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季節の言葉遊び  作者: ユズ(『ラジ裏』修正版・順次更新中)


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13/15

舞い散る花は…

ハチと伊織の春の花にまつわるお話です。

「ねぇ、いーくん、ちょっと散歩に行かない?」


食後、ソファーでまったりと配信を見ていたら、珍しくハチからのお誘いが。


もう、21時すぎ。こんな時間に?でも、ハチのことだ。何かあるんだろうな。


「いいよ?近く?」


「それは着いてからのお楽しみにしておいて」


そう微笑むハチに手を引かれ、二人で家を出た。


まだ4月上旬。昼間は暖かいのに、夜は少しだけ肌寒い。

ときおり、風がそっと頬を撫でていく。


月明かりが綺麗な夜だ。

白い光があたりをぼんやりと照らして、俺たちの足音だけが響く。


そんな住宅街の路地を二人並んで歩くと…


「え?もしかして…」


隣を歩くハチがニコッと笑った。多分、行き先はあそこだろう。


二人で新年を迎えた小さな神社。


でも、なんで今日なんだ?


ハチは種明かしをしてくれないだろうから。でも、着いたらわかるか。


無言で歩いているのに、重苦しさがない。

その理由に思い当たって、心が少し温かくなった。


「そうだ。いーくん、目、閉じてよ」


「え?」


ちゃんと引っ張っていくから、とか言ってるけど。


なんか、楽しそうだ。




手を引かれるまま歩いていたら、ハチが止まった気配がした。


「着いたよ」



そっと目を開ける。



「…………」




「サプライズ成功かな。びっくりしてくれた?」


声が出なくて、何回か頷くことでハチに答えた。


桜の木が一本、ぼんやりと白い空気の中に凛と佇んでいる。

風が吹くたび、ひらひらと舞う光景は幻想的で、言葉が見つからなかった。


いつもなら写真を撮るのに、それをするのが憚られるような空気感。


ただただ、その光景に見惚れた。



「“散る”って言葉は、桜にしか使わないんだって」


ハチがゆっくりと喋り出す。


「儚さや優雅さ。確かに、舞い散るって、桜にしか似合わないもんね」


月明かりに照らされたハチの横顔、なんか……桜のようだ。


儚く、消えそうな…。でも、凛としている。

返事も出来ず、ハチの言葉をじっと聴く。



「ちょっと冷えてきたし、帰ろうか」


手を引かれ、来た道を戻っていった。





帰り道、ハチが他にも花の終わりの言葉があるんだよって教えてくれた。


牡丹は崩れる。


椿は落ちる。


梅はこぼれる。


今度、番組で使おうって思ったのは、内緒だ。

実際にこの言葉を教えてもらった時、椿は知っていましたけど、他は「そうなんだ」ってなりました。

もっと日本語を知らなくては…ですね。

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