帰還
時間が無いので、ギリギリのやっつけ仕事でなんとか締め切りに間に合わせる苦肉の策
この期に及んでまだそわそわと落ち着きが無いサンビタリアは仕切りに自分の髪を弄って髪型を気にし、ガーネットは何を考えているのか敵を目の前にした兵士のような怖い顔を浮かべ、レコメンドはそんな2人の様子を見て目を手で覆い、静かに天を仰いだ。
いよいよ港に寄港して、錨を下ろした白魚を前にサンビタリアたちはやっぱり冷静ではいられなかった。
そうしていると、いよいよコツコツという靴の音が近づいてくる。
サンビタリアたち出迎え組の意識が一斉に船の入り口に向かい、無意識に背筋をピンと伸ばした。
「お!?レコメンドちゃんお迎えにきてくれたの?遂にデレ気が来たかなぁ?」
最初に出てきたのは第二防衛部隊隊長のチバだった。
逃げ帰ってきたばかりだというのに異様に元気で、相変わらず愛刀を抜いたまま担いでニヤニヤ笑いながら、レコメンドに絡んでいる。レコメンドが「奥様方の護衛ですよ。」と面倒くさそうに答えると、チバの興味が今度はレコメンドの直ぐ近くに居たサンビタリアたちへと移った。
「えい!」
「ふぇっ!?」
チバは大事な刀を鞘にしまったかと思うと、パタパタとサンビタリアたちに駆け寄った。そして、何を考えたのか、両の手をそれぞれサンビタリアとガーネットの胸部・・・・・・・・・即ち、おっぱいへと伸ばした。
「おーっ!2人ともおっきいね!これは若様も期待出来そうで好いねぇ!うん、合格!」
「あ、ありがとうございます?」
いきなりのことに思考が現実に追いつかず、サンビタリアはただただ困惑しながら礼を言った。
だが、冷静に考えれば言うべきなのは礼では無く文句である。レコメンドが静かに弩鬼説奇を向けたことで、流石に不味いと思ったのかチバは慌てて手を離した。
「で、どっちが大将のお嫁ちゃん?」
・・・前言撤回、やっぱりチバは反省などしていなかった。
「何をやってるんだお前は・・・」
チバから少し遅れて、船から護衛にマルチを引き連れたP2が現れた。
怪しげに赤く輝く瞳は呆れの色に染まっており、折角の美しい顔も苦笑いに変わってしまっていたが、それでも確かに、彼はサンビタリアが綺麗だと見惚れた美青年P2その人に違いなかった。
肝心のサンビタリアはといえば、その姿を見つけた途端、恋に恋をする少女のように頬を林檎色に染め、言いたいことを色々考えていたにも関わらず頭が真っ白になって、ただ口をパクパクさせるばかりだった。
「ほらほら~、久し振りに会ったんでしょう?アピールしなきゃ駄目だよ、お嫁ちゃ~ん。」
会ったばかりだというのに、チバは学友を揶揄い囃し立てる学生のような馴れ馴れしい態度でサンビタリアの肩を抱こうとして、また厳しい顔のレコメンドに弩鬼説奇を向けられた。やりたい放題である。
だが、チバの言い分も一理ある。口をパクパクさせるばかりでは何も始まらない。
サンビタリアはグッと拳を握って何かを決意すると、消え入りそうなか細い声で、確かにこう言った。
「おかえりなさい」
P2も「おう、ただいま」と笑うのだった。




