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第三話 餌付けは負けじゃない
次の日。
「……ある」
昨日の場所に、皿があった。しかも中身入り。カリカリ。
遠くで、昨日の人間が立っている。動かない。見てる。
「……罠か?」
オレはすぐに行かない。まず匂い。次に周囲チェック。一度その場を離れて、「やっぱり気になるな」と戻る。
これは警戒ではない。猫としての作法だ。
問題なさそうなので、一気に食べる。うまい。正直、かなり。
だが――食べ終わった瞬間、オレは我に返った。
「……やばい」
顔を上げ、人間と目が合った瞬間、ダッシュ。
屋根の上まで一気に逃げる。心臓バクバク。
下を見る。追ってこない。手も出さない。
「……ふん」
餌付けは負けじゃない。これは、様子見だ。主導権は、まだオレにある。




