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第二話 人間にはシャー
駅裏はオレの寝床だ。ダンボールがあって、風が避けられて、たまにエサが落ちている。
今日も丸くなっていると、急に視界に靴が入った。
「……誰だ」
反射的に背中を丸め、毛を逆立てる。「シャーーーッ!!」
これは怒りじゃない。「それ以上近づくと面倒だぞ」という、非常に丁寧な警告だ。
人間は止まった。よし。話が分かる。
「……でかいな」
何が、とは言わなかったが、視線の高さで察した。オレはもう一度「シャッ」と小さく言って、ダンボールの奥に引っ込んだ。
追ってこない。触ろうともしない。
「……変な人間だな」




