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長髄彦の討伐
磐余邑の兄磯城を破った後、神武天皇は、いよいよ宿敵の長髄彦の討伐を決意します。昔、長髄彦と戦っているとき、神武天皇の兄である五瀬命が矢に当たって死んでしまうということがあったのです。
最初神武天皇は苦戦しますが、金色の不思議な鵄が天皇の弓の先にとまったとたんに長髄彦の軍勢が怯んでしまい、ようやく戦争を優勢に進めることができました。
これに対し、長髄彦は神武天皇に使者を送り、「昔、天神の皇子である櫛玉饒速日命が天下りました。この人が我が妹の三炊屋媛を娶とり、可美真手命を産みました。それで私は、饒速日命に仕えています。あなたは天つ神の子を名乗っていますが、偽物ではないのですか?」と伝えさせました。そこで天皇は、天羽羽矢と歩靭を長髄彦に見せて、自分が天神の子であることを証明しました。それでも長髄彦が従わないので、主君の饒速日命が長髄彦を殺してしまい、神武天皇に帰順しました。この饒速日命が物部氏の先祖ということです。古事記では、穂積臣と采女臣の先祖でもあるとしています。




