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季節の言葉遊び  作者: ユズ(『ラジ裏』修正版・順次更新中)


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14/15

手間さえも……?

ハチと伊織、春のキッチンでのお話

「……なんか甘い匂いする?」


家の玄関を開けた途端、ほんのり甘い匂いが家中に漂ってる。


多分、ハチが何か作ってるんだろうな。


荷物を置くのも忘れて、キッチンへ直行した。



「あっ、いーくん、おかえり」


「うん、ただいま。ハチ、なんか甘い匂いするけど何してるの?」


ハチの横に立って、手元を覗き込む。


「うん?なんか茶色い感じはするんだけど……」


首を傾げて横を見ると、ハチが口元を押さえながら柔らかく笑ってる。


やっぱりハチの横顔っていいな……。


じゃなくて。



大きな鍋に、白い液体がなみなみと入っている。

時折、チラッと茶色いものが見えた。


「あっ、これ、たけのこ?」


「正解。さっき、裏のおじいちゃんがお裾分けって持ってきてくれたんだよ。朝掘ったみたい。だから、新鮮なうちに茹でちゃわないとって思ってね」


『たけのこって、こういうふうに茹でるんだな。初めて知った。

でも、甘い匂いなんてするのか?』


隣から笑い声が聞こえてきた。


「いーくん、思ってること、全部口に出てるよ?」


「え?マジで?」


つられて俺も声を出して笑ってた。




「米糠を入れて茹でるから、その甘い匂いだと思う」


二人で並んで鍋を見つめる。


ぽこぽこと泡立つ鍋を見てると、なんか、時間がゆっくり流れていく気がした。


「料理ってね、手間をかけてあげると美味しくなるんだよ。


……そろそろかな?」


たけのこに串を刺してるハチの顔が、本当に穏やかで、嬉しそう。


なんか、ちょっと構ってもらいたくなる。


「ねぇ、俺も手間をかけてもらったら、美味しくなるかもだよ?」


「……へ?」


ハチのきょとんとした顔が、かわいい。


思わずギュッと抱きしめる。



「……いーくんは、もう、充分かな」


「え?」


耳元で聞こえた言葉に、ずるずるとその場に崩れ落ちた。


ハチって、たまに塩対応だよな……。

先ほど、たけのこを茹でてる時に降ってきたお話です。


たけのこって手間がかかるんですけど、買っちゃうんですよね。

旬の味覚はやっぱり食べたくなるんです。

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