表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/34

人狩りベルギャルド

「善悪は立場ではなく」

         星宮星雅

 「何ぃ?貴族ってのは人々を守るから貴い一族なんじゃねぇのか?いくら、罪人相手だっつってもそんな横暴な真似が許されるのかよ?」

「ゆるされるよ、ここにはざいにんと、すうにんのやくにんしかいないんだ。ベルギャルドは、みんな、けんりょくとちからでだまらせちゃうんだ。」

義景の疑問に、ドサリッとショックのあまり膝から崩れ落ちた少年が掠れた声で答えた。

少年がぐしゃっぐしゃに顔を歪め、ぽたりっぽたりっ・・・水滴が一滴また一滴と地面に吸い込まれていく。

「ちくしょうっ!ちくしょうっ!せっかくキラのおかげでムラができたのに!ともだちができたのに!」

少年は何度も何度も細く非力な子どもの腕に地面をバンバンと叩くが、握り拳に傷がついて血が滲むばかりで、ベルギャルドが改心するわけでも連れて行かれた男の子が戻ってくる訳でもない。

だが、少年の叫びは1人の侠客無頼の耳には届いた。

義景は少年の頭に手をやって、くしゃくしゃと乱暴に撫でる。髪がくしゃくしゃでパーマのようになった。

「知ってるヤツが居たら教えて欲しいんだが・・・そのベルギャルドとかいう阿呆は何処に居るんだ?」


 「・・・たぶん、みなとのほう・・・のってきたフネをいえにしてるだとおもう・・・・・・」

「けど、相手は貴族だ!いくら、煌の旦那でも貴族に手を出したりしたら・・・・・・・・・っ!!」

煌は少年と女の言葉に応えるように静かに刀を抜くと、勢いよくダンッ!と地面に突き刺した。

「貴族だろうが盗賊だろうが儂には関係のねぇことだ!誰か相手だろうと仁義を持って礼には礼を、悪党には刀と拳を持って答える!それが侠客の生き様よぉ!!」

「煌の旦那・・・分かった、私も腹括る。まだまだ新米とはいえ子どもを持つ親だ。他所の子とはいえ、子どもが下らないゲームで虐め殺されそうだって時にジッとなんかしてられない!」

「おれもいく!キラ、いいだろ?」

義景に感化された女と少年は再び立ち上がり、連れて行ってくれと義景に迫る。

しかし、義景は「ダメだダメだ」と2人を引き剥がし、儂は1人で行くと言い張った。

「クロッセルのとこはまだ小さいレコメンド嬢が居るだろ?それに童はまだ小せぇ小童じゃねぇか。」

「だから行くんだよ、煌の旦那!ここで行かなきゃ・・・明日からどんな顔でレコメンドを抱けばいいっ!?」

「おおきくなるのを、まってるじかんはないんだ!いまいかないと、ともだちをたすけられないんだよっ!!」

「・・・地獄の亡者みてぇな辛気臭い顔してた連中がちったぁ立派になったじゃねぇか・・・時間がねぇ、20秒で支度を済ませろ。それ以上、儂は待たねぇぞ。」

たった3人の決死隊が結成された。


「はぁ・・・はぁ・・・」

走る走る、ただだだ走る。熱でボウッとした頭は碌に働かないし、身体も怠くて仕方が無い。オマケに息ももう絶え絶えで、脚が痛くて棒のよう。それでも獲物の2人はただひた走る。

然もなくば、後ろから迫る矢に捕ってしまう。

「ほれほれ、ほぉれ!速く逃げないと矢が刺さっちゃうギャよぉ?」

ベルギャルドは煽るような声を上げながら、ゆっくりと銀の大弓に矢を番える。

これがベルギャルドが亡骸島に度々訪れる理由、王も他の貴族も居ない流刑地で戯れに罪人を追い回す、ベルギャルドの悪趣味極まりない性格が生み出した「人間狩りゲーム」である。

「ぐがぁっ!!」

「イバラギ!」


風邪の男の子と一緒に連れてこられたもう1人の獲物の少女イバラギの脚に矢が刺さり、ドサリッとその場に倒れ込む、側に駆け寄ろうとする男の子をイバラギはキッと睨み付けた。

「いいから行って!時間を稼ぐの!きっと煌さんが・・・っ!」

「やったギャ!やったギャ!先ずは一匹、仕留めてやったギャ!」

ベルギャルドは矢が当たったことで大喜び、鬼の首を取ったように騒ぎ出し、部下の鎧騎士たちも「お見事です、ベルギャルド郷」と追従して褒め称えた。

「彼奴ら・・・っ!!」

「行って!お願いだから!」

「・・・・・・くそっ!」

男の子は怒りのあまりな殴りかかろうとするが、再度イバラギの「行って!」という叫びを聞いたことで理性を取り戻し、歯を噛みしめ血を流しながら、また駆け出す。

「時間を稼ぐとか言っておっギャなぁ?でも無駄だギャ、ベルギャルドは貴族なんだギャ!ベルギャルドに逆らえるようなヤツは亡骸島には居ないんだギャ。それに・・・どのみち、もう間に合わないギャ」

「何ですっ・・・ゴホッ!ゴホッ!」

ピチャピチャっと、少女の眼前にドロドロとして赤い液体が飛び散った。

「これは・・・血ぃっ!?」

「矢にはベルギャルドの忠実な部下が作り出した病毒をたっぷり染み込ませてあるのギャ!お前はもう放っておいても勝手にくたばるんだギャ!もう一匹も同じところに送ってやるから安心するギャ~」

善悪も分からない幼い子どものように無邪気に、そして残酷に、ベルギャルドはゲラゲラ大笑いした。

そして、手に持った銀の大弓に新しい病毒の矢を番え、男の子に狙いを定めると勢いよく引き絞り、そして放たれた矢は真っ直ぐに男の子へと向かって行った。

人物情報記録 イバラギ (第一項)

性別:女     年齢:9歳

身長:100cmジャスト 体重:女の子に聞くものじゃないわよ

種族:ケット・シー 所属:名も無き村


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ