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第10話

「秋桜子ちゃん。何してたの?」

「萬葉さんに戦い方…教わってました」

「なるほどね…萬葉さんは戦い慣れてるからね」

「…全く、敵いませんでした」

わたしは俯きながら言った。

言ってるうちにまた悔しさが戻ってきた。

「萬葉さんはこのチームで一番強いから」

「それに…」

雪野さんがにやりと笑い、耳元で囁く。

くすぐったい。

「優しいからね」

「え?」

萬葉さんは我関せずと太い木の棒を振っている。

桜野さんの視線を感じる。


雪野さんに腕を取られ、萬葉さんの傍らに行く。

「萬葉さん。秋桜子ちゃん、どうですか」

「どうとは?」

雪野さんの声に見向きもせず、変わらず振り続ける。

「秋桜子ちゃん。強くなれます?」

「そうだな…今のままでは無理だろうな」

胸の奥が、わずかに痛んだ。

「華鳥」

「お前は、何のために戦う」

「生き残るためです…」

「自分が生き残らないと…助けられない」

「ならばなれる」

「考えるな」

「身体に覚えさせろ」


木剣が、何度も弾かれる。

足が遅れる。

踏み込んだ瞬間、視界が揺れた。

「遅い」

声だけが飛ぶ。

考えた瞬間、止まる。

――考えるな。

次は、止まらなかった。

息が上がる。

握りが甘くなる。

弾かれる。

「そこだ」

わからない。

でも、身体が動いた。

踏み込む。

止まらない。

そのまま――届いた。

萬葉さんの剣が、初めて軌道を変えた。

――萬葉さんの動きが、一瞬だけ止まった。

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