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第一話 オレのにゃんたまは最強
「……ふぁぁ」
朝だ。正確には、寒くて目が覚めただけだが、オレが起きた以上、朝である。
屋根の上で丸くなり、しっぽの上に手を置く。これをやると、ちょっとだけあったかい。
伸びをして立ち上がると、体の下で、にゃんたまが一拍遅れて揺れた。……今日も元気だ。
オレは街を歩く。堂々と。理由はないが、にゃんたまがある以上、堂々としていたほうが自然だ。
塀にジャンプ。「よっ――」……届かない。
着地してすぐ、何事もなかった顔で毛づくろいを始める。失敗は、なかったことにするに限る。
通りを進むと、他の猫がちらっとこっちを見る。視線が、やけに低い。
「……気になるなら、見てもいいぞ」
心の中でそう言って、少し歩幅を広く取る。歩くと揺れる。走ると、存在感が増す。
若いオス猫と目が合っても、にゃんたまを前に出せば大体引く。ケンカ?ほぼしたことがない。
にゃんたまは平和の象徴なのだ。




