と知恵、そして素晴らしい仲間たちとの連携で突破しました。お父様が求めていた『後継者』は、間違いなくあなたです」

「……買い被りすぎだ。俺はただ、手持ちのカード(素材)で一番効率のいいバグ技(錬金術)を使っただけさ」


 俺は照れ隠しに頭を掻いた。

 だが、技術屋としての先人の執念には、素直に敬意を表したい。偶然を排し、必然のみで到達できる者を探す。その徹底したロジックの構築は、同じ技術を愛する者として共感できる部分があった。


「お姉ちゃん! じゃあ、この綺麗な星のお部屋も、その難しいおじちゃんが作ったの?」


 ルビィが星海の壁面を指差して尋ねる。

 シルヴェリアは優しく微笑んで答えた。


「ええ、そうです。この星海は単なる飾りではなく、賢人が遺した『世界地図ネットワーク』そのもの。……マスター、ご覧ください」


 シルヴェリアが空中で指を滑らせると、壁面の星海がグルンと回転し、特定の星が赤い光を放って線で結ばれた。


「私たちが今いるのが、南の砂漠地帯に位置する『第参号・生命培養槽』。……そして、ここから最も近く、アクセスが可能な次の遺産は……」


 彼女の指が、東の果て、深い渓谷と海に挟まれた絶壁の座標を指し示した。


「第六号施設……『空間制御塔アストラル・タワー』。空間魔法の極致と、次元転送の技術が封じられた要塞です」

「空間制御……次元転送だと」


 俺の錬金術師としての血が、再びドクンと激しく脈打った。

 アイテムボックスの拡張や、瞬時の移動。それが手に入れば、旅の快適さと錬金術の幅は次元が変わる。


「よし、次の目的地は決まったな」


 俺は立ち上がり、白衣を翻した。


「論理を愛した神代のエンジニアの遺産、余さずしゃぶり尽くしてやろうじゃないか」


最後までお読みいただき、ありがとうございます!


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それでは、次回もどうぞお楽しみに!

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