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やるべき仕事は?

今日はちょっと短いです。というか、書き溜めもプロットも無いので基本難産です。

 その後、サンビタリア一行は数日かけて赤目製薬本社の全ての部署を見学して回った。

健康栄養食品部では元貴族の仲間であるサファイアが高笑いしながら歓迎してくれ、営業部ではレコメンドが自分の顧客とのやり取りの記録を一部黒塗り修正した上でサンビタリアたちに見せ、貨物運搬部ではモリアーティが作り上げたシュミレーション装置を使って水陸両用の大型貨物車の運転を疑似体験した。

そ赤目製薬の要である薬品開発・調合部ではP2を初めとする優秀な医師・薬剤師たちが作り上げた赤目印の医薬品の数々の成分表を見せて貰った。が、専門知識のない一行にはただの文字と数字の羅列にしか見えなかったが、それでもサンビタリアは終始楽しそうに目を輝かせていた。

貴族令嬢のままでは見ることの叶わなかった世界がよっぽど面白いらしい。


 さて、サンビタリアとガーネットは仕事を選ばなくてはならない。だが、その選んだ仕事が問題になった。

宛がわれた自室で机を挟んで、サンビタリアたち主従は向き合った。珍しく睨み付けるような鋭い目付きを主に向けたガーネット、そんな従者の目を逸らすことなく見据えたサンビタリア。そして、そんな2人を横目に見ながら、屋内用のクロスボウを布で磨くレコメンド。三者三様の姿がそこにあった。

「お嬢様、理解しておられるのですか?護身術とは訳が違うのですよ?」

「ええ、心得ています。傷が出来れば血が流れ、汚れれば病になり、場合によっては死に到るでしょう。」

「では・・・っ!!」

「だからこそ、私は防衛隊に志願したいのです。顔も知らず、性格も分からず。引き取っても何の利益も無い、そんな私を花嫁として迎え入れて下さったぴぃつぅ様。とても理不尽かつ強引な経緯での婚姻であったにも関わらず私を社内に受け入れて下さった社員の皆様。着の身着のままの私が彼等の信頼に答えるために、差し出せる誠意は命と働きだけです。だから、私はその両方を差し出したい。」

「・・・・・・・・・っ!」

ガーネットは言葉にならない怒号混じりの悲鳴を吐いた。

サンビタリアが生まれたばかりの幼子だった時分から、長い間ずっと側で仕えてきたガーネットは知っていた。こういう時のサンビタリアは本当に頑固で自分が何を言っても止まらない。と、知っていた。

だが、主の命と安全を思えばこそ、簡単に了承することは出来なかった。

「・・・そうだ、レコメンドッ!彼女はお嬢様を守ることが仕事なのですよ?それなのにお嬢様が危険に飛び込むような真似をしては、むしろ迷惑がかかる。ですよね?」

縋るように話を振るガーネットに対して、矢を1本1本分解して中身を確認していたレコメンドは手に持っていた矢を机に置くと、どこからともなく辞令の書類を取り出して2人に見せた。


 「・・・・・・ここにある通り私に下された辞令は、第二防衛部隊及び社長率いる撤退支援作戦に従事する第五防衛部隊が現場より帰還したするまでの間、お2人を護衛することです。ですので、社長や部隊のみなさんが帰還した後のことは今の私が関知することではありません。」

「しかしっ!」

尚も食い下がるガーネットだが、レコメンドは「まだ終わりではありません。返答・意見・質問などは最後にお願い致します。」と言ってバッサリ切り捨て、続きを話し始めた。

「話を戻します。みなさんが帰還次第、私に下された護衛任務は私を除く第二防衛部隊に引き継がれ、私には数日の休暇が与えられる手筈になっています。ですが、休暇の後は私も部隊に合流して護衛に参加する予定です。その際、私はお二人を危険から遠ざけようとするでしょう。」

「加えて言うのであれば、奥様には命を賭ける以外にも、奥様にしか出来ない仕事があります。」

「・・・それは妻としての役割を果たせという事でしょうか?しかし、今回の結婚のことをよく思っていない方も社内には多いでしょうし、先ず皆様の信頼を勝ち取るべきでは・・・?」

サンビタリアの疑問にレコメンドはゆっくりと頭を振った。

予想が外れたサンビタリアと、黙って聞いていたガーネットは主従揃って疑問に頭を捻る。

「・・・部隊のみなさんと社長が戻ってきたら、今度はお二人も一緒に遠出をしましょう。行き先はカウ公爵家、要件は奥様の嫁入りに伴う仕度金の請求です。」

サンビタリアはまた近い内に実家へ戻ることになるかも知れない。



 

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