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聖武天皇が顕彰した三国真人と石川朝臣と鴨朝臣と伊勢大鹿首
続日本紀では、天平勝宝元年4月1日の条に、興味をひく記録があります。石上朝臣乙麻呂が聖武天皇の言葉として、次のような趣旨のことを言ったそうです。
「(前略)また、三国真人、石川朝臣、鴨朝臣、伊勢大鹿首は位階を上げるべきである」
この言葉のどこが興味深いかと言うと、続けて「県犬養夫人(県犬養三千代のこと)は何代もの天皇に仕え、聖武天皇の代にも怠ることなく仕えてくれたか上、祖父の大臣(藤原不比等のこと)の家も守ってくれたので、孫たちの位も上げよう」などと述べています。県犬養三千代は聖武天皇から見れば光明天皇の母親で、「祖父の大臣」である藤原不比等は文字通り祖父であり、この2人は聖武天皇にとって極めて重要な人物です。こういう重要人物の前に「三国真人、石川朝臣、鴨朝臣、伊勢大鹿首」の4氏を挙げるとはどういうことでしょうか。
今週は、この4氏がどの程度重要な者だったか、日本書紀の記載から検討していくことにします。




